【GreenInnovation Vol.319】

アグリバイオ最新情報【2016年10月】のハイライト

(2016.11.10 08:00)

アグリバイオ最新情報【2016年10月】のハイライト
       日本バイオテクノロジー情報センター(NBIC)の冨田房男代表

 ノーベル賞学者がグリーンピースに遺伝子組換え作物への反対キャンペーンを止めるように文書を送ったことは先にお知らせしたところであるが、公的研究と規制イニシアティブ(The Public Research and Regulation Initiative 、PRRI)とEuropaBioは、「技術革新の束縛を解放する:ヨーロッパはGM作物を封鎖するのかそれとも活用するのか?」と題したセミナーを2016年9月27日にブリュッセル、ベルギーで開催し、遺伝的組換え(GM)作物に関する懸念について議論した。

 ヨーロッパは農業バイオテクノロジーの発明を支援してきたが、一方でGM作物阻止を誰よりも行っている。ヨーロッパのこの冷遇は、発展途上国における緊急な農業の近代化を妨げているのではないか? ヨーロッパの科学者は他国においてこの技術革新が定着しているのをどう見ているのだろうか? ヨーロッパは、他の国の経験から何を学ぶことができるのか? どうすれば科学がその座を取り戻すことができるのか? との話題が議論された。

 ノーベル賞受賞者であるRichard Roberts博士は、「世界の多くの地域で何百万人が栄養失調あるいは飢えているときにGM作物を無視できるものではない」と率直な見解を述べた。その他の公共研究部門、産業界からの講演者、農業者団体、および政府機関からの講演者は、農業、特にGM技術と新しい育種技術(NBTS)は、育種家の道具立てであるとの見解を共有した。GM作物に対する反対行動は、健全な科学の裏付けの無い人類に対する犯罪であると彼らが述べたことに注目したい。また、ヨーロッパは農業にGM技術とNBTSを受け入れるように発展途上国のためにリーダーシップを発揮し、農村における高齢化、多くの国で食糧不安、および気候変動など、農業における課題に対処すべきであると述べたことが、GMへの反対国が多いヨーロッパに、今後どのような影響を与えるか注目したい。

 アメリカ大豆協会(ASA)とその業界パートナーが米下院と上院に対して、バイオテクノロジーや農業生産について国民を教育するために300万米ドルの資金調達を支援するように農業予算歳出を促したことにも注目したい。「我々は、現代農業のツールを農民が取り込むことを妨げ、あるいは社会が現在および将来の食糧生産に関する課題を解決するための植物や動物の農業用途の進歩を中傷するあらゆる法的措置に反対し、農業技術の開発のための立法を維持することを促す」とこのグループは文書で述べている。

 我が国でも教育の重要性は周知のところであるにも関わらずさっぱり進んでいるとは思えない。東京工業大学の大隅良典先生がノーベル賞を受賞したことは素晴らしいことであるが、我が国でも「どうやれば科学がその座を取り戻すことができるのか?」というのは喫緊の課題である。文部科学省をはじめ、遺伝子組換えに関係する省庁のこの課題に関する明確で速い対応を望みたいのは、私だけではあるまい。

アフリカ
タンザニアで初のGMトウモロコシ試験圃場栽培を開始

南北アメリカ
Arcticゴールデンリンゴの最初の収穫が完了
米ダイズ生産者、遺伝子組換えの教育への支援を議会に要請
カナダが遺伝子組換え作物により20年間に得たもの

ヨーロッパ
GM作物への懸念を論じるセミナーをEU議会が開催

国際アグリバイオ事業団(ISAAA)アグリバイオ最新情報【2016年10月】
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/082400010/110800003/

 毎月第2・第4木曜日に配信している日経バイオテクGreenInnovationメールに掲載している記者や専門家によるコラムを掲載します。

PR・告知製品・サービス一覧人材・セミナー・学会一覧