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 まずは、恒例の保健機能食品のアップデイト情報です。

 機能性表示食品については、この1週間では、2018年6月1日(金)に1件(届出番号:D1)、6月6日(水)に1件 (届出番号:D2)の合計2件を、消費者庁が機能性表示食品の届出情報を公表しました。有効な機能性表示食品の届け出は1326件程度になったかと思います。新しい機能性関与成分の届け出は特には無いようです。

 届出番号の冒頭のアルファベットが、これまで1年間「C」だったのが、「D」に変わったのは、2018年6月1日公表分から、届出日が「2018年4月1日」以降になったためです。

 機能性表示食品の届出件数は、初年度(2015年度)が310件、2年目(2016年度)が620件、この3月までの3年目(2017年度)が452件、となりました。

 2017年度の452件は、2016年度の620件に比べると、27%減です。

 もっとも件数よりも、機能性関与成分の“新規”がほとんどなくなってきたことが、気掛かりです。

 規制緩和が重要です。2018年度からは、機能性関与成分として「糖質、糖類」の届け出が可能になりました。特定保健用食品(トクホ)において、世界に先駆けた日本の研究成果が反映して認められた難消化性オリゴ糖、プレバイオティクスが、機能性表示食品でも認められるのです。

 2018年度で追加される機能性関与成分のもう1つ「植物エキス及び分泌物」は、届け出データベース(DB)改修後に受け付けが始まります。DBの改修は2018年に実施するのですが、まだ具体的な日程は公表されていません。

 2018年6月4日に政府の規制改革推進会議がとりまとめた「規制改革推進に関する第3次答申」にて、次の記載が盛り込まれましたので、紹介します。

 生鮮食品に含まれる成分が46通知の「専ら医薬品リスト」に記載されていても、機能性表示食品の機能性関与成分として届け出することができるようにすることや、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の研究レビューの拡充などが記載されています。

 「カルタヘナ法の運用改善」や、先週の機能性食品メールで紹介した漁業権の話題も以下に記録しておきますね。

6月6日に、衆議院の厚生労働委員会で、食品衛生法の改正案が可決され、今国会での成立が確実となったことも記載しておきます。

≪4≫医薬品医療機器総合機構(PMDA)による審査の効率化 9番目(最後)の項目

(9)カルタヘナ法の運用改善
【2018年度検討・結論、2019年度措置】

 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97号。以下「カルタヘナ法」という。)により生物多様性影響評価を行った後でなければ、我が国において治験を行うことはできないとされている一方、再生医療等製品において我が国の国際競争力を維持・向上させることも同様に重要な課題である。

 したがって、PMDAが審査を行うカルタヘナ法の大臣承認・確認手続に関して、2016年7月に行われた運用見直しを踏まえ、所要審査日数を計測するとともに、その結果を踏まえて更なる運用見直しの必要性を検討し、所要の措置を講ずる。

≪5≫食薬区分(昭和46年通知)の運用改善

 我が国の農業を成長産業に転換させるための方策の一つとして、医学や工学との連携により健康機能性の観点から差別化を図り、農林水産物を高付加価値化する必要性が指摘されている。

 ところが、生鮮食品に元から含まれる専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)を機能性関与成分とした場合には、当該生鮮食品を機能性表示食品として届け出ることが困難であり、高付加価値化の足かせとなっているという指摘がある。

 そのため、医療・介護ワーキング・グループにおいては、生鮮食品の機能性関与成分を適切に表示することを可能とする食薬区分の運用の在り方を検討し、以下の規制改革項目を取りまとめた。

(1)食薬区分に係る考え方の明確化
【2018年度検討・結論・措置】

「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46 年6月1日厚生省薬務局長通知)の「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に収載されている成分本質については、消費者庁の「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」(平成27年3月30 日消費者庁食品表示企画課長通知)において、機能性表示食品制度における「機能性関与成分」が、前記のリストに含まれるものでないことを確認することとされている。
 そのため、生鮮食品に元から含まれる専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)を機能性関与成分とした場合、当該生鮮食品やそれを調理・加工した食品を機能性表示食品として届け出ることが困難となっている。

 したがって、厚生労働省は、専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)を元から含む生鮮食品や、その成分本質を利用した加工品(伝統的発酵食品・サプリメント形状食品を含む。)の医薬品該当性に関してQ&A等にまとめて周知する。消費者庁は、その内容を受けて、機能性表示食品の届出の適否を判断する過程を明確化し、Q&A等に反映して周知する。

