【GreenInnovation Vol.326】

北海道特産のアスパラガスとジャガイモに新展開

(2017.02.23 08:00)

 1カ月ぶりにGreenInnovationメールでお目にかかります、日経バイオテク編集の河田孝雄です。原則として第4木曜日のGreenInnovationメールを担当しております。

 今回は、北海道特産の農産物であるアスパラガスとジャガイモの話題をお届けします。

 1つ目の話題は、アスパラガスです。北海道のヘルシーDo制度で認定されているアスパラガス素材が、機能性食品制度で届けられました。

 先々週の機能性食品メールもご覧ください。
【機能性食品 Vol.274】(2017.02.10)
機能性表示食品は684件に、北海道産のアスパラガスとアカモクに注目
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/mag/foodmail/17/02/10/00075/

 2つ目の話題は、ジャガイモです。先週金曜日(2017年2月17日)に非公開で開催された食品安全委員会の遺伝子組換え食品等専門調査会の第157回会合で、米Simplot社の「アクリルアミド産生低減及び打撲黒斑低減ジャガイモ(SPS-00E12-8)」について、一部修正の上、評価書(案)を食品安全委員会へ報告することが決まりました。アクリルアミドの生成が低減され、打撲による黒斑ができにくいジャガイモです。

 また先週月曜日(2月13日)の環境省と文部科学省の学識経験者会合にて、弘前大学は、接ぎ木により、ゲノムの標的領域にエピジェネティック修飾を誘導して標的遺伝子の転写型抑制を発動させるジャガイモ2種の隔離ほ場試験を、茨城県つくば市にある農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)生物機能利用研究部門の隔離ほ場で2017年に実施することが決まりました。

 こちらは先週の機能性食品メールに関連の記載があります。ご参考までに以下に示します。

【機能性食品 Vol.275】(2017.02.17)
東大農社会連携キックオフで森谷氏講演「宇宙で生活すると誰もがすぐ糖尿病に」
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/mag/foodmail/17/02/17/00076/

 さて、1つめの話題、アスパラガスに戻ります。

 北海道のヘルシーDo制度で認定されているアスパラガス素材が、機能性食品制度で届けられました。

(2017.02.08)
大塚製薬、道産アスパラガスで機能性表示食品「賢者の快眠 睡眠リズムサポート」
グリシン、セリン、テアニン、清酒酵母、クロセチン、GABAに続く
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/02/07/02271/

 アスパラガスの栽培にも詳しい北海道大学農学研究院准教授の鈴木卓さんにまずは電話でお話を伺いました。アスパラガスの主産地である北海道をはじめ、日本各地で周年栽培に向けた取り組みが成果を上げているようです。アスパラガス、面白いですね。

 日経バイオテクで連載しております「機能性食材研究」でも近く、アスパラガスについてまとめたいと考えております。

※日経バイオテク2017年2月13日号掲載
機能性食材研究(第38回)
ゴマ(胡麻、sesame)
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/082300007/020900006/

 次は、2つ目の話題のジャガイモです。

 先週金曜日(2017年2月17日)に非公開で開催された食品安全委員会の遺伝子組換え食品等専門調査会の第157回会合で、米Simplot社の「アクリルアミド産生低減及び打撲黒斑低減ジャガイモ(SPS-00E12-8)」について、一部修正の上、評価書(案)を食品安全委員会へ報告することが決まりました。アクリルアミドの生成が低減され、打撲による黒斑ができにくいジャガイモです。

 また先週月曜日(2月13日)の環境省と文部科学省の学識経験者会合にて、弘前大学は、接ぎ木により、ゲノムの標的領域にエピジェネティック修飾を誘導して標的遺伝子の転写型抑制を発動させるジャガイモ2種の隔離ほ場試験を2017年に実施する方向性が決まりました。

 茨城県つくば市にある農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)生物機能利用研究部門の隔離ほ場を利用します。

(2017.02.16)
食安委調査会、米Simplot社の組換えジャガイモを2月17日に審議
厚労省の依頼から3年経過、審議は非公開
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/02/16/02316/

(2017.02.16)
弘前大と農研機構、接ぎ木による転写抑制ジャガイモを筑波で隔離ほ場試験
2月13日の学識経験者審議を踏まえて2017年に実施
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/02/15/02308/

 この2つの案件は、育種の手法は大きく異なりますが、Simplot社のジャガイモと弘前大のジャガイモの共通点として、アクリルアミド対策のジャガイモの育種を挙げることができます。

 アクリルアミドは、アクリル基(CH2=CH-CO-)とアミド基(-CO-NH-)を持つ有機化合物です。分子量は71.08。加熱や紫外線照射により多数のモノマーが互いにつながってポリアクリルアミドになります。

 アクリルアミドは、ポリアクリルアミドの原料として1950年代から商業生産されており、日本では主に紙力増強剤、凝集剤の重合原料として使用されています。微生物を用いて工業生産されている代表的な化学物質で、生産量向上に遺伝子組換え技術も用いられているのは、有名な話ですね。

 アクリルアミドには神経毒性や発癌性が報告されています。このアクリルアミドが、イモ等を焼いたり揚げたりしたときに生成してしまっていることを、スウェーデン政府が02年に発表し、食品の安全性対策の対象物質になりました。

 イモ等に含まれるアスパラギンなどの遊離アミノ酸と、グルコースやフルクトースなどの還元糖が、このアクリルアミド生成の原因になります。そこで、アスパラギンを分解する酵素アスパラギナーゼが実用化されています。日本ではオランダDSM社のセルフクローニングのアスパラギナーゼ製剤が2013年から、デンマークNovozyme社の遺伝子組換えアスパラギナーゼが2015年から使用可能になりました。

 ジャガイモの低温貯蔵時にアクリルアミドの原因物質が増えてしまうのですが、これを少なくなるよう、ジャガイモの酵素レベルを下げる育種したジャガイモも実用化されています。

 米J.R.Simplot社の「Innate」は、米国では食品医薬品局(FDA)の評価完了で2015年から商品化可能になりました。

 米国では、葉枯れ病に対する抵抗性を付与した第2世代のInnateが開発され、2015年9月に規制の対象から外すことを米FDAが発表しました。

 ホクホクのジャガイモやフライドポテト、ポテトチップは大好物です。アクリルアミドの量を減らせるジャガイモが流通するようになる社会的意義は大きいように感じております。

 毎月第2・第4木曜日に配信している日経バイオテクGreenInnovationメールに掲載している記者や専門家によるコラムを掲載します。

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