【GreenInnovation Vol.333】

アグリバイオ最新情報【2017年5月】のハイライト

(2017.06.08 10:30)

  アグリバイオ最新情報【2017年5月】のハイライト
       ISAAA日本バイオテクノロジー情報センター(NBIC)の冨田房男代表

 国際アグリバイオ事業団(ISAAA )が遺伝子組換え導入に関する2016年度年次報告を中国・北京を皮切りに、フィリピン、インドネシア、日本で公開した。中国では、中国バイオテクノロジー情報センター、中国農業科学アカデミー、中国バイオテクノロジー学会の共催でカンファレンスが開催され、中国により多くの遺伝子組換え作物を導入することが農業者とその家族だけでなく消費者にも利益をもたらすことへの関心を深めた。フィリピンでは、遺伝子組換えトウモロコシでアジアの先導的役割を果たしていることと政府機関の合同会議の成果が述べられている。インドネシアでは、Yogyakarta州の食糧安全局長官Ir. Arofa Noor Indriani MSI氏が歓迎と謝辞を述べ、規制が適切に行われつつあることを述べた。

 一方、日本は、世界で一番多数の遺伝子組換え作物を承認していながら鑑賞用の作物以外は栽培されていないということが述べられ、奇異にみえる。これは、1600万tも遺伝子組換え作物を輸入していることも併せて見るとより一層不可思議である。インドでは、マスタード産業の復活を狙った遺伝子組換えが成果を上げつつある。

 前米大統領のObama氏が、「遺伝子組換え食品に関する議論について私が知っているのは、極めて多様な意見があるということだ」「私が米国大統領だったときに取ったアプローチは、気候変動に関する私の政策決定に当たり、科学的な判断に努めることだった。同様に、食糧生産と新技術に関しても科学的に決定しようとした」と述べた。「中小規模の農業者が、多額の費用をかけずにより良く収穫するのに役立つ技術を導入するのは幸せなことである」とも述べた。彼はまた、農業が環境に及ぼす影響についても議論した。

 これは、傾聴すべきものと考える。さらに、重要なのは米国では、遺伝子組換え技術教育の予算提案により、遺伝子組換え技術に関する誤情報を減少させるために米下院歳出委員会は、農業支出法案、2017年度農業、農村開発、食品医薬品局、関連機関の歳出法の予算を増やすことを検討していることである。農業に関する遺伝子組換え技術とその製品の理解と受容を促進するために、消費者への教育のために食品医薬品局と農務省のために300万米ドルが提案されている。

 我が国では現在、遺伝子組換え表示が議論されているとされているが、カナダでは「食品の購入者または消費者が欺かれたり誤解されたりするのを防ぐために、ラベルに情報が含まれていない限り、遺伝子組換え食品を販売してはならない」とする法案が提出された。しかし、遺伝子組換えという用語が、法案には説明がなく、それ故に第2回目の評決で大きな議論が生じた。反対派は、「言葉の定義があまりにも漠然としている」と主張したが、支持者は、「そのような幅広いことが重要である」と述べた。結果は、大差で提案は否決された。

 ISAAAの年次報告については、機会を見てまとめを準備しているのでそれをご覧ください。

世界
国際アグリバイオ事業団が2016年度年次報告を公開した
 
南北アメリカ
米国政府は遺伝子組換え製品の「誤った情報」の是正を図る
Obama前米大統領が農業遺伝子組換え技術の有用性に言及
遺伝子改変ウイルスとCRISPRで柑橘類の病害に対抗
カナダの国会議員がGM食品の表示義務化を否決

アジア・太平洋
インドで遺伝子組換えマスタードの商業栽培を承認
 
文献備忘録
遺伝子組換えでレスベラトロール高含量としたイネの代謝変化の研究
 
国際アグリバイオ事業団(ISAAA)アグリバイオ最新情報【2017年5月】
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/082400010/060800010/

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