(2)食薬区分に関する相談・申請についての体制整備
【2018年度検討・結論・2019年度上期措置】

 人が経口的に服用する物が医薬品に該当するか否か明確でない新規成分本質(原材料)については、事業者は、「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」の記載に従い、その成分本質(原材料)の薬理作用や生理作用、毒性、食習慣等に関する資料を添えて、都道府県の薬務担当課を通じて厚生労働省に資料を提出し、判断を求めることができるとされている。

 食薬区分に関する照会は多数あるため、厚生労働省は全国からの照会に都道府県等を窓口として対応しているところであるが、前記の新規成分本質(原材料)に関する食薬区分上の判断を求める申請に関しては、事業者が厚生労働省に直接相談することを希望する声がある。

 したがって、事業者が新規成分本質に関して食薬区分上の判断を求めるための資料を都道府県の薬務担当課が確認したことを条件に、事業者と厚生労働省の双方の効率化に資するものについては、当該事業者が厚生労働省に直接照会することを可能とする体制を整備する。また、その旨をQ&A等に反映して周知する。

≪6≫機能性表示食品制度の運用改善

 国民の健康寿命を延伸させるためには、まずは国民一人一人が、自らが口にする食品の成分を正確に理解し、健康管理に努める必要があることは言うまでもない。機能性表示食品制度は、こうした健康管理に努める消費者に対して、食品の有する機能に係る正しい情報を分かりやすく提供することにより、消費者の選択肢を増やすために導入されたところであるが、流通過程での表示管理の複雑さや小規模な生産業者が多数を占めるなどの理由から、機能性表示食品において生鮮食品の数は限られたものとなっている。

 そのため、医療・介護ワーキング・グループにおいては、機能性表示食品制度の運用改善を検討し、以下の規制改革項目を取りまとめた。

(1)生鮮食品に係る食品表示の在り方の見直し
【措置済み】

 生鮮食品は出荷から販売に至るまでに箱詰め、小分け、パック詰めなどのプロセスがあり、容器包装の形態が変わるため、表示管理が複雑となりむしろ明確ではなくなっている。

 したがって、簡易的な表示を可能とする仕組みなど、生鮮食品に適した食品表示の在り方を業界団体等と協議し、結論を得た上でQ&A等に反映して周知する。また、ビタミンやミネラル等、生鮮食品が有する一般的な特徴について、どのような表示が可能であるのかを明確化し、Q&A等に反映して周知する。

(2)研究レビューの活用推進
【2018年検討・結論・措置】

 科学的根拠の明示、適切な生産・出荷管理、検査等において、生鮮食品の生産者・販売者には必ずしも十分なノウハウがなく、機能性表示食品の届出において負担となっている。

 したがって、機能性関与成分の機能性に関する科学的根拠については、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が提供する研究レビューを用いることで簡易に機能性表示食品の届出ができるよう、当該研究レビューの改善・拡充に向けた計画表を作成し公表する。また、スムーズに相談が行われるよう生鮮食品ごとに、その知見を有する部局を明確化する。

【2】水産分野
≪1≫今期の重要課題

 世界の一人当たりの魚介類消費量は過去半世紀で約2倍に増加し、世界人口の増加も続く中、世界全体での消費量は、同期間に約5倍に増えている。この需要の増大を反映し、世界の漁業生産量はこの30年間で約2倍になっている。これに対し、我が国の漁業生産量は同期間で約半分に減少、養殖業も1994年をピークに生産量が減少傾向にあり、我が国の水産業は、世界の潮流から大きく取り残されているように見える。

 我が国は世界の主要な漁場に位置し、その領海及び排他的経済水域(EEZ)は面積で世界第6位の規模を誇り、世界でも有数の好条件に恵まれている。この海水面の潜在力を最大限活かすことができれば、我が国の水産業の再興は決して難しいことではない。

 その潜在力を活かすための第一の課題は、水産資源の回復に向けた、新たな資源管理システムの構築である。豊かな漁場で持続可能な漁業を実現させるためには、科学的知見に基づく資源評価と、その資源評価に基づく資源管理を徹底することが不可欠である。

