画像のクリックで拡大表示

 まずは、定例の保健機能食品のアップデイト情報です。

 機能性表示食品は、この2週間では、2018年8月10日(金)に4件、8月17日(金)に6件、8月22日(水)に1件の届出情報を消費者庁が公表しまして、2018年4月1日以降の届出件数が49件(最新の届出番号:D49)になりました。

 機能性関与成分の新規などは無いかと思います。

 今週は、一昨日(8月22日)から仙台の東北大学で開催されている日本食品科学工学会第65回大会の話題をお届けします。大会への参加者はおよそ1500人ぐらいとのことです。

 昨日(8月23日)午後には、IUFoST-Japanと日本学術会議健康・生活科学委員会の合同で公開シンポジウム「これからのいのちと健康と生活をまもる 食・生活から健康を考える」が開かれました。日本食品科学工学会は共催です。

 4演題のうち2番目に、清水誠さん(東京大学名誉教授、東京農業大学教授)が「食による睡眠の質の改善」と題する講演を行いました。

 清水さんご自身が講演の最初にお話しでしたが、睡眠をキーワードとした清水さんの発表は今回、初めて聴きました。睡眠に関する論文や英文の総説の共著者になられていることを知りました。韓国から来日した学生の指導がきっかけだったとのことでした。

 睡眠の質の改善に寄与する食の成分を数多く紹介した中で、特にグリシンとγアミノ酪酸(GABA)について解説しました。

 GABAの作用メカニズムの解説が特におもしろかったです。GABAは血液脳関門を通らないといわれていたので、まずはノルアドレナリン分泌抑制による血管弛緩で血圧を低下させ、抗ストレスに働くことが、睡眠の質の改善に寄与すると分析しました。

 次いで、腸にGABA受容体が存在することが分かってきたので、脳腸相関の神経系を介して脳に働きかけるというルートを説明しました。

 さらにはGABAが血液脳関門を少し通るという新しい知見を、そしてGABAは腸内細菌が合成することが分かってきたので食事で摂取しなくても体内に補給されることを紹介しました。

 最後に、このように多くの作用メカニズムが寄与し得ることが分かってくることが食品の機能性研究の醍醐味、という旨をお話しでした。

 今回の食品科学工学会大会の会場である東北大学に、2019年4月、食品健康長寿研究センターが発足します。東北大学教授・名誉教授の宮澤陽夫さんの講演で分かりました。

 東北大学では、1998年設立の未来科学技術共同研究センター(NICHE)にて2013年度から「戦略的食品バイオ未来産業拠点構築プロジェクト」が推進され、宮澤さんが率いています。宮澤さんは現在はNICHEの教授です。東北大学大学院農学研究科の教授を定年退官なさり、名誉教授になられています。

 食品健康長寿研究センターは、このプロジェクト推進の中核組織という位置付けのようです。

 宮澤さんは、初日(8月22日)午後のシンポジウムA3「日本食のグローバル展開に向けて」における講演「食品成分の本来機能を活かす3大疾病予防食品の開発」にて、この新組織についても紹介しました。

 このシンポジウムの最初の演者は、東北テクノアーチ社長の水田貴信さん。「『知』の集積と活用の場 研究開発プラットフォームの取り組み」と題した講演を行いました。水田さんは、農林水産省が主導して2016年度から進めている「知」の集積と活用の場の初年度に設立された「科学的根拠に基づく高付加価値日本食・食品産業研究開発プラットフォーム」のプロデューサーをおつとめです。

 既に100を超えるプラットフォーム(PF)が設立されていますが、TLO(技術移転機関)の方が、PFのプロデュサーをつとめているのは、水田さんの日本食PFが唯一のようです。

 PFはオープンな組織なのですが、PFのビジョン・哲学の下に新技術/新事業/イノベーションの創出を目指す具体的な取り組みとしてクローズドの研究開発コンソーシアムが設立されます。

 日本食PFでは毎年1つずつ設立されて、コンソーシアムが3つになったとのこと。100を超えるPFの中でも、コンソーシアム設立の実績で日本食PFがトップのようです。

 日本食品科学工学会第65回大会の会頭は、東北大学教授の池田郁男さんがつとめています。初日に「食品機能性研究の楽しさと難しさ」という演題名で、特別講演をなさいました。講演内容を追って、記事とりまとめに反映してまいります。

 池田さんは2018年3月末で東北大学大学院農学研究科の教授を定年退官になり、4月にNICHEの教授に就任しました。

 昨日の一般講演では、北海道大学教授の原博さんと九州大学教授の松井利郎さんが座長をつとめた「消化、吸収」のセッションが特におもしろかったです。分析技術の重要性をつくづく感じました。

 松井さんのグループは、イメージング質量分析(IMS)を用いてテアフラビンやカテキンの腸管吸収挙動を可視化した成果も発表しました。松井さんの研究室は、松本清張の「点と線」で有名な香椎に近い箱崎キャンパス(福岡市東区)から、伊都キャンパス(福岡市西区)への移転を、今週終えたとのことです。

 「消化、吸収」のセッションでは最初に、東北大学教授の仲川清隆さんが「ルテオリンの吸収動態と生理作用の評価:アグリコン/配糖体および動物種による違い」を発表しました。ラットとヒトとで大きな違いがあるのにびっくりしました。

 仲川さんは、大学院農学研究科の宮澤研究室の出身です。今回の大会では、大会実行委員の総務とプログラムのリーダーをつとめています。