1カ月ぶりにGreenInnovationメールでお目にかかります、日経バイオテク編集の河田孝雄です。原則として第4木曜日のGreenInnovationメールを担当しております。

 今回は、2018年4月の新体制と、先週木曜日(4月19日)に群馬県前橋市で開かれた「平成30年度の遺伝子組換えカイコの第一種使用等による飼育に関する説明会」と、今週水曜日(4月25日)に茨城県つくば市で開かれた「平成30年度シンク能改変イネの第一種使用等による栽培に関する説明会」の話題をお届けします。

 まずは2018年4月に始まった2018年度の新体制から。

 2018年4月1日、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の理事長に、三菱電機の出身で2018年2月末まで内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の常勤議員を務めた久間和生氏が就任しました。

(2018.04.06)
農研機構の理事に民間出身者が3人就任
理事長は三菱電機、理事は三菱ケミカルと住友化学
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/18/04/06/04092/

 理化学研究所は、2018年4月から2025年3月までの7年間の第4期中長期計画を発表しました。3年前の2015年4月に就任した松本紘理事長が所信表明を行い、同時に就任した筆頭理事の小安重夫理事が概要説明を行いました。理事長を含む理事6人のうち3人が新任です。

(2018.04.09)
理研が中長期計画を発表、理事の半数は前職が京大
新設の生命機能科学研究センター長に京大の西田氏
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/18/04/06/04094/

 理研のバイオテクノロジーの中核組織の1つである環境資源科学研究センター(CSRS)のセンター長も、篠崎一雄氏が引き続き務めます。松本理事長が発表の最後に「研究者は、今の社会のみならず未来の社会に対する責任を持つ」と題したスライドで、国際連合の持続可能な開発目標(SDGs)を示しました。国連が2016年1月に始めたSDGs対応でも、CSRSは中核組織と位置付けることができます。

 篠崎センター長は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議のバイオ戦略検討ワーキンググループ(WG)の座長もお務めです。

 次は、遺伝子組換え技術やゲノム編集技術に関する説明会の話題です。

 先週木曜日(4月19日)には群馬県前橋市の群馬県蚕糸技術センターで開かれた「平成30年度の遺伝子組換えカイコの第一種使用等による飼育に関する説明会」を、今週水曜日(4月25日)には茨城県つくば市の農研機構で開かれた「平成30年度シンク能改変イネの第一種使用等による栽培に関する説明会」に参加しました。

 平成30年度(2018年度)の計画は、前橋もつくばも、29年度(2017年度)実施内容とほぼ同じで新規性はあまりありませんでした。

 しかし、平成29年度に実施された新規性の高い飼育・栽培の成果も併せて発表されました。

 群馬では2017年に遺伝子組換えカイコが世界で初めて、開放系で飼育されました。この第1号は、緑色蛍光を持つシルクを生産するカイコでした。これに続き、青や橙、それに染色性に優れたシルクを生産するカイコの飼育が、群馬県蚕糸技術センターにて進められています。今年度の試験を経て、2019年に青や橙、高染色性のシルクが、農家での飼育により生産されることになりそうです。

 つくばでは、ゲノム編集技術を用いて、光合成生産物を蓄積する能力(シンク能)を高めたイネの栽培が2017年度に行われ、籾数が増えるなどの好ましい表現型(フェノタイプ)が確認されました。2018年度に2年目の試験を実施して同様な好ましい特徴を確認できれば、商業栽培に向けて前進することになります。

 なお、後者のゲノム編集イネは、カルタヘナ法の対象には入らないのですが、念のため、カルタヘナ法第1種使用に準じた手続きにて栽培が行われているものです。