 評価すべき対象、手法、管理方式など資源管理システム全般を点検し、より実効ある仕組みへと再構築することが必要である。

 第二の課題は、漁業者の所得向上に資する流通構造改革である。水産物が廉価で不当に買い叩かれることなく、その価値が正当に漁業者へ還元されるよう、ICTも駆使しながら、サプライチェーンの不断の見直しを進める必要がある。

 第三の課題は、遠洋・沖合漁業を中心に、若者にとっても魅力ある漁業に転換し、国際競争力を高めるための制度改革である。漁業就業者の高齢化や担い手不足、周辺諸国の漁船大型化が進む中、インプット・コントロール中心の資源管理の下、我が国の漁船の漁獲能力が相対的に劣後し、働く現場としての漁船の環境の改善も進んでいない。生産性の向上と資源管理の両面に資する漁業許可制度の見直しが必要である。

 第四の課題は、養殖・沿岸漁業の発展に資する海水面利用制度の改革である。潜在力ある漁場を最大限活用できるよう、関連諸制度の合理化・透明化を徹底し、意欲と能力ある者が生産性の高い漁業を営むことのできる環境整備が不可欠である。とりわけ、成長が期待される養殖業の発展に向け、国の総合戦略の下、競争力ある養殖事業が成長できる環境整備が急務である。

 以上に示した課題認識の下、水産政策の在り方全般を点検し、以下に改革の具体案を示す。

≪2≫漁業の成長産業化に向けた水産資源管理の実現
(1)新たな資源管理システムの構築
【早期の関連法案提出を含め、速やかに措置】

 漁業の成長産業化のためには、水産資源を適切に管理し、基礎となる資源を回復・維持させることが不可欠である。このため、科学的知見に基づいた資源管理目標の導入や信頼できる漁獲データの収集、アウトプット・コントロールの効果的活用など、国際的にみて遜色のない科学的・効果的な評価方法及び管理方法を導入することが重要である。また、これにより、周辺関係国と共通に利用する水産資源の管理に関する議論をリードし、二国間協定・地域漁業管理機関など国際的な枠組みを通じて資源管理を徹底することにもつながる。

 したがって、以下の方針に即した新たな資源管理システムを構築することとし、法改正を含めた措置を速やかに講ずる。

a)国際水準の資源評価・資源管理を行う前提として、資源評価対象魚種については、原則として有用資源全体をカバーすることを目指す。このため、生産量の多い魚種や資源悪化により早急な対応が必要な魚種を速やかに評価対象とした上で、その他の有用な魚種についても、順次対象に追加する。

b)調査船調査の拡充、情報収集体制の強化など、調査体制を抜本的に拡充するとともに、人工衛星情報や漁業者の操業時の魚群探知情報などの各種情報を資源量把
握のためのビッグデータとして活用する仕組みを整備する。

c)資源管理目標の設定方式を、再生産を安定させる最低限の資源水準をベースとする方式から、国際的なスタンダードである最大持続生産量(以下「MSY」(Maximum Sustainable Yield)という。)の概念をベースとする方式に変更し、MSYは最新の科学的知見に基づいて設定する。

d)国全体としての資源管理指針を定めることを法制化する。この指針において、資源評価のできている主要魚種ごとに、順次、回復や維持を目指す資源水準として
の「目標管理基準」(MSYが得られる資源水準)と、乱獲を防止するために資源管理を強化する水準としての「限界管理基準」の二つの基準を設ける。後者の基準を下回った場合には、原則として10年以内に目標管理基準を回復するための資源再建計画を立てて実行する。

e)目標管理基準を満たす資源水準の維持や段階的回復を図るため、毎年度の漁獲可能量(以下「TAC」(Total Allowable Catch)という。)を設定する。TAC対象魚種は、漁業種類別及び海区別に準備が整ったものから順次拡大し、早期に漁獲量ベースで8割をTACの対象とする。

f)漁業許可の対象漁業については、TAC対象とした魚種の全てについて、準備が整ったものから順次、個別割当(以下「IQ」(Individual Quota)という。)を導入する。IQの導入に当たっての割当は、国が、漁業許可を受けた者を対象に、これまでの実績等も考慮して、漁船別に、TACに占めるIQの割合(%)を割り当てる方式とし、IQの数量は、毎年度、その年度のTACに基づいて確定するものとする。資源管理に対応しつつ規模拡大や新規参入を促すため、漁船の譲渡等と併せたIQの割合の移転を可能とする。

