アグリバイオ最新情報【2016年9月】のハイライト【GreenInnovation Vol.317】

(2016.10.13 08:00)
アグリバイオ最新情報【2016年9月】のハイライト
       ISAAA日本バイオテクノロジー情報センター(NBIC)の冨田房男代表

9月のハイライト

 世界規模の技術研究・顧問会社であるTechNavio社の新報告書によると、世界の遺伝子組換え(GM)種子市場は2020年まで10%に近い複利成長率(compound annual growth rate, CAGR)で成長する。その主なる要因は、バイオ燃料への利用上昇、動物飼料の需要増加、世界規模の食品企業からの非GM食品に対する圧力、そして非GM食品のプレミアム価格設定である。また、北米による市場優占が引き続き、2020年までに総市場シェアの約30%を占める可能性がある。北米の農業バイオテクノロジーの導入率の上昇は、この市場を革新し、農家には、環境条件─例えば旱魃、塩害、および病害など─の多くの作物の収量と生産に大きな影響を与えることに解決策を提供することになる。除草剤耐性と害虫抵抗性GMトウモロコシやダイズ種子の需要は、着実にこの領域での市場の成長を押し上げる。
GM作物のエネルギー作物としての利用が大きくなるとの予測である。

 2016年の世界穀物生産予測は、2566万トンに上り、7月の予測よりも22万トン上昇している。この予測によると世界的な小麦の収穫は、これまでにない増加となり、米国のトウモロコシも大きな上方修正が期待される。期待される穀類の増加によって在庫が多くなり世界的な在庫と利用の比率を25.3%押し上げることになり、これは、今シーズンの開始時に予測よりもさらに快適な需給状況になっていると国際連合食糧農業機関(FAO)が述べている。

 筆者自身まだ新聞のニュースでしか読んでいないが、興味ある書物が出版された。米Harvard大学教授のCalestuos Juma氏の書物で、「革新とその敵:なぜ人々は新技術に反対するのか」である。本書で遺伝子組換え作物や遺伝子改変サケを取り巻く課題を議論している。Juma氏によると、人々は実際に、その新規性の故に革新を見下しているのではないが人々の生活を混乱させる何かが入ってくることのために反対するのである。革新は、人々を人の経験に不可欠な自然やその感覚から引き離される傾向にある。読んでみたい本である。
 
 政策の面では、2016年9月16日に米国連邦政府は、バイオテクノロジー製品のための規制制度に対する国民の信頼を確保する上での重要な一歩を踏み出し、その制度下での透明性、予測性、協調性、及び制度の効率性を改善する。米国環境保護庁、米国食品医薬品局、米国農務省は、バイオテクノロジー製品のための連邦政府の規制システムを近代化するために、2つの文書を発表した。30年ぶりの改正とのことでやや遅いともいえるが、日本よりもましだ。その1つは、連邦政府がバイオテクノロジー製品の規制について3つの主規制機関の役割と責任の包括的な概要を作成したものである。もう1つの「バイオテクノロジー成果物の規制制度の近代化のための国家戦略」では、連邦規制制度は、将来のバイオテクノロジー成果物に伴ういかなるリスクをも効率的に捕らえるとともに革新、健康と環境の保全、国民の信頼を規制制度、透明性と予見性を高め、かつ不要なコストと負担を軽減するものとする。この戦略では、連邦政府機関は、バイオテクノロジーのこれからの成果物の安全性、規制制度の国民信頼の向上、将来の技術革新と競争力への不必要な障壁を防止するために、不断の努力をするというものである。
 筆者は、我が国も同様の戦略がなくては、食料はもちろん、バイオエネルギーでも大きな遅れをとることを懸念する。
 
 科学の面では、Bt以外の害虫制御蛋白質が見つかり、その有用性が確かめられたことがある。その1つは、北米とヨーロッパのコーンルートワーム(ハムシモドキの幼虫、WCR)に殺虫制御を示す非Bacillus thuringiensis(BT)蛋白質の発見であり、もう1つは、天然食用シダ、Tectaria macrodontaに存在するTma12として知られている蛋白質がワタのナジラミに対する効果があるとのことである。

世界
GM種子市場はバイオ燃料用途の増加で2020年まで拡大続く
FAOはトウモロコシ、コムギ、コメの生産増を予測
人々はなぜ遺伝子組換えのような革新的技術に反対するのか
 
南北アメリカ
米国環境保護庁、Syngenta社の新規トウモロコシスタック品種を承認
GM作物に関する史上最大の研究でその環境への影響が明らかに
米国でArcticフジリンゴが承認
コーンルートワームの制御のための非Bt蛋白質を発見
米国政府は、バイオテクノロジーに関する連邦規制政策を更新
 
アジア・太平洋
インドの技術委員会が遺伝子組換えマスタードの安全性認める

研究
シダ由来蛋白質を発現する遺伝子組換えワタがコナジラミを防御
雌蚊を減らす遺伝子を発見
 
新育種技術
トウモロコシの標的突然変異誘発のためのアグロバクテリウム配送型 CRISPR/CAS9

国際アグリバイオ事業団(ISAAA)アグリバイオ最新情報【2016年9月】
http://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/082400010/101200002/index.html

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