【GreenInnovation Vol.325】

アグリバイオ最新情報【2017年1月】のハイライト

(2017.02.09 10:30)
アグリバイオ最新情報【2017年1月】のハイライト
      ISAAA日本バイオテクノロジー情報センター(NBIC)の冨田房男代表

 2017年最初のニュースには、コムギに関するものが多い。

 英国のHoward Hughes Medical Institute(HHMI)、University of California、Davis、英国のJohn Innes Centerの国際チーム研究者は、コムギ遺伝子機能の解析を加速するために多様な遺伝子資源を開発している。コムギは倍数体であり、各細胞に複数のゲノムのコピーがある。パスタ小麦は全ての遺伝子の2つのコピーを持ち、パンの小麦は3つを持っている。研究チームは、何千種もの変異をコムギ種子に化学的にランダムに誘導した。タンパク質をコードするゲノムの小さな部分に焦点を当てる方法を開発した。チームは4000億塩基のDNA塩基配列を決定し、突然変異した種子から2375個の変異株を分析した。 2375のコムギ系統の塩基配列が定まったものが一般に公開されており、3000種以上の種子が世界のコムギ研究者に分与されている。

 また、インド農業研究協議会(ICAR)の植物遺伝資源管理局(NBPGR)は、インド国立ジーンバンクで保存されている1万9460のコムギ受託品種の膨大な野外評価調査を実施し、サビ病および黒斑病耐性品種源を同定した。研究の結果は、インドジーンバンクに保存されている244種類のパン小麦および253種のデューラム(マカロニ)コムギが、2つの病気の多発地域で縞状サビ病に抵抗性または中程度の抵抗性があることを再確認した。この結果は、また縞状サビ病に対する部分的な耐性の多様な遺伝子源、および急速に進化するサビ病原体に対する緩やかなサビ病への抵抗性遺伝子源を特定できる可能性を示した。マーカーベースのスクリーニングは、コムギ遺伝資源には十分な遺伝的多様性のある耐性遺伝子のあることを示した。

 一方、バングラデシュでの遺伝子組換え(GM)Btナスに続く、疫病に耐性を示す様々なGMジャガイモ品種の商業栽培に向けての申請、オーストラリアの遺伝子技術規制局(OGTR)がオーストラリアのMonsanto Australia社に承認証を発行し、害虫抵抗性および除草剤耐性に関するワタの遺伝子組換え(GM)栽培を限定的かつ制御下の圃場試験を承認も大きな話題である。
さらに、米国ホワイトハウスは、「調整整備したバイオテクノロジー規制枠組み(2017年更新版)」を発表した。 2017年更新版は、バイオテクノロジー製品の規制に関わる環境保護庁(EPA)、食品医薬品局(FDA)、および米国農務省(USDA)の3つの主要規制機関の役割と責任の包括的な要約を提供している。これに加えてUSDAの動物および植物健康検査サービス(APHIS)は、遺伝子組換え生物の規制を改正する勧告を、事前公開した。APHISによると、これは1987年以来実施されて以来最初の大幅な改正となり、「米農務省の提案は、遺伝子編集の応用が、伝統的な育種法によって開発された品種と本質的に同等の植物品種をもたらすものであり、得られた品種を同等に扱おうとする。」との方向を明確に目指したもので「まだ検討段階であるが、このアプローチは、米国の農業がイノベーションの最前線に留まり、世界的にリーダーシップの役割を維持できるようにする。」ことに期待がかかっていることは当然のことである。

 最後に、ぜひ、2016年の遺伝子組換え作物出来事を垣間見るためにフェイスブックに最新の遺伝子組換え作物トップ10ニュースを集めた。ISAAA blogを覗いていただきたい。

世界
国連生物多様性会議、農業分野で生物多様性保全を取り入れる政策求める
国際研究チームがコムギ品種改良に必要な多種多様な遺伝子資源を開発

アフリカ
ブルキナファソにおけるGMワタの導入は農業に好影響

南北アメリカ
キューバは2017年春から遺伝子組換えダイズとトウモロコシを栽培
米農務省は遺伝子組換えクリーピングベントグラスの規制を緩和
ホワイトハウスが新たな2017年版バイオテクノロジー規制の更新枠組みを公表
米国農務省は遺伝子組換え作物に関する規制の改定を提案

アジア・太平洋
インド農業研究協議会、コムギ遺伝資源の遺伝的有用性を明らかに
バングラデシュ農業研究所の科学者が遺伝子組換えジャガイモの商用化申請
パキスタンPunjab州農業大臣が遺伝子組換えトウモロコシ圃場を訪問
オーストラリアの遺伝子技術規制局はGMワタの圃場試験を承認

作物バイオテクノロジー以外の話題
ベクター媒介病に対抗するFriendly Aedesプロジェクトがインドでも立ち上げ

国際アグリバイオ事業団(ISAAA)アグリバイオ最新情報【2017年1月】
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/082400010/020900006/index.html

 毎月第2・第4木曜日に配信している日経バイオテクGreenInnovationメールに掲載している記者や専門家によるコラムを掲載します。

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