g)IQの円滑な導入及び資源の合理的な活用を図るため、IQの割当を受けた漁業者相互間で、国の許可の下に、特定魚種についてのIQ数量を年度内に限って融通できることとする。

h)IQだけでは資源管理の実効性を十分に確保できない場合は、操業期間や体長制限等の資源管理措置を適切に組み合わせる。

i)上記の資源管理を着実に実施するため、
・漁業者に対し、TAC対象魚種の全てについて、水揚げ後の速やかな漁獲量報告を義務付ける。その際、ICT等を最大限活用し、迅速に報告されるよう
にする。

・逐次漁獲量を集計し、資源管理上必要な場合には、適切なタイミングで採捕停止など各種措置命令を発出する。

・IQの超過に対しては、罰則やIQ割当の削減等の抑止効果の高いペナルティを講ずる。

j)海区漁業調整委員会については、適切な資源管理等を行うため、委員の選出方法を見直すとともに、資源管理や漁業経営に精通した有識者、漁業者を中心とする
柔軟な委員構成とする。

k)新たな資源管理措置への円滑な移行を進めるために、減船や休漁措置などに対する支援を行う。

l)新たな資源管理システムの下で、適切な資源管理等に取り組む漁業者の経営安定を図るためのセーフティネットとして、漁業収入安定対策の機能強化を図るとと
もに、法制化を図る。

(2)栽培漁業の在り方の見直し
【2019年度措置】

 種苗生産、放流、育成管理等の栽培漁業については、資源管理の一環として、日本国内沿岸の資源に与える効果に関する検証が必要である。また、単一の都道府県や漁業協同組合(以下「漁協」という。)による種苗放流が複数の都道府県の資源回復につながるといった実態を踏まえ、国全体として効果ある栽培漁業に重点化していくことが重要である。

 したがって、
a)従来から実施してきた栽培漁業に関する事業については、資源造成効果を検証し、資源造成の目的を達成したものや効果の認められないものは実施しないこととする。

b)資源造成効果が高い手法や対象魚種については、今後とも事業を実施するが、その際、国は、広域魚種を対象として必要な技術開発や実証を行うなど、都道府県と適切に役割を分担する。また、広域回遊魚種等については、複数の都道府県が共同で種苗放流等を実施する取組を促進する。

≪3≫漁業者の所得向上に資する流通構造の改革
【早期の関連法案提出を含め、速やかに措置】

 我が国の漁業者が所得を増やしていくためには、水産物流通におけるトレーサビリティの確保や品質・衛生管理の強化、水産物流通の集約化と情報共有の迅速化により、漁業者が生み出す価値を消費者に適切に伝え、水産物の付加価値を高める取組が重要である。また、世界的な魚食需要の増大が見込まれる中、国内にとどまることなく、海外市場を含む需要を開拓することが重要である。

 したがって、
a)マーケットインの発想に基づき、以下の取組等を強力に進める。

・物流の効率化(加工業者との連携による低コスト化、高付加価値化等)

・ICT等の活用(取引の電子化、AI・ICTを活用した選別・加工技術の導入等)

・品質・衛生管理の強化(新たな鮮度保持技術の導入、水産加工施設のHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)対応等)

・国内外の需要への対応(輸出の戦略的拡大等)

b)漁業者の所得向上に資するとともに、消費者ニーズに応えた水産物の供給を進めるため、産地市場の統合・重点化を推進し、そのために必要な漁港機能の再編や
集約化、水揚漁港の重点化を進める。また、消費地にも産地サイドの流通拠点の確保等を進める。

c)資源管理の徹底、IUU(Illegal Unreported Unregulated:違法・無報告・無規制)漁業の撲滅、輸出促進の観点から、トレーサビリティの出発点である漁獲証明に係る法制度の整備を進め、必要度の高いものから順次対象とするとともに、ICT等を最大限活用したトレーサビリティの取組を推進する。

d)漁業生産コストの引下げを図るため、国内外における漁業生産資材の供給状況に関する調査を行うとともに、最先端の技術の導入や漁船、漁網等の主要資材の調
達先、調達方法等の見直し等を進める。

