【GreenInnovation Vol.343】

アグリバイオ最新情報【2017年10月】のハイライト

(2017.11.09 11:00)

  アグリバイオ最新情報【2017年10月】のハイライト
     ISAAA日本バイオテクノロジー情報センター(NBIC)の冨田房男代表

 今月もヨーロッパの動きが目立つようにみえる。欧州種子業界はEUに、植物育種の革新を可能にする支持的な公共政策を確保し、最新の植物育種法を植物育種者のツールボックスの重要な構成要素とみなすよう求めている。そして消費者の要求に答え、生産性が高く持続可能な農業と食品生産システムに貢献するなど、欧州の農産物の課題に取り組むために、植物育種イノベーションが果たす本質的な役割を強調し、説明するためにキャンペーン#EmbracingNatureを開始した。また、食糧安全保障には遺伝子組換え(GM)作物に求めるところがまだまだ多く、野外条件下での収量を制限する遺伝子についての我々の知見を開発する必要があるとRothamsted研究所の研究者が語っている。さらに、英Oxford大学主導のC4イネプロジェクトに取り組んでいる科学者たちは、イネの光合成を向上させ、作物収量を増やすために、1つのトウモロコシ遺伝子を植物に導入することにより、イネの「スーパーチャージ」に向けてより効率的な作物レベルに移行させた。イネがC4光合成を行うように「切り換えられた」場合、その生産性は50%増加すると考えている。

 米国では、バイオテクノロジーとそれが食糧と環境に与える影響に関する課題と懸念について議論するために、米国農業者と牧場主連合(USFRA)は、ネブラスカダイズ委員会と共催で「食物対話(Food Dialogues):遺伝子組換えに関することを中心に」がネブラスカ大学で行われた。Food Dialoguesには100人以上の食品関係者、影響者、映画制作者が参加し、約7000人が生中継を視聴した。「食品と農業に関する対話―食品が安全か安全でないのか、よい農業技術なのか悪いものなのかを決めるバランスが崩れているからこそこの食物対話(Food Dialogues)と映画:食品の発展(FOOD EVOLUTION)が極めて重要なのである」と司会を努めたアカデミー賞(AcademyAward®)候補の監督・製作者であるScott Hamilton Kennedy氏が述べた。このような動きは我が国こそ必要と思われる。ぜひともFood Dialoguesのビデオをご覧いただきたい。
http://www.fooddialogues.com/

 オリーブオイルに油の組成を似せたダイズ油(高オレイン酸油)を遺伝子組換えダイズから得て、比較実験を行ったところ、オリーブ油も組換えダイズ油も肝臓肥大症または肝臓の肥大、および肝機能障害を誘発したとのことである。オリーブオイルの健康に良いとの通説が覆された。

 国際半乾燥熱帯作物研究機関(ICRISAT)の研究者らは、アフラトキシンの無い落花生を開発したことが興味深い。抗真菌性植物防御因子MsDef1およびMtDef4.2を過剰発現させ、アフラトキシン生合成経路からのaflMおよびaflP遺伝子をサイレンシングすることにより、落花生で高いレベルのアフラトキシン耐性を達成した。遺伝子の過剰発現は、Aspergillus flavus感染に対する遺伝的耐性を改善し、遺伝子サイレンシングは感染中のアフラトキシン産生を阻害した。この画期的なアプローチは、落花生だけでなく、トウモロコシ、ワタ、チリ、アーモンド、ピスタチオなどの重要な作物でもアフラトキシンの混入を大幅に減らす可能性がある。

世界
より少量のグルテンでパンを作れる遺伝子組換え小麦
ゴールデンライス導入のための4つの手順

南北アメリカ
GM低リノール酸大豆油は肥満とインスリン抵抗性を削減
米国農業・畜産業者連合が消費者とバイオ技術で対話
米国の立法者は、遺伝子組換えの規制の一貫性を要請

アジア・太平洋
ICRISAT、アフラトキシンの無い落花生を作り出す

ヨーロッパ
欧州種子協会は、革新的育種を食糧政策の核心に据える
トウモロコシ遺伝子を持つ「スーパーチャージ」イネが収量向上

研究
CRISPR/Cas9による遺伝子置換で貯蔵寿命の長いトマト系統を作成
作物以外の遺伝子組換え
中国のCas研究者が低脂肪ブタを開発

文献備忘録
遺伝子組換え作物栽培国の現状と動向

https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/082400010/110900015/

 毎月第2・第4木曜日に配信している日経バイオテクGreenInnovationメールに掲載している記者や専門家によるコラムを掲載します。

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