【機能性食品 Vol.347】

植物性乳酸菌を用いた病者用食品が10月登場、東京オリンピックと忌避食への配慮

(2018.08.10 09:30)
河田孝雄
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 まずは、定例の保健機能食品のアップデイト情報です。

 機能性表示食品は、この1週間では、2018年8月3日(金)と8月8日(水)に届出情報を消費者庁が公表しまして、2018年4月1日以降の届出件数が38件(最新の届出番号:D38)になりました。

 このうち、8月3日公表のカゴメのラブレ菌飲料について、記事とりまとめました。

(2018.8.7)
カゴメが累計800億円のラブレ菌飲料に機能性表示
「お通じと腸内環境を改善」の表示を12月開始予定
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/18/08/06/04571/

 この機能性関与成分であるラブレ菌は、いわゆる植物性乳酸菌といわれる乳酸菌の1つです。日経バイオテクの最新号にて、乳酸菌やビフィズス菌などの菌株の文献情報などをまとめまして、ラブレ菌も紹介しています。

日経バイオテク2018年8月6日号○リポート
プロバイオティクス菌株の力自慢比較
市場拡大で健康機能の訴求強化、菌株ごとのエビデンス蓄積に新展開
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/082400017/080200036/

 さて、植物性乳酸菌は、今週月曜日に消費者庁が許可した「特別用途食品」にも、活用されています。

 バイオテックジャパン(新潟県阿賀野市)が、「1/25越後ごはん」「1/25プチ越後ごはん」の米飯商品2つについて、特別用途食品の「病者用食品(許可基準型)低たんぱく質食品」の表示許可を取得しました。

 1994年創業のバイオテックジャパンは、植物性乳酸菌を用いて蛋白質含有量を減らした米飯を01年から販売しています。今回許可を取得した「本品はたんぱく質の摂取制限を必要とする腎疾患等の方に適した食品」という旨の特別用途食品の許可表示は、2018年10月から開始します。

 同社は、この商品の製造に、どのような植物性乳酸菌株を利用しているかは、開示していないとのことです。

 バイオテックジャパンは、植物性乳酸菌のパイオニアで、乳酸菌桿菌(Lactobacillus)と乳酸菌球菌(Lactococcus)の両方を事業化していて、乳酸菌発酵のスターターとして植物性乳酸菌を企業向けに販売しています。

 低蛋白質米飯の表示許可取得は、今回のバイオテックジャパンの2品目の追加により、合計で10品目になりました。

 ホリカフーズ(表示許可取得は99年6月、以下同じ)、亀田製菓(05年9月に3品目、2014年4月に1品目)、佐藤食品工業(2010年8月に3品目)に、バイオテックジャパンが続きました。

 4社とも、新潟県の企業です。

 このうち亀田製菓は、新潟県の補助事業である医療用途食品機能性研究事業を活用して、2014年7月から産学連携・医食連携の「低蛋白質食事療法臨床研究プロジェクト」を推進しています。

 2014年4月に新潟大学大学院医歯学総合研究科に設立された「病態栄養学寄附講座」が中心となり、低蛋白質加工米の使用が蛋白質制限のアドヒアランスに与える効果の検討や、低蛋白質加工米を用いた蛋白質制限食が慢性腎臓病(CKD)患者の腎機能や栄養状態に与える影響、などについて研究を進めています。

 この新潟大の寄付講座は、亀田製菓による寄付で設置され、佐藤食品工業、バイオテックジャパン、ホリカフーズが協力しています。

 この取り組みは、2年前の以下の記事にて紹介しました。

(2016.11.2)
キッセイ薬品、病者用食品「げんた」シリーズの一部を販売中止
蛋白質の含有量が消費者庁許可の製品規格値を超過
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/11/02/01802/

 今回のメールではもう1つ、話題を紹介します。

 2年後に開催される東京オリンピック/パラリンピックに関連する話題です。

 世界各地から来日する人々への飲食提供への対応が急がれています。

 キユーピーが7月31日に発行したKewpie Newsの最新号にて、立命館大学食マネジメント学部教授の阿良田麻里子さんが執筆した「多文化共生時代のおもてなしのヒント」が公開されています。

https://qpnews.kewpie.co.jp/

 「アリ、セミ、イモムシ、カメムシ、コウモリ、イヌ、ウサギなどを普通に食べている人々は世界にいて、食べなれた人から見ると、これらの食材抜きの食生活は物足りないかもしれないけれど、一般的な日本人はこれらの食材抜きで豊かな食生活を満喫している。食べられると知っても、ほとんどの人は食べてみたいとも思わず、精神的な抵抗を覚え、間違って食べてしまうと吐き気や下痢などの身体的な反応を起こすこともある。宗教的な禁忌を持って生まれ育った人にとって、禁忌食材はこういったものに近い」「宗教的な禁忌や文化的な忌避は、好き嫌いの問題ではない」などの旨の解説をなさっています。

 「宗教的な禁忌は、大本のルールは1つでも、解釈や実践には地域差や個人差が大きい。食を提供する側が気を付けるべきなのは、あくまで食べる人本人が避けているものを、本人の意図に反して食べさせない、ということ。本人が避けていないものまで、勝手にこちらで判断して先回りして除去するということではない」とも記載されています。

 東京農業大学などで開催のハラール食のシンポジウムなどを何回か取材していて、記事にとりまとめたいと考えているのですが、この阿良田さんの解説はとても参考になります。

 2018年3月に発行された阿良田さんの著書「食のハラール入門 今日からできるムスリム対応」(講談社サイエンティフィク)も、読んでみたいと思っています。

 原則毎週金曜日に配信している日経バイオテク機能性食品メールに掲載している記者によるコラムを掲載します。

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