≪4≫漁業の成長産業化と漁業者の所得向上に向けた担い手の確保や投資の充実のための環境整備

(1)生産性の向上に資する漁業許可制度等の見直し
【a,b,c,d,e,f,g:早期の関連法案提出を含め、速やかに措置、h:2018年度検討開始、結論を得次第速やかに実施】

 遠洋・沖合漁業に適用される許可漁業については、近隣諸国漁業者に比肩する競争力の維持・強化が必要である。このため、国際的に遜色のない新たな資源管理システムを構築する上で、漁船の大型化やハイテク化、若者などの担い手を惹きつける居住性の向上や労働環境の改善など、遠洋・沖合漁業の生産性の向上と国際競争力の強化に資する仕組みとすることが求められる。併せて、海技士の乗組基準等の船舶安全規制についても、実態を踏まえた不断の検証と合理化が必要である。加えて、船舶の規模に応じて一律に適用される海技士の乗組基準については、漁船乗組員の確保が容易ではない中にあって、漁船の性能や操業の実態に即して更に吟味すべきとの指摘がある。

 したがって、
a)TAC対象魚種など主要資源の管理を適切に進めていく観点から、現行の漁業許可の4区分を大臣許可漁業と知事許可漁業の2区分に整理するとともに、試験開発操業の一層の活用等により、新たな漁法等の導入を促す。

b)IQ導入等の条件が整った漁業種類については、インプット・コントロール等に関する規制を抜本的に見直し、トン数制限など漁船の大型化を阻害する規制を撤
廃する。なお、IQだけではカバーできない資源管理上の規制(操業区域、操業期間、体長制限など)は、必要に応じ活用する。

c)漁船の譲渡等に際しては、承継者に許可を行い、同時にIQも移転することとする。

d)漁業許可を受けた者には、資源管理の状況・生産データ等の報告を義務付ける。

e)資源管理を適切に行い、かつ生産性の高い漁業者が遠洋・沖合漁業を担う漁業構造にしていくため、資源管理を適切に行わない漁業者や生産性が著しく低い漁業
者に対しては、改善勧告、許可の取消しを行う。

f)大臣許可漁業に関し、許可を受けた漁業者の廃業などの場合に、随時、新規許可(それぞれ期限を設定)を行う制度とし、一斉更新制度(一定の時期に全ての許可の期限を終了させ、新たに許可を出す制度)は廃止する。

g)漁獲報告の迅速化と、報告内容の正確性の向上を図るため、漁獲報告の電子化・VMS(Vessel Monitoring System)の備付けを義務化する。

h)海技士制度について、以下の検討を進める。
・船舶職員養成施設の入学要件の見直しによる早期受験資格の取得、e-ラーニング教材の活用拡大などの免許取得方法の多様化、科目合格の有効期間延長等受験機会の拡大により、海技資格の取得を促す環境を整備する。

・近海(100 海里以内)を操業する中規模(総トン数20 トン以上長さ24m未満)の漁船の機関に関する業務の内容について、国土交通省と水産庁が協力して実態を調査し、その結果及び今後の技術の進展に係る調査の結果を踏まえて、安全運航の確保を前提に、必要とされる海技資格の在り方について検討する。

(2)養殖・沿岸漁業の発展に資する海水面利用制度の見直し【早期の関連法案提出を含め、速やかに措置】

 養殖・沿岸漁業については、都道府県が漁場計画を、漁業者と有識者で構成される海区漁業調整委員会の意見聴取の上で策定し、漁場計画に基づく漁業権を漁業者や漁協等に付与する形での漁場管理がなされてきた。しかし、漁業権の付与に当たっては、地元の漁協や漁業者等が一律に優先されており、漁場を活用する意欲と能力ある者の操業を推し進めるという視点とは異なっている。また、漁場の活用状況の一元的な管理がなされていないケースが多く、遊休の漁場の活用が進みにくい。一方、養殖業については、海外への養殖魚の輸出拡大も踏まえ、漁場利用の他に、養殖技術の民間企業と公的機関が連携した研究開発の促進、人工種苗の活用と種苗の品種登録による成果の保護等、成長産業化のための環境整備が必要不可欠である。

 したがって、
a)養殖・沿岸漁業に係る制度については、以下の考え方に基づき再構築する。

・養殖・沿岸漁業は限定された水域(漁場)を活用して営む漁業であるため、資源管理を適切に行い、漁業をめぐるトラブルを回避する観点から、今後とも漁業権制度を維持する。

