【機能性食品 Vol.355】

地球上最多ナンキョクオキアミが機能性表示食品の関与成分に登場、資源に配慮した漁獲

(2018.10.12 09:00)
河田孝雄
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 まずは、定例の保健機能食品のアップデイト情報です。

 機能性表示食品は、今週火曜日(2018年10月9日)に11件(届出番号はD123からD133)、翌水曜日(10月10日)に3件(同D134からD136) の届出情報を、消費者庁が公開しました。

 今回のメールでは、初登場の機能性関与成分の話題を紹介します。

 初登場の機能性関与成分とは、三生医薬(静岡県富士市)が2018年8月10日付で届け出を行ったサプリメント「SUNKINOUクリルオイルプラス」の機能性関与成分である「クリルオイル由来EPA・DHA」です。

 「クリルオイル由来EPA・DHAが含まれるので、靴下をはいたり脱いだりする時の膝の違和感を軽減する機能がある」旨を表示します。販売開始予定日は「2018年10月23日」と記載されていますが、実際の販売開始予定は未定とのことです。

 三生(「さんしょう」と読みます)医薬は、健康食品・医薬品等の受託製造企業です。自社での機能性表示食品の届け出は、今回のクリルオイルが12件目ですが、12件ともまだ実際には販売していません。

 受託製造を含めると、三生医薬が届け出に関わっている機能性表示食品は107件以上です。これは、東洋新薬(佐賀県鳥栖市、福岡市博多区)の127件(2018年9月28日時点の東洋新薬調べ)に次いで2番手です。

 「靴下の着脱時の膝の違和感軽減」という機能表示は魅力的かと思います。これは、2017年に薬理と治療にて発表した論文が根拠です。論文の著者の所属組織は、三生医薬、オルトメディコ、タカラクリニックです。

 バイオテクノロジーの寄与で重要な「作用機序に関する説明資料」では、7つの文献を引用しています。

 クリルオイルに含まれるEPAやDHA(この2つを以降、ω3と記載)はリン脂質型のため、腸管で吸収されやすいことを説明しています。クリルオイルには、アスタキサンチンが含まれますが、微量のため、今回の機能性表示への寄与は無視できる、としています。

 クリルオイルの原料は、ナンキョクオキアミです。その存在量は5億t前後とも推定されていて、地球上に存在する生物で総重量が最も大きな生物の1つのようです。寿命は最長6年程度のようです。年10万t程度、漁獲されているとのことですが、ナンキョクオキアミの生存バイオマスを減らしてしまう原因にはならないようです。

 三生医薬は、ノルウェーAker BioMarine社のクリルオイルを使用しています。

 Aker社のクリルオイルは、日本では2010年から白鳥製薬(千葉県習志野市)が配合したサプリメントの販売を開始しました。白鳥製薬グループの清光薬品工業が、この素材の輸入販売を現在も取り扱っているとのことです。

 米国では「一般に安全と認められる(GRAS)物質」と「新規ダイエタリーサプリメント成分(NDI)」としての認証を、Aker社は2011年8月までに米食品医薬品局(FDA)から取得しました。

 FDAのGRAS noticeを検索すると、Aker社がGRAS確認を取得したのは2011年2月7日で、番号は「GRN No.371」です。

 これより3年前の08年2月4日に、カナダNeptune Technologies and Bioressources社がGRAS確認を取得していることも分かりました(GRN No.242)。

 クリルオイルについては、2014年5月開催の第1回クリルオイル研究会の記事もご覧ください。

(2014.6.12)
第1回クリルオイル研究会に240人、「日本人のエビデンスが必要」と理事の橋本道男・島根大准教授が要望
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140611/176937/

 また、Aker社のクリルオイルは7年前のBioJapan2011の展示ブースでも取材しました。

(2011.10.5)
リン脂質ω3のAkerBioMarine社が「BioJapan2011」出展、浜崎智仁・日本脂質栄養学会前理事長が科学諮問委員会に出席
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20111005/155845/

 そのBioJapanは今日(10月12日)までの3日間、パシフィコ横浜で開催されています。展示発表など興味深くうかがいました。

 BioJapan2018と同じくパシフィコ横浜で開催されている日本人類学会第63回大会も取材しています。こちらの開催期間は明日(10月13日)までです。

 日経バイオテク2018年10月22日号の特集とりまとめを進めているエピゲノム関連の発表を重点的に聴いています。エピゲノムに欠かせない葉酸は、食品の機能性成分として重要です。“元気な赤ちゃん”はエピゲノムのキーワードです。

 今回の学会で「挙児獲得」という用語を知りました。取材不足ですね。調べてみると「挙児」は「妊娠出産」を意味し、「挙児獲得」は「子供を持つ」という意味ですが、 特に不妊治療や人工授精などの医学的アプローチにより子供を授かるための活動による場合に用いられることが多いようです。「挙児希望」は「子供を持ちたい」という意味です。

 原則毎週金曜日に配信している日経バイオテク機能性食品メールに掲載している記者によるコラムを掲載します。

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