アグリバイオ最新情報【2016年8月】のハイライト【GreenInnovation Vol.315】

(2016.09.08 08:00)
アグリバイオ最新情報【2016年8月】のハイライト
       ISAAA日本バイオテクノロジー情報センター(NBIC)の冨田房男代表

8月のハイライト

 Purdue大学の研究者らにより、GM技術の禁止によって食品価格は地域によるが、0.27から2.2%に増加する可能性があることが示された。 またGM技術の禁止に関連する総福祉損失は9.75億米ドルになる。重要なバイオテクノロジー形質の損失の経済的影響に加えて、環境への影響も出ている。この研究では、完全な環境分析研究に行われなかったが、GMO形質を使わないことによる土地利用の変化と温室効果ガス排出量の損失の可能性について分析した。GMO技術が禁止で温室効果ガス排出量の大幅な増加が発生することを予見した。 これから明らかなように、遺伝子組換え作物の貢献は、消費者が直接感じる部分は少ないかもしれないが、実体はきわめて大きいことが明らかだ。

 オバマ大統領は、GM食品表示法案に署名し、法律とした。法案は、表示義務の法律の発効を防止し、食品メーカーは、GM食品のための3つの異なるラベルのいずれかを使用することを必要とするとして、上院議員Pat Robertsと Debbie Stabenow氏によって起草された。3つの表示法とは、(1)米国農務省(USDA)のGMOの存在を示すラベル、 (2)平易な言葉を使ったラベル、または(3)詳細成分にリンクしたスキャンコードである。USDAは、法律の実施に必要なガイドラインを作るワーキンググループを結成した。新しい法律はまた、2016年7月1日に発効したバーモント州のGMOラベリング法を無効にすることになる。このように大きな変化がでてきたが、実際はどうなるのか筆者もよく勉強したい。

 品種改良の点では、米国農務省(USDA)動植物衛生検査サービス局(APHIS)は、Okanagan Specialty Fruits社の褐変の起こらない遺伝子組換えフジリンゴ「Arctic」の最終申請(OSF)の規制当局の承認を求めていることを発表した。他の品種についてAPHISは、以前に検討し、規制緩和を行っている。近く承認されるとの見込みであり日本からの品種が海外において遺伝子操作により改良されるのは興味深いところだ。

 「スイスアカデミーは、新育種法(NBT)には厳しい規制が不必要とした」との報告がある。「新育種法(NBT):スイスの農業に大きな潜在的可能性と予測できないような未来 をもたらす」とした新しいファクトシートを公表した。スイスのアカデミーによると、新植物育種技術によって品種改良された植物に厳しい規制をかける理由はないとした。この結論は、他の科学アカデミーの声明と同様である。ファクトシートによると、新育種法(NBT)を介して行われたものは、自然におこることと同じであり、外来遺伝物質は、植物中に残っていない。したがって、新育種法(NBT)は、より環境に優しく、経済的に実行可能で、しかもスイスの農業のより持続可能性を提供するものであるとしている。これが我が国を含めどのような影響がでるか興味深い。

 作物以外であるが、遺伝子組換えの蚊で、蚊が媒介する病気を防ごうとする試みはすばらしいことと思う。

 ケイマン諸島モスキート研究とコントロールユニット(MRCU)とOxitec社により蚊のホットスポットであるWest Bayで始まった。Friendlyヤブカとして知られている遺伝子組換え(GE)の蚊はOxitecによって開発された。この蚊はデング熱、ジカ、チクングニヤ、および黄熱病の拡散を防止するために、幼虫の段階で若い昆虫を殺す遺伝子を持っている。

 遺伝子組換え(GM)によるオスの蚊は、野生のメスの蚊と交尾し、成虫なる前に死亡する幼虫ができる。米国でも食品医薬品局(FDA)は、Florida KeysでのOxitec社の自己制限OX513A蚊での治験研究では有意な影響(FONSI)も最終的環境アセスメント(EA)の最終的なになかったと発表した。調査結果によると、Key Haven、フロリダでのフィールドトライアルでは、環境に重大な影響をもたらすことはなかった。

世界
科学誌Scientific AmericanがWORLDVIEW2016を出版
Purdue大、遺伝子組換え生物禁止の経済的・環境的影響を評価

南北アメリカ
米国農業生産者の遺伝子組換え作物導入状況を米農務省が調査
Obama大統領がGM食品表示法案に署名
遺伝子組換えフジリンゴArcticの米規制当局による承認が間近に

ヨーロッパ
EUは、3種の遺伝子組換え作物ダイズの輸入を承認

研究
国際ポテトセンター、ジャガイモ葉巻ウイルス耐性ジャガイモを開発

新育種法(NBT)
スイスアカデミー、新育種法(NBT)には厳しい規制が不必要との声明
CRISPRを用いてキュウリで広いウイルス耐性の品種を開発

作物バイオテクノロジー以外
遺伝子組換え(GE)蚊がCAYMAN諸島とフロリダで疾患を制御

文献備忘録
国ごとの遺伝子組換え作物の状況と傾向

国際アグリバイオ事業団(ISAAA)アグリバイオ最新情報【2016年8月】
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/082400010/090700001/index.html

 毎月第2・第4木曜日に配信している日経バイオテクGreenInnovationメールに掲載している記者や専門家によるコラムを掲載します。

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