【GreenInnovation Vol.339】

アグリバイオ最新情報【2017年8月】のハイライト

(2017.09.14 13:00)

  アグリバイオ最新情報【2017年8月】のハイライト
     ISAAA日本バイオテクノロジー情報センター(NBIC)の冨田房男代表

 ChileBioのMiguel Sanchez氏とUniversity of GeorgiaのWayne Parrott氏は、遺伝子組換え(GM)食品と飼料による悪い影響の証拠としてよく引用される研究論文についての総説を発表した。これによると、研究が数少ない研究室で行われ、あまりよく知られていない雑誌に掲載されていることが分かった。方法論上の瑕疵;例えば、実験で重要な内容を明らかにしなかったり、実際に測定した結果がなく、研究結果の結論は、無効なものであった。これらに関連する話題として、フィリピンでは過去17年間のメディアの報道状況を解析し、正しい科学情報の普及に伴って使用された恐怖のたとえ話の数が減少し、肯定的トーンの記事の割合が増加し、情報源としてのバイオテク評論家の使用の頻度が減ったことなどを挙げていた。こうした情報から、我々も学ぶところが多いと感じた。

 カナダ保健省およびカナダ食品検査局(CFIA)は、米J.R. Simplot社の第2世代のInnateポテトの食品、飼料および環境安全性評価を完了した。昨年、規制当局の承認を受けたInnate第1世代の3種類のジャガイモに続き、カナダで輸入、栽培、販売が可能となる。第2世代のInnateポテトには、ジャガイモの栽培者、加工業者、消費者に関連する4つの有益な特徴がある。即ち疫病への抵抗性、打ち傷や黒斑の減少、アスパラギンの減少(調理後のアクリルアミドの減少に寄与)、還元糖の減少(より一層のアクリルアミドの減少と共に冷蔵保存能力を高めること)である。調査によると、カナダの全ての新鮮なジャガイモにInnate第2世代の形質があれば、ジャガイモの廃棄物(栽培地、貯蔵中や包装過程、小売り、食品サービスでの)は9300万kg削減できる。 CO2排出量を1400万kg削減でき、水使用量は130億リットル減少し、ヘクタール当たり15万4000gの農薬を減らせる。

 カナダでは、遺伝子組換えサケが承認申請以来、25年以上たってようやく食卓に上ることになった。遺伝子組換えサケは大西洋サケの一種で、非遺伝子組換え相当種の約半分(18カ月)の期間で成魚になる。開発者は、「このサケは極めて生産管理が容易であり、持続的な供給が可能であることから、大きな市場が見えている」と喜んでいる。最近のマグロの議論など、海洋資源問題を考えると大きなブレークスルーの1つである。

 新しい品種の育種としては、穀物中の微量栄養素の鉄と亜鉛のレベルを高めたばかりでなく、ビタミンA前駆体のβカロチンを生産する新しいイネ品種の遺伝子組換えに成功したことと、GM カメリナによるオメガ3長鎖多価不飽和脂肪酸(LC-PUFAs)、EPA(エイコサペンタエン酸)およびさらに長いDHA(ドコサヘキサエン酸)を生成させたという発表がある。

世界
GM作物の副作用に関する研究報告の課題
農業バイオの世界市場は2022年に395億米ドルへ

南・北アメリカ
第2世代Innateポテトをカナダ政府が認証

ヨーロッパ
GM植物で魚油を大量生産
3種の微量栄養成分を含む多重栄養付加イネ
遺伝子組換え作物以外の話題
日本人研究者が青色遺伝子組換えキクを作成
世界で初めて遺伝子組換えサケがカナダの食卓に

文献備忘録
ISAAAがCRISPR/CAS9のポケットKシリーズを発行
http://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/082400010/091300013/

 毎月第2・第4木曜日に配信している日経バイオテクGreenInnovationメールに掲載している記者や専門家によるコラムを掲載します。

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