【GreenInnovation Vol.320】

活性汚泥のフロックを生のまま3Dで観察、細菌間コミュニケーションに迫る

(2016.11.24 08:00)
河田孝雄

 1カ月ぶりにGreenInnovationメールでお目にかかります、日経バイオテク編集の河田孝雄です。原則として第4木曜日のGreenInnovationメールを担当しております。

 今回は、先週月曜日(2016年11月14日)から水曜日(11月16日)に都内で開かれた「第6回CSJ化学フェスタ2016」からの話題をお届けします。このフェスタは、日本化学会が秋季事業として実施しているもので、3000人ぐらいが集まったようです。

 「ヒトの菌を科学で解剖~マイクロバイオームの最前線~」というセッションが火曜日(11月15日)午後に開催されまして、7人の方が登壇しました。とても面白かったです。

 そのトップバッターは、筑波大学生命環境系教授の野村暢彦さん。「化学物質を介した細菌間コミュニケーションとバイオフィルム」という演題名で発表しました。野村さんは、JST/ERATOの野村集団微生物制御プロジェクト研究総括をお務めです。

 水質浄化法として広く実用化されている「活性汚泥法」のフロック(微生物の集団)を、何の処理もせずに生のまま3次元で観察した画像が、この講演で示されまして、大変びっくりしました。

 活性汚泥法は、およそ100年前に英米で実用化が始まった排水処理技術ですが、現在でも排水中の有機物質の浄化に最も広く利用されています。

 野村さんらはこのイメージング技術を用いて細胞間のコミュニケーションの解析を進め、多くの成果を得ています。この技術については、JSTを通じて国際特許出願もしたとのこと。環境中の様々なバイオフィルムの解析はもちろんのこと、腸内菌叢など常在菌叢の解析にも威力を発揮します。多くの共同研究が進められているようです。

 詳しくは、今年4月に筑波大学が出したニュースリリースをご覧ください。

https://www.tsukuba.ac.jp/wp-content/uploads/20160414toyofuku1.pdf

 発表されたオープンアクセス論文は次の通りです。

Explosive cell lysis as a mechanism for the biogenesis of bacterial membrane vesicles and biofilms.
Turnbull L, Toyofuku M, Hynen AL, Kurosawa M, Pessi G, Petty NK, Osvath SR, Carcamo-Oyarce G, Gloag ES, Shimoni R, Omasits U, Ito S, Yap X, Monahan LG, Cavaliere R, Ahrens CH, Charles IG, Nomura N, Eberl L, Whitchurch CB.
Nat Commun. 2016 Apr 14;7:11220.

 毎月第2・第4木曜日に配信している日経バイオテクGreenInnovationメールに掲載している記者や専門家によるコラムを掲載します。

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