【GreenInnovation Vol.335】

アグリバイオ最新情報【2017年6月】のハイライト

(2017.07.13 14:00)

アグリバイオ最新情報【2017年6月】のハイライト
       ISAAA日本バイオテクノロジー情報センター(NBIC)の冨田房男代表

 遺伝子組換え作物はこれまで20年間にわたり、農業の環境への影響を大幅に減少させ、経済成長を促進したとする英PG Economics社の最新報告書が出された。これによると地球規模の社会経済的および環境的影響としても、また、地球の自然資源を保護し、より生産性が高く、しかも質の高い作物を生産していることにも、遺伝子組換え作物が貢献していることが示された。中でも除草剤耐性作物は、使用農薬の削減、生産性の向上から地球環境および食糧安全保障などに大きな貢献をしている。

地球環境と農作物に関連しては、ドイツのボン大学開発研究センターMekbib Haile氏が、主要作物の世界生産量の9%の大幅な減少が2030年代に起こると予想している。気候変動の負の影響は、2030年代には数カ国で現れると予想されていたが、2050年までに全ての国でより顕著になると考えられるとのことだ。そこで、これらの懸念に対処するために、Haile氏は遺伝子組換え作物の利用、より良い灌漑、耕起の減少などの農業の改善を促している。

 先月も一部述べたが、日本でのISAAA(国際アグリバイオ事業団)の年次報告の際に筆者(冨田)が述べた、日本での組換え作物の承認数が世界のトップであるにも関わらず栽培が行われていないことと、北海道で遺伝子組換えテンサイの栽培を農業者が強く望んでいることが、世界に向けて発信された。北米のテンサイは、ほとんど全て遺伝子組換えであることを考えると、北海道農業者の期待は当然過ぎるといえる。高齢化と農業者人口の減少を考えるとますますその感が大きくなる。

 砂糖に関しては、いよいよブラジルが遺伝子組換えサトウキビの商業栽培を承認した。これも大きなニュースである。当然ながら東南アジア諸国も近くこれに倣うことになろう。

 ゲノム編集の研究が進展している。ゲノム編集技術進歩の現状とその作物改良への応用に関するシンポジウムが、ベトナムのハノイで2017年5月12日に行われた。これに日本も大きく貢献しているのは喜ばしいことである。

 食品の安全性に関しては、欧州食品安全機関(The European Food Safety Authority 、EFSA)が、遺伝子組換えトウモロコシについて先に行われたリスク評価や解釈には不足はあるものの再試験は必要無く、トウモロコシNK603に対する以前のリスク評価の結論は依然として有効で適用可能であると考えているとした。これもまともな結論と言える。

世界
GM 作物の長期使用が経済的・環境的有用性を示すとの報告書

南北アメリカ
遺伝子組換えサトウキビの商業利用をブラジルが承認

アジア・太平洋
日本は遺伝子組換えテンサイ栽培の可能性がある
ゲノム編集技術進歩の現状とその作物改良への応用
インドの国立農業科学アカデミーがGMマスタードの商業栽培支持

ヨーロッパ
2050年までに気候変動で作物生産が23%減少すると予想
EFSA、GMトウモロコシNK603に対するリスク評価が適用可能と結論

国際アグリバイオ事業団(ISAAA)アグリバイオ最新情報【2017年6月】
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/082400010/071200011/

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