【GreenInnovation Vol.336】

「ヒアリ」と「カルタ」、「土用の丑の日」と「絶滅危惧種」

(2017.07.27 08:00)
河田孝雄

 1カ月ぶりにGreenInnovationメールでお目にかかります、日経バイオテク編集の河田孝雄です。原則として第4木曜日のGreenInnovationメールを担当しております。

 1つめのキーワードとして、「ヒアリ」と「カルタ」を提示します。

 「ヒアリ」は、すぐ皆さんお分かりですよね。ヒアリ対策、日本でいま大変です。

 それでは、「カルタ」とは何でしょうか。カルタヘナ法です。

 カルタヘナ法とは、「生物多様性の確保を図るため、遺伝子組換え生物等を用いる際の規制措置を定めた」(農林水産省のウェブサイトから抜粋)した法律です。この日経バイオテクGreenメールでは、最も大きな意味を持つキーワードと、当方では考えております。

 農水省ウェブサイトの説明を、以下に示しておきます。長いので、いつもは省略していますが、今回はあえて、紹介します。

 2000年1月に、生物多様性条約特別締約国会議再開会合において「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(カルタヘナ議定書)」が採択され、03年6月に締結されました。

 この議定書を日本で実施するため、03年6月に「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」が公布され、カルタヘナ議定書が日本に効力を生じる04年2月に施行されました。

 このカルタヘナ法は、「カルタ」という略称で呼ばれることを、今週、知りました。先に長々とカルタヘナ法の説明文を示しましたが、短いキャッチーな表現は大切ですよね。

 ここでクイズを1つ出してみます。先月(2017年6月)に大阪で開かれた日本ゲノム編集学会第2回大会の「倫理規制セッション」にて、「みなさんはゲノム編集技術を用いた生物の扱いでは、カルタヘナ法を順守していますか。挙手をお願いします」という問いが会場に投げかけられ、大半の参加者は「順守している」と手を挙げました。

 ただ1人、「カルタヘナ法を順守していない」という選択肢で挙手した方がいました。さて、その方は、どのような研究者とお考えですか。ヒントは、このセッションは、日本語のみだったので、基本的に日本語を母国語としている研究者らが参加しています。

 メールのリンク先のウェブサイトにて、答えを書いておきますので、ぜひ照合してください。

 なお、日本ゲノム編集学会第2回大会の「倫理規制セッション」については、6月末のメール記事にてご覧ください。

【機能性食品 Vol.293】
「フランケンシュタインの誘惑 ビタミン×戦争×森鴎外」(2017.06.30)
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/mag/foodmail/17/06/30/00099/

 さて、「カルタ」という略称を今週知ったのは、環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室に問合せをしたのがきっかけです。

 先週土曜日(7月22日)に東京大学(東京・文京)にて、東アジア鰻学会が開催した公開シンポジウム「うな丼の未来V:行政はウナギを救えるか」にて、環境省自然環境局野生生物課の計画係長である有山義昭さんの講演「ニホンウナギ生息地保全の考え方」を拝聴しました後で、質問したのがきっかけです。

http://easec.info/

 2カ月前に環境省に問合せした、遺伝子組換えペチュニアの問題がその後、どうなっているのか、うかがったところ、カルタヘナ法関連で何度かお話しをうかがった環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室の平山さんが、引き続きご担当なさっていることを、有山さんにうかがいました。

日経バイオテク2015年10月26日号○特集
ゲノム編集育種の実用化
カルタヘナ対象外を明確化、外来生物対策で野外放出へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20151026/188137/

 そこで、今週火曜日の平山さんの部署に連絡しましたところ、カルタヘナ法が、カルタと呼ばれていることを知りました。ペチュニアについては、環境省と、農林水産省消費・安全局農産安全管理課が、日本でペチュニアを扱っている20を超える企業について、自主検査を依頼していまして、検査結果が集まりましたら、取りまとめ結果を公表します。

 さて、先週土曜日の「うな丼の未来V」には、300人近くの方が参加していました。

 ニホンウナギは、絶滅危惧種リスト(レッドリスト)に加えられています。東アジア鰻学会は2016年11月に設立されました。

 日本のウナギ研究者と鰻業界関係者が、台湾や韓国、中国の研究者・関係者に呼びかけて「東アジア鰻資源協議会」を立ち上げたのは、1998年のことでしたが、ウナギの保全や持続的利用に向けた取り組みの強化が望まれています。この中で、東アジア鰻学会が果たすべき役割も大きいのでは、と思います。

 サンマの協議もたいへんと先日報道されましたが、他の国・地域と協調した取り組みは困難を伴いますよね。

 一昨日(7月25日)は土用の丑の日でした。ウナギを味わった方も多かったのではないでしょうか。「うな丼の未来」は当方にとりましても、大きな関心事であります。

 最後に、クイズの答えです。

 「カルタヘナ法を順守していない」と答えたのは、米国で研究している日本人研究者でした。簡単すぎたので、クイズになっていないとお叱りをうけそうですが、「なるほど、そういうことなのだ」と感じたことをよく覚えています。

 毎月第2・第4木曜日に配信している日経バイオテクGreenInnovationメールに掲載している記者や専門家によるコラムを掲載します。

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