まずは、定例の保健機能食品のアップデイト情報です。

 機能性表示食品はこの1週間では、先週金曜日(9月21日)に9件(届出番号:D98からD106まで)、今週水曜日(9月26日)に6件(D107からD112まで)を消費者庁が公表しました。

 このなかで、新たな機能性関与成分が登場しましたので紹介します。

 柑橘(カンキツ)類のブンタンの一種である河内晩柑(かわちばんかん)に由来するオーラプテンは「記憶力維持」、ボタンボウフウ(長命草)に由来するクロロゲン酸は「食後血糖値対策」という機能性を表示します。

 オーラプテンは、クマリン系化合物。クマリン (coumarin) は桜の葉など植物の芳香成分で、芳香族化合物の仲間です。

 オーラプテンを関与成分とする機能性表示食品は、えひめ飲料(愛媛県松山市)が届け出をした「POM(ポン) アシタノカラダ 河内晩柑ジュース」(届出番号:D100)です。

 「オーラプテンが含まれるので、中高年の方の、認知機能の一部である記憶力(言葉を記憶し、思い出す力)を維持する機能がある」という旨の機能性表示食品の表示をした商品を、2018年12月以降から販売開始します。

 えひめ飲料の機能性表示食品の届け出は、これが2件目。1件目は、骨対策のβクリプトキサンチンを機能性関与成分とする「POM アシタノカラダ」(A105)で、2016年1月からこの機能性を表示した商品の販売を開始しました。

 βクリプトキサンチンは、温州ミカンに豊富な成分です。農林水産省が国産農産物の消費拡大に向けた取り組みの中で、健康機能表示のエビデンス検証が行われました。

 今回のオーラプテンは、愛媛県の支援により、機能性表示食品の届け出を達成しました。愛媛大学、松山大学、愛媛県が推進しました。機能性表示の根拠となる論文は、Springer Nature社が発行するジャーナルにて2018年5月に発表しました。

※PubMed検索結果

Auraptene in the Peels of Citrus Kawachiensis (Kawachibankan) Contributes to the Preservation of Cognitive Function: A Randomized, Placebo-Controlled, Double-Blind Study in Healthy Volunteers.

Igase M, Okada Y, Ochi M, Igase K, Ochi H, Okuyama S, Furukawa Y, Ohyagi Y.
J Prev Alzheimers Dis. 2018;5(3):197-201.

 この論文の責任著者は、愛媛大学医学部附属病院特任教授/准教授の伊賀瀬道也さんです。同大学の抗加齢・予防医療センター長をおつとめです。松山大学の研究者も連名です。

 オーラプテンは柑橘類に含まれます。ハッサク由来のオーラプテン素材は、アークレイが2013年から「ラプテン」という商品名で販売しています。メタボリックシンドローム対策を訴求しています。アークレイからだサポート研究所が事業化している機能性素材の1つです。2015年にはカイゲンファーマと販売提携契約を結びましたが、現在はアークレイが単独で販売しています。

 食品の機能性成分は、生活習慣病対策などで多くの作用・機能性があるので、光のあてかたにより異なった機能性表示になります。

 今週紹介する2番目の機能性成分は、ボタンボウフウ由来クロロゲン酸です。

 クロロゲン酸を機能性関与成分名に含む機能性表示食品は、花王の2件があります。

 「ヘルシア クロロゲン酸の力 コーヒー風味」(C414)と「ヘルシア クロロゲン酸の力 黒豆茶風味」(C415)です。

 機能性関与成分名は「コーヒー豆由来クロロゲン酸類」で、「コーヒー豆由来クロロゲン酸類には、高めの血圧を下げる機能があることが報告されている。血圧が高めの方に適する」という旨の機能性表示を届け出しました。

機能性表示を行うエビデンスを示すための研究レビューでは、06年から07年に発表された論文3報が選ばれ、メタアナリシスの対象となりました。

 論文3報のラストオーサーはそれぞれ、国立循環器病研究センター研究所の北風政史氏、磯子中央・脳神経外科病院健康管理センターの土田隆氏、慶應義塾大学保健管理センターの齊藤郁夫氏(所属は当時)。共著者には、花王ヘルスケア研究所の研究者名も確認できる。採用された文献は全て、日本人を対象としたもので、文献で試験された食品は全て花王で製造された飲料。このため、日本人以外での効果や、製造者が異なり製造方法等が異なる可能性のある食品に関しての効果は不明であり、またサプリメント形態等の消化吸収等が異なる可能性のある食品に関しての効果も不明としています。

 クロロゲン酸も、オーラプテンと同じく、単一の化合物のようですが、当然のことならが類縁化合物が多数存在します。花王の関与成分名は「クロロゲン酸類」です。

 さて、今回のボタンボウフウ由来クロロゲン酸の機能性表示は“食後血糖値”対策です。「ボタンボウフウ由来クロロゲン酸は、食後に上がる血糖値を抑える機能が報告されている」旨を表示します。

 届け出を行ったのは、喜界島薬草農園(鹿児島県大島郡喜界町、石原健夫代表)。石原さんが社長を務めるビーエイチエヌ(東京・千代田)が、2013年に設立しました。

 この届け出では、文献検索の結果、2017年の論文1報を、機能性表示の根拠としています。

 発表したジャーナルは、ライフサイエンス出版が発行している「薬理と治療」の2017年4月号です(Jpn Pharmacol Ther 2017 45(4)627-34)。鹿児島純心女子大学看護栄養学部教授の中野隆之さんらが著者です。

 この届け出で注目したいのが、作用機構の説明です。(1)αアミラーゼの阻害、(2)αグルコシダーゼの阻害、(3)インクレチン分解酵素DPP4の阻害、(4)AMPK活性化による骨格筋GLUT4による糖の取り込みの促進、の4つです。このうち3番目のDPP4阻害は、「自社で実施したクロロゲン酸を含むボタンボウフウを用いた試験管内の酵素阻害試験で確認した」旨が記載されています。

 なお、2018年春に公表された、花王のコーヒー豆由来クロロゲン酸の表示の根拠とする研究レビューについても、以前にまとめた記事の中から、一部を紹介します。

 機能性表示を行うエビデンスを示すための研究レビューでは、06年から07年に発表された論文3報が選ばれ、メタアナリシスの対象となりました。

 論文3報のラストオーサーはそれぞれ、国立循環器病研究センター研究所の北風政史氏、磯子中央・脳神経外科病院健康管理センターの土田隆氏、慶應義塾大学保健管理センターの齊藤郁夫氏(所属は当時)。共著者には、花王ヘルスケア研究所の研究者名も確認できる。採用された文献は全て、日本人を対象としたもので、文献で試験された食品は全て花王で製造された飲料。このため、日本人以外での効果や、製造者が異なり製造方法等が異なる可能性のある食品に関しての効果は不明であり、またサプリメント形態等の消化吸収等が異なる可能性のある食品に関しての効果も不明としています。

 “多様な素材の多様な機能性”ですが、バイオテクノロジーは機能性を検証するメカニズムの解明に大きく貢献しています。