【機能性食品 Vol.334】

雪印の内臓脂肪対策ガセリ菌はトクホで販売1.4倍、不二製油は水溶性大豆多糖類の生産能力を大幅増強

(2018.05.11 07:30)
河田孝雄
固い表情で登壇した雪印メグミルクの経営陣
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不二製油が配布した低GI緑茶チョコ
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 ゴールデンウィークの関連で2週間ぶりに配信します。

 まずは、恒例の保健機能食品のアップデイト情報です。

 特定保健用食品(トクホ)は、2018年5月9日に1品目が許可になり、トクホの総数は1084品目(許可1083品目+承認1品目)になりました。

 武田薬品工業のグループ企業が初めてトクホを発売したことも記載しておきます。武田コンシューマーヘルスケアは、2018年1月25日にトクホ表示許可を取得した清涼飲料「ヘルシーインW」の発売を、5月7日に通信販売で開始しました。関与成分は、低分子化アルギン酸ナトリウムで、コレステロール対策と整腸作用の2つの機能を表示しています。

 武田コンシューマーヘルスケアは、武田薬品のジャパンコンシューマーヘルスケアビジネスユニット(JCHBU)事業を継承して2017年4月から営業を開始しました。

 武田薬品のこのたびのアイルランドShire社の買収に充てる費用は、日本のトクホ市場全体の10倍ですね。

 一方、機能性表示食品は、4月27日に1件(届出番号:C422)、5月2日に1件(C423)、5月9日に7件(C424からC430まで)、届け出受理が追加されました。これにより、有効な機能性表示食品の届け出は1302件程度になったかと思います。

 今回増えた9件では、機能性関与成分の新規は無いかと思います。肥満対策のアフリカマンゴノキ由来エラグ酸を機能性関与成分とする機能性表示食品は今回2件増えまして、合計3件になりました。

 さて今回のメールでは、5月10日に2018年3月期の決算発表会を取材した雪印メグミルクと、不二製油の話題をお届けします。

 雪印メグミルクの決算説明会は、投資家向けの後の報道機関向けに参加しました。

 雪印の2018年3月期の連結売上高は前期比1.3%増の5961億円。2019年3月期の売上高予想は同1.5%増の6050億円です。前身の雪印乳業は年商1兆円を超えて食品業界のNo.1企業でしたが、2000年の集団食中毒事件と2002年の牛肉偽装事件で解体状態になりました。

 再建を経て2011年に発足した雪印メグミルクは当初、年商5000億円強でしたが、ほぼ7年かけて6000億円を超えることになります。2019年3月期の営業利益は190億円、継受尾齢期は200億円と予想しています。

 同社の資料によると、家庭向け乳製品のシェアは、バターが32.8%(雪印メグミルク単体の売上高が221億円)、油脂が37.2%(129億円)、チーズが18.7%(771億円)とのことです。

 ヨーグルトのシェアは11.0%。その中で、ガセリ菌の商品が好調です。

 「内臓脂肪を減らすのを助ける」トクホの表示を3月下旬から開始してリニューアルした個食タイプヨーグルト「恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト」は、それまで機能性表示食品として販売していましたが、トクホへの切り替えにより、1日平均の販売数量が1.4倍になったとのことです。

 機能性表示食品として引き続き販売しているガセリ菌のドリンクヨーグルトも好調。2018年3月期(2017年度)は2014年度に比べ、販売量が1.91倍に増えました。ドリンクヨーグルトの市場全体は1.46倍だったので、雪印のシェアが増大しました。2018年3月には京都工場の生産ラインの増設が完了し、小型プラボトルタイプの生産能力は、発売当初の4倍に増えました。2018年度は2014年度比2.52倍を予想しています。

 機能性表示食品とトクホを含むガセリ菌SP株ヨーグルト商品群5品では、2018年度に2017年度比1.5倍を目指します。

 5月10日には、明治が「明治プロビオヨーグルトLG21」のブランドリニューアルを発表しました。商品パッケージ正面の目立つ表示文言は「胃で働く乳酸菌」。現在の商品には「胃で働く乳酸菌」と記載されていますが、5月中旬から順次、切り替わります。

 なお、雪印の決算発表会の最初には、連結子会社の雪印種苗が種苗法における違反行為等の問題を起こしたことについて、登壇者4人が陳謝しました。

 不二製油グループ本社は、2018年3月期の売上高が3076億円(前期比105.2%)、営業利益が205億円(104.0%)。それぞれ3000億円、200億円の大台を初めて超えました。

 エリア別では、米州(北米およびブラジル)での営業利益が前年比162%の37億円と、急伸しました。米国において特に低トランス酸パーム油が伸長し、収益性が向上したとのことです。

 売上高の海外比率は現在、38.5%ですが、中期経営計画の最終の2020年度に50%を超えることを計画しています。

 日本国内では、大豆事業の構造改革が進行して高付加価値化が順調に進んでいるとのことです。

 中でも独自素材である水溶性大豆多糖類は、乳酸菌飲料向けの需要拡大に伴い、生産能力の上限に達しました。他の大豆素材に比べ、重量単価が1ケタ大きい高付加価値の素材です。

 水溶性大豆多糖類の生産能力は年400tで、2017年度にフル生産になったとのこと。中国に1ライン増設するなどの設備投資により、年数100t規模の増産体制を整備しています。

 水溶性大豆多糖類を生産する欧米企業は現在も無いとのこと。中国には数社が生産しているけれども、日本市場には入っていないと説明がありました。品質面などで違いがあるようですね。不二製油は、エンドウマメなど大豆の他の豆類についても、水溶性多糖類の開発を進めているようです。

 この水溶性大豆多糖類の事業化は93年に始まりました。この開発に貢献した不二製油グループ本社の前田裕一取締役は、08年に紫綬褒章(しじゅほうしょう)を日本国政府から授与されました。条件を工夫することにより、大豆オカラから高純度の水溶性大豆多糖類が抽出できることを見いだして世界で初めて工業化したことや、水溶性大豆多糖類の用途に応じた改良を加えて従来の技術ではできなかった低粘度の酸性乳飲料や米飯・調理麺等の物性改良を実現して食品業界や食生活に貢献したことが評価されました。その前田取締役は、2018年6月21日付で取締役を退任する予定です。

 不二製油グループ本社の決算説明会では、「低GI GREEN TEA CHOCOLATE」などのチョコレートが参加者に配られました。低GIのチョコは、静岡県島田市の「島田市緑茶化計画」の一環で、横浜薬科大学総合健康メディカルセンター長の渡邉泰雄教授らが監修して開発された商品で、ウエルシアホールディングスのウエルシア薬局で2017年3月末から販売が始まりました。

 砂糖は含まずに替りにマルチトールを配合した低GIチョコレート(GI値は31.7)に、島田市で製造された緑茶粉末を10%配合したもので、1袋(50g入り)にカテキン682mgを含み、森永乳業のシールド乳酸菌M1を200億個配合しました。

 このチョコレート素材を不二製油が供給しているようです。不二製油グループでは、マルチトールのチョコレートに血糖値対策のサラシア抽出物を配合した健康チョコレート「バランスショコラ」を販売していますね。

 原則毎週金曜日に配信している日経バイオテク機能性食品メールに掲載している記者によるコラムを掲載します。

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