・その際、漁業の成長産業化にとって重要な養殖業の規模拡大や新規参入が円滑に行われるようにする観点から、漁業権付与のプロセスを透明化するととも
に、漁業権の権利内容の明確化等を図る。

・加えて、都道府県が沿岸漁場の管理の業務を漁協等に委ねることができる制度を創設する。

b)漁業権付与の前提となる漁場計画については、都道府県は、従来と同様、原則として5年又は10年ごとに、海区漁業調整委員会の意見を聴いて、海区ごとに漁業権(定置漁業権、区画漁業権及び共同漁業権の3種類)の区域等を盛り込んだ「漁場計画」を策定し、公表する。また、必要に応じ、随時改定を行う。

c)漁場計画の策定に当たって、都道府県は、当該海区の資源管理を適切に行いつつ、当該海区の海面を最大限に活用できるように留意し、可能な場合は、養殖のための新区画の設定を積極的に推進する。

d)沖合等に養殖のための新たな区画を設定することが適当と考えられる場合は、国が都道府県に対し、新たな区画を設定するよう指示等を行う。

e)都道府県は、漁場計画の策定に当たって、新規参入希望者を始め関係者の要望を幅広く聴取するとともに、その要望に関する検討結果を公表することとし、こうした手続を法定する。

f)漁業権の種類は、従来と同様、定置漁業権、区画漁業権、共同漁業権とする。

g)定置漁業権及び区画漁業権は、個別漁業者に対して付与する。区画漁業権については、当該区画を利用する多数の個別漁業者が、その個別漁業者で構成する団体
に付与することを要望する場合には、漁業者団体(漁協)に付与する。

h)共同漁業権は、一定の水面を共同で利用する多数の漁業者で構成する漁業者団体(漁協)に付与する。

i)個別漁業者に付与する漁業権(個別漁業権)は、当該漁業者の経営展開等に必要な範囲で、都道府県の関与の下で、抵当権の設定等を可能とする。

j)漁業者団体に付与する漁業権(団体漁業権)については、漁業者団体がそのメンバーたる個別漁業者間の漁場利用に係る内部調整(費用の徴収等を含む。)を漁業権行使規則に基づいて行う。漁業権行使規則はメンバー以外には及ばない。

k)団体漁業権に関係する個別漁業者が当該団体の構成員の一部である場合には、当該団体漁業権に関係する地区の漁業者からなる地区部会を当該団体の中に常設し、当該地区部会が漁業権行使規則を制定し運用する。

l)団体漁業権を付与された漁業者団体は、定期的に、当該団体漁業権に関係する漁業の生産力の維持発展に向け、協業化、法人化等の方策を含めた計画を策定する
ものとする。

m)都道府県が漁業権を付与する際の優先順位の法定制は廃止し、これに代えて、都道府県が付与する際の考慮事項として以下の事項を法定する。

・既存の漁業権を受けた者(以下「漁業権者」という。)が、水域を適切かつ有効に活用している場合は、その継続利用を優先する。

・上記以外の場合は、地域の水産業の発展に資すると総合的に判断される者に付与する。

n)漁業権者は、漁業権の活用状況、資源管理の状況、生産データ等を都道府県に報告する。都道府県は、既存の漁業権者が水域を適切かつ有効に活用していない場合には、改善指導、勧告、さらには漁業権の取消しを行う。

o)沿岸水域の良好な漁場の維持と漁業生産力の維持・向上のための漁場管理を都道府県の責務として法定する。その上で、都道府県は、漁場管理の業務を適切な管理能力のある漁協等にルールを定めて委ねることができる制度を創設する。

p)漁場管理の業務を委ねられた者は、そのルールの範囲内で、業務の実施方法等を定めた漁場管理規程を策定し、都道府県の認可を受けるものとし、業務の実施状況を都道府県に報告する。業務に関し漁協等のメンバー以外から費用を徴収する必要がある場合は、漁場管理規程には、漁場管理に要する費用の使途、負担の積算根拠を明示することとし、毎年度その使途に関する収支状況を公表するものとする。

q)養殖業発展のための環境整備として、以下の措置を講ずる。

・国内外の需要を見据えて戦略的養殖品目を設定するとともに、生産から販売、輸出に至る総合戦略を立てた上で、養殖業の振興に本格的に取り組む。

・技術開発については、魚類養殖経営のボトルネックとなる優良種苗・低コスト飼料等に関する技術開発・供給体制の整備を強化する。

・国際競争力ある養殖を育成するため、実証試験等の支援を拡充する。

・静穏水域が少ない我が国において養殖適地を拡大するため、大規模静穏水域の確保に必要な事業を重点的に実施する。また、養殖場として、漁港(水域及び陸域)の有効活用を積極的に進める。

