内閣府SIP次世代農林水産業の西尾PDが交代、ゲノム編集で「ヌルセグレガント」【GreenInnovation Vol.312】

(2016.07.28 08:00)
河田孝雄

 1カ月ぶりにGreenInnovationメールでお目にかかります、日経バイオテク編集の河田孝雄です。

 今回は、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の課題「次世代農林水産業創造技術(アグリイノベーション創出)」の話題をお届けします。内閣府SIPは2014年度から年500億円の予算で、5カ年計画で始まりました。現在の課題数は11。2016年度の予算は325億円で、次世代農林水産業の2016年度の当初配分額は、26億6000万円です。

 研究開発計画の基本的事項は「農政改革と一体的に、革新的生産システム、新たな育種・植物保護、新機能開拓を実現し、新規就農者、農業・農村の所得の増大に寄与。併せて、生活の質の向上、関連産業の拡大、世界的食糧問題に貢献」です。

 SIPで研究開発計画の策定や推進を担うプログラムディレクター(PD)は、次世代農林水産業では農林水産省系研究機関出身の西尾健・法政大学生命科学部教授が、発足以来務めてきました。

 この西尾PDが交代することが決まりまして、7月15日まで次のPDの公募が行われました。現在選考中で、早ければ9月初めから、新PDが着任します。

 SIPの11課題の中で、PDが交代するのは初めてではありません。2件目です。1件目は「自動走行システム」のPDが2016年4月に交代しまして、それまでサブPDを務めていた葛巻清吾・トヨタ自動車CSTO補佐が、PDに着任しました。

 SIPは2018年度までの施策ですので、残すところ2年余り。次世代農林水産業の次のPDにどなたが就任なさるのか、注目です。

 なにしろ、SIPの次世代農林水産業は、SIPの中でいち早く、10数億円規模の経済効果を既にもたらしているのですから、期待も大きいのです。

[2016-4-12]
内閣府SIP次世代農林水産業、「既に十数億円の経済効果」と久間議員
FRAと産総研の下痢性貝毒の標準物質が寄与
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/04/11/00532/

 さて、6月30日に公表されたSIP次世代農林水産業の研究開発計画から、特に注目しております「ゲノム編集技術等を用いた画期的な農水産物の開発」の2016年度の達成目標を、以下に転載します。

□□ここから転載
トマト、イネ、ジャガイモで栽培品種もしくは企業育種素材を対象に重要育種形質に関与する遺伝子をゲノム編集したヌルセグレガントを取得する。

マグロについては、ターゲット遺伝子をゲノム編集した系統を取得し、行動評価法と飼育法を改善。

開発される農水産物の社会実装の課題と対策を整理する。
□□ここまで転載

 ここで記載のある「ヌルセグレガント」は、ゲノム編集技術などを利用して開発した個体の後代の中で、導入した外来遺伝子を持たないもの、を意味しています。遺伝子組換え個体同士を交配する場合や、遺伝子組換え個体と非遺伝子組換え個体を交配する場合があります。

 ゲノム編集技術では、細胞にDNAを導入せずに行う方法など、用いる技術によっては、遺伝子組換えに該当しないとみられるものもあります。

 最後に、SIP次世代農林水産業の関連の最近の日経バイオテクONLINEの記事リストを以下に示します。

[2016-7-27]
理研CSRSと阪大、神戸大など、ジャガイモの有毒物質の抑制で萌芽を制御
内閣府SIPでゲノム編集育種に取り組む
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/07/26/01236/

[2016-6-13]
日経バイオテク6月13日号「機能性食材研究」(第30回)、オキナワモズク(本もずく)
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/series/16/06/08/00111/

[2016-4-22]
東大とBroad研、知財有力なゲノム編集CpfIの構造をCell誌で発表
SPring8運休の年初にスイスでX線回折
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/04/21/00597/

          日経BP社
           日経バイオテク編集
           河田孝雄

 毎月第2・第4木曜日に配信している日経バイオテクGreenInnovationメールに掲載している記者や専門家によるコラムを掲載します。

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