【機能性食品 Vol.360】

ルテオリンに注目、菊の花由来は尿酸値対策、唐辛子由来は食後血糖値対策

(2018.11.30 08:20)
河田孝雄
画像のクリックで拡大表示
画像のクリックで拡大表示

 定例の保健機能食品のアップデイトの前に、今週の取材から食品の機能性研究との関連を報告します。

 今週水曜日(2018年11月28日)は横浜パシフィコで開催中(11月30日まで)の第41回日本分子生物学会大会の初日を取材しました。

 ショウジョウバエの近縁種の研究で、多様なものを食べる(人間のような)広域食であるジェネラリストと、特定のものしか食べない(コアラのような)偏食であるスペシャリストを比較した発表がおもしろかったです。

 日本分子生物学会と日本生態学会とが連携した初のセッションで、京都大学の上村匡さんの発表でした。

【ワークショップ】分子生物学×生態学:生物学を原点に回帰する

【フォーラム】分子生物学×生態学:生物学を起点に回帰するPartII

が第2会場で連続して開催され、この両方で上村さんの講演がありました。

 分子生物学会と生態学会とが連携したイベントはこれが初めてのようです。

 分子生物学会のトップの杉本亜砂子さんと、生態学会のトップの占部城太郎さんが共に、東北大学の教授であることが、この連携の大きなきっかけになったと推察します。

 次世代DNAシーケンサー(NGS)とCRISPRなどのゲノム編集ツールの登場により、非モデル生物の研究が飛躍的に進み、必然的にモデル生物中心だった分子生物学会と、多様な生物を対象とする生態学会との距離が急速に接近しています。

 昨日木曜日(11月29日)は京都で開催中(11月30日まで)の「The 3rd International Symposium on Rice Science in Global Health」を取材しました。

 いわずもがなですが、お米は、日本の食生活で最重要な位置を占めています。14カ国から600人以上が参加しているようです。祝辞を含めると、地球上の全ての大陸から参加者が集まっているとのことです。素晴らしいですね。

 議長は、東北大学の宮澤陽夫さんがお務めです。

 この国際シンポジウムは10年毎に開催されています。第1回は京都で1998年に、第2回はスポンサーである築野食品工業の地元である和歌山にて08年に開催されました。

 要旨集を見て、自由民主党の二階さんと世耕さんが祝辞を寄せているのを知りました。朝9時開始のオープニングに間に合わなかったので1次情報ではありませんが、安部総理のメッセージが会場で披露されたとのことです。

 フィリピンの国際稲研究所(IRRI)の研究者は、CRISPRを用いたイネの育種について発表し、ゲノムDNAの2本鎖を切断することなく塩基を置換する技術にも言及しました。

 IRRIの活動にはかつて日本の貢献が大きかったようですが、今は中国の方々の存在感が高まっているようです。

 中国のゲノム編集技術の取り組みのスピードはものすごいです。皆さんご存知のように今週は、ヒト受精卵のゲノム編集で生まれた中国の赤ちゃんの発表が、大きく報道されました。

 懸念されるオフターゲット作用は発生してしまうことを避けられない場合も生じてしまうでしょうが、顕微授精など日本をはじめ先進国で普及している人為的操作によるランダムな突然変異発生に比べれば、ケタ違いに生じる変異は少ないのではと、個人的には考えております。

 さて、定例の保健機能食品の話題に戻りますが、この2週間では、特定保健用食品(トクホ)は11月16日に1品目、11月22日に1品目が新たに許可されまして、計1063品目になりました。特に新規性は無いかと思うので内容は割愛します。

 機能性表示食品の方は、11月16日(金)に4件(届出番号:D206からD209)、11月21日(水)に5件(D210からD214)、11月22日(木)に5件(D215からD219)、11月28日(水)に3件 (D220からD222)の届け出が公開されました。

 このうち今回は、届出番号がD221のDHCのサプリメント「ルテオリン 尿酸ダウン」を紹介します。

 関与成分は、ルテオリン。ポリフェノールの仲間でフラボノイドの仲間でもあります。

 配合しているルテオリンは、オリザ油化(愛知県一宮市)が2014年から事業化している菊の花由来の素材です。原料は中国産とのことです。

 キサンチンオキシダーゼを阻害することにより尿酸値対策になるというオリザ油化の研究者らの論文を根拠としています。1日目安量は10mgです。

 機能性関与成分として「ルテオリン」が登場するのは、初めてではありません。2番目です。

 最初の登場は、韓国企業が事業化している生鮮食品のトウガラシです。Wismettacフーズが「糖調唐辛子」(D123)について、食後血糖値対策の機能性表示を届け出しました。1日目安量は5mgです。

 こちらは、ルテオリンの作用機序として、インスリンのグルコース取込み能の改善、インスリン抵抗性の改善、α-グルコシダーゼ阻害作用などに関与していることを、届け出資料にて説明しています。

 今回このメールでルテオリンを紹介したのは、世界に先駆けて機能性食品の拠点となった日本で、京都大学農学部と共に中核となった東京大学農学部が、ルテオリンの作用メカニズムについて成果を発表しているからです。

 東京大学大学院農学生命科学研究科の井上順さんや佐藤隆一郎さんは、ルテオリンがHNF4αに結合して活性を抑制することを見いだし、さらには実験動物でルテオリンの摂取が抗肥満作用を発揮すると共に血中脂質プロファイルを改善させ,抗動脈硬化作用へとつながる可能性について発表しています。

 同じ東京大学研究科に付属する食の安全研究センターの小林彰子さんと阿部啓子さんらは、腸管上皮に発現しているコレステロール吸収トランスポーターNPC1L1を阻害することによって、食事に起因する血中のコレステロール濃度の上昇を予防することを見いだした成果を発表しています。

 原則毎週金曜日に配信している日経バイオテク機能性食品メールに掲載している記者によるコラムを掲載します。

日経バイオテク お薦めの専門書籍・セミナー

  • 「世界の創薬パイプライン2018/2019」
    海外ベンチャーの創薬プロジェクトを大幅拡充。自社の研究テーマと関連するパイプラインの動向、創薬研究の方向性や競争力、開発状況の他社比較に有益なデータとして、自らのポジショニングを確認できます。
  • 新刊「日経バイオ年鑑2019」
    この一冊で、バイオ分野すべての動向をフルカバー!製品分野別に、研究開発・事業化の最新動向を具体的に詳説します。これからのR&D戦略立案と将来展望にご活用ください

PR・告知製品・サービス一覧人材・セミナー・学会一覧