・拡大する国際市場を見据え、HACCP対応型施設の整備や輸出先国に使用が認められた薬剤数の増加など、輸出を促進するための環境を整備する。

(3)魚類の防疫に関する事項
【2018年度検討・結論、2019年度措置】

 養殖業を成長産業として発展させるためには、発生した場合に大きな損失が生じかねない魚病を適切に予防し、対処することが必須である。特に、抗生物質の多用による薬剤耐性菌の蔓延が世界的に懸念されており、効果のあるワクチンの適時的確な利用の重要性が指摘されている。

 そのような中で、ワクチンの開発やその承認手続の迅速化が一層求められるとともに、ワクチンを使用する養殖事業者等の幅広い関係者においては、魚類防疫に関する知識を修得することがこれまで以上に重要となる。

 したがって、
a)魚類の防疫に関する体系的な知識とそれを身に着けるための研修等の蓄積を基礎に、養殖業の発展を担う民間の養殖業関係者が魚類の防疫に関する知識を修得
できる環境を整備することとし、研修や魚類防疫士資格の取得機会の民間への開放を含めた必要な方策を検討し、結論を得て、実行する。

b)水産用ワクチンを始めとする魚病に関わる薬剤の承認審査期間を更に短縮するため、承認審査手続の一層の効率化、海外で承認されている薬剤に関し、海外での各種基礎データや利用実績等に関する情報の活用等を通じた審査方法の簡素化について検討し、具体的な期間短縮の目標と実現のためのロードマップを関係府省連携の上作成し、実行する。

(4)水産政策の方向性に合わせた漁協制度の見直し
【早期の関連法案提出を含め、速やかに措置】

 今般の水産改革を実行し、漁業者の所得向上につながる成長産業化を実現するためには、改革の趣旨を踏まえた、漁協の積極的関与が不可欠である。

 しかしながら、一部の漁協について、使途や負担水準の不透明な漁場行使料を徴収する、資材の仕入れ・出荷等をめぐり不文律の下で組合員に不必要な負担を強いるなど、ガバナンスの不全が危惧される問題点が指摘されている。

 したがって、漁協については、これまで漁協が果たしてきた役割・機能を評価しつつ、水産政策の改革の方向性に合わせて、以下に掲げる見直しを行う。

a)漁協を、団体漁業権の主体や、漁場管理の実施者という公的機能の担い手として位置付けることとし、以下の点を法定する。
・漁協の事業として、≪4≫(2)及びpの漁場管理業務を行えることとする。

・団体漁業権や漁場管理に係る業務に要する費用の一部を漁業者等から徴収する場合には、漁業権行使規則、漁場管理規程を定め、都道府県の認可を受ける。

・漁場管理業務に関し、漁協のメンバー以外から費用を徴収する場合は、その使途に関する収支状況を明確化するとともに、情報開示を行うこととする。

・団体漁業権に関係する個別漁業者が漁協の構成員の一部である場合には、当該団体漁業権に関係する地区の漁業者からなる地区部会を漁協の中に常設し、そこで漁業権行使規則などを定められるようにする。

・全国漁業協同組合連合会(以下「全漁連」という。)は、漁協における団体漁業権や漁場管理に係る業務の適正化を図るための事業を行うことができることとする。

b)漁協の組織・事業体制を強化するために、以下の措置を講ずる。

・漁協の目的として、漁業者の所得向上を図ることを法律で明記する。

・漁協の役員の中に販売のプロ等を入れることを法律で明記する。

・信用事業を行う信用漁業協同組合連合会等に対して、全漁連による監査に代えて、公認会計士監査を導入する。

・漁業生産組合の株式会社への組織変更を可能とする仕組みを導入する。

・国は、産地市場の統合など、販売力の強化を進める上で必要な場合には、漁協の広域合併を促進する。