アグリバイオ最新情報【2016年4月】のハイライト【GreenInnovation Vol.307】

(2016.05.12 18:00)
  

アグリバイオ最新情報【2016年4月】のハイライト
     ISAAA日本バイオテクノロジー情報センター(NBIC)の冨田房男代表

4月のハイライト

 今年は遺伝子組換え(GM)作物の世界的商業栽培20周年にあたる。これを記念して、様々の行事が行われると予想されるが、その第一弾として、北京で4月13日にISAAAの創設者兼名誉理事長Clive James博士著「バイテク/遺伝子組換え(GM)作物の世界的商業栽培20周年(1996年から2015年)と2015年のハイライト」と題するISAAA年次報告書(51)が記者会見で公表された。報告書は遺伝子組換え作物の20年の実績と2015年のハイライトとしてISAAA理事会理事長Paul S. Teng博士が報告した。2015年の世界での作付面積は、28カ国で1.797億ヘクタールだった。これは、2014年の、1.815億ヘクタールから1%(180万ヘクタール)の減少となった。報告書では、わずかな減少は、日用品であるダイズ、トウモロコシ、ワタ、ナタネの価格低下によることを強調し、価格が改善されると回復すると述べた。今後の見通しでは、開発の途上にあるものまた新たな遺伝子組換え作物と新しい特性や製品の開発を生み出す新育種技術によるものの参入などで遺伝子組換え作物作付面積の拡大があると考えられる。

 新しい遺伝子組換え(GM)作物が規制外として扱われると報道された。その一つは、カナダ食品検査庁とカナダ保健省は、米J.R. Simplot社が開発した「Innate」ポテト4品種の商業的使用を規制外として承認した。また米国農務省(USDA)動植物衛生検査サービス(APHIS)は、2016年3月23日に米Monsanto社によって開発された2種の遺伝子組換えトウモロコシを規制外とすると発表した。さらに、米国農務省(USDA)は、CRISPR-Cas9を使用して遺伝改変した開発遺伝的に改変された白ボタンマッシュルームは、規制外とした。このように規制緩和も進んでいる中で相変わらず我が国は、遺伝子組換え作物に対する反対が多いのはいかにも不思議である。

 最近の遺伝子組換え作物受容性の調査結果が出た。1000人の米国成人に4月8-10日に科学的問題についてインタビューしたものだ。質問の一つは、「遺伝子組換え食品を食べるのは、一般的安全と思うか、安全ではないと思うか」であった。結果は、大学の学位を持つ回答者のほぼ半数(49%)は、GM食品は、「一般的に安全」であると答えたのに対して、短大レベルでは36%で、高校以下の修了者では22%だった。世帯収入もGM食品の受容度を左右する要因であることが判明した。世帯年収10万ドル以上の回答者層の半数(51%)は、遺伝子組換え作物を食べても安全としたのに対して、世帯年収5万ドルから10万ドルの回答者層では 42%、5万ドル未満の回答者層では26%だった。これを我が国に当てはめるなら当然ながらもっと理解が進み、受容性も高く出てもおかしくないと思うのは私の間違いだろうか。

 また、米国では業界からの動きもある。米食料雑貨品工業会(GMA)の2016年のサイエンスフォーラムの開会式で、GMAの理事長兼最高経営責任者が、「農家がバイオテクノロジーを利用する機会を失い、より多くの食品会社が再構築を余儀なくされ、消費者はより高い食品のコストに直面することになる」と政治家に呼び掛けた。さらにニュージーランドでも、バイオ関連団体のNIZBIOが政府に対して「事実に基づかない感情的な論議ではなく、遺伝子改変および他の非遺伝子組換え技術についての真理を検討すべきである」と強調した。

 我が国政府にも同様の動きが出ることを期待したい。

世界

FAO事務局長、持続可能な開発課題に見合う新たなやり方が必要と提起

北京で遺伝子組換え作物に関するISAAA年次報告書2015年を発表

遺伝子組換え作物が達成した業績で地球の日を祝った

アフリカ

インドーアフリカのワタおよび繊維部門の協力関係が強化

エジプトがバイオビジョン2016を主催

アフリカでの遺伝子組換え作物の栽培面積は2015年に350万ヘクタールに到達

南北アメリカ

4種の「Innate」ポテトがカナダで規制外との承認取得

USDA、遺伝子組換えトウモロコシ2品種を規制外と判断

GM食品の受容性は教育レベルと所得レベルの上昇とともに上昇

米食料雑貨品工業会、農業バイオテクノロジーの推進を米国議会上院に要請

アジア・太平洋

USAID、南アジアでのGMナスの開発などで米Cornell Universityを支援

ニュージーランドのNZBIO、遺伝子組換え法の見直しを政府に要請

中国、害虫耐性トウモロコシの栽培を計画

ヨーロッパ

世界的に広がるGMワタ栽培とその空白地帯

DEFRA、Rothamsted研究所のGMカメリナ圃場試験を承認

作物バイテク以外の話題

米Purdue大、ジカウイルスの構造を明らかに

USDA、ゲノム編集技術による遺伝子改変したキノコは規制外と判断
文献備忘録

GM生物の環境中の安全性評価に関するOECDの新出版物

https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/isaaa/16/05/12/00005/index.html

 毎月第2・第4木曜日に配信している日経バイオテクGreenInnovationメールに掲載している記者や専門家によるコラムを掲載します。

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