【機能性食品 Vol.323】

インフルエンザ、花粉症対策にプロバイオティクス、わずか10遺伝子の3割がRNAポリメラーゼ

(2018.02.16 10:30)
河田孝雄
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 不快な花粉の季節がやってきました。今年(2018年)春の飛散量は、2017年春より多いようです。東北地方は2倍超え、関東や甲信、四国は1.5倍と予測されています。

 今年は、インフルエンザの患者数も、3週連続で最多(1999年の調査開始以降)を更新したとのこと。

 今回のメールでは、花粉症やインフルエンザを話題にします。花粉症は国民の4人に1人という推計があり、患者数はおよそ3000万人と見積もることができます。インフルエンザは1400万人程度のようですが、今年はさらに多くなりそうです。

 花粉症もインフルエンザも対策の第一選択は、マスク着用ですかね。でも、日ごろの食生活に気配りすることも、緩和に役立つと思い、マスクともども実践しています。

 その前にまずは、機能性表示食品のアップデイトから。

 この1週間で15件追加されました。先週金曜日(2月9日)に6件(届出番号:C360からC365まで)、今週水曜日(2月14日)に9件 (C366からC374まで)です。これで有効な届け出の合計は1250件かそれよりも少し少ない件数になったかと思います。

 機能性関与成分の新規は無かったかと思いますが、豆腐の記事をまとめました。

(2018.2.15)
豆腐の初の機能性表示は血圧高め対策、ファーマフーズのGABAを配合
アサヒコが9月に販売開始予定
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/18/02/15/03865/

 花粉症対策にも役立つと期待できるメチル化カテキンの届け出が3件追加され、合計で11件になりました。機能性表示食品の表示は「メチル化カテキンは、ハウスダストやほこりなどによる目や鼻の不快感を軽減することが報告されている」という旨ですので、花粉症という文言はありませんけれども。

 3件のうち2件は、丸山製茶(静岡県掛川市)の届け出です。「べにふうき緑茶」(届出番号:C370、届出日:2017年12月22日)と、「べにふうき緑茶(国産)」(C371、2017年12月22日)で、販売開始予定日はいずれも「2018年4月15日」です。ヒノキ花粉症には十分、間に合いそうです。

 もう1件は、市川園の「お茶の力 べにふうき ティーバッグ」(C372、2017年12月22日)です。

 市川園は、特定保健用食品(トクホ)の実績もありますね。2012年4月17日にトクホ表示許可を取得した血中コレステロール対策の粉末清涼飲料「市川園のキトサン明日葉パワー」の販売を2012年8月23日に開始しました。現在も販売しているようです。消費者庁が2018年2月6日に更新したトクホ一覧表によると、市川園は現在、合計3品目のトクホ表示許可を取得しており、うち2品目は販売中とのことです。

 メチル化カテキンを関与成分とする“先達”の8件の情報も以下に示しておきます。農林水産省や農業・食品産業技術総合研究機構の食品機能性研究の“金字塔”と思っておりますので。

JAかごしま茶業「べにふうき緑茶ティーバッグ」(A67、2015年6月24日)
アサヒ飲料「アサヒ めめはな茶」(A69、2015年7月3日)
荒畑園「べにふうきスティックタイプ」(B45、2016年5月25日)
荒畑園「べにふうき粉末茶」(B46、2016年5月25日)
荒畑園「べにふうきティーパック」(B47、2016年5月25日)
伊藤園「まるごと健康粉末茶 べにふうき」(B121、2016年7月19日)
森永製菓「天使の健康 べにふうき緑茶ティーバッグ」(B145、2016年8月8日)
八幡物産「健康べにふうき茶」(C242、2017年9月29日)

 インフルエンザの予防に役立てたいプロバイオティクスの研究成果は多数あります。一番最近の日経バイオテクONLINEの記事として、カゴメのラブレ菌を挙げておきます。

(2018.1.15)
カゴメ、ラブレ菌の健康解明にNGS菌叢解析を自社で実施
東大での取り組みを活用したヒト試験の成果を論文発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/18/01/12/03729/

 インフルエンザの記事を先々週とりまとめまして、インフルエンザウイルスのことを改めて調べましたので、ここに記録しておきます。

(2018.2.2)
塩野義の新規インフルエンザ薬、厚労省第二部会が承認を了承
先駆け審査指定品目で初の承認へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/18/02/02/03818/

(2018.2.12)
キーワード
キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/011900001/18/02/08/00157/

 上の記事をとりまとめてみて、不明なことが多かったので、先月、Nature Communications誌にて、インフルエンザウイルスが子孫ウイルスに遺伝情報を伝える仕組みを明らかにした成果を筆頭著者として論文発表なさった、京都大学ウイルス・再生医科学研究所教授の野田岳志さんにうかがいました。

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2017/180104_2.html

 インフルエンザウイルスは、1本マイナス鎖RNA8本でゲノムが構成され、蛋白質をコードする遺伝子は10個程度と考えられていて、そのうち3個は、RNA依存RNAポリメラーゼのサブユニットをコードしています。それぞれαサブユニット、β1サブユニット、β2サブユニットと呼ばれます。

 一般に、生物が生存するために必要な遺伝子の最小数は1000程度といわれています。一部、遺伝子数が400程度の生物も見つかっていますが、必要な遺伝子を借用しているようです。

 ウイルスは、一般的な生物ではありませんが、感染する宿主の遺伝子を上手に活用するので、わずか10個程度の遺伝子で感染・増殖できるのですね。

 このサブユニットの1つであるαサブユニットに、キャップ依存性エンドヌクレアーゼの活性があり、別の1つにキャップ構造を認識する機能があります。

 通常の生物は、ゲノム情報はDNAの塩基配列にコードされているので、セントラルドグマは、ゲノムDNA→mRNA→蛋白質ですが、インフルエンザウイルスのようにゲノムがRNAであるRNAウイルスの場合は、ゲノムRNA→mRNA→蛋白質です。

 1年少し前の2017年1月に、構造生命科学さきがけの成果発表会で、野田さんの発表もうかがったと記憶しておりますが、RNAウイルスは増幅する場合は、RNA依存RNAポリメラーゼによりゲノムRNAをコピーするのですが、RNAウイルスのゲノムRNAをmRNAに転写するときは、宿主が作製したキャップ構造を含むmRNAを活用します。

 キャップ依存性エンドヌクレアーゼで切断して得られたキャップ構造に、RNAウイルス自身の遺伝子情報を連結していきます。RNA→RNA、という意味では同じで、自身のRNA依存RNAポリメラーゼを利用することも同じなのですが、コピーと転写とでは異なった仕組みを利用するのですね。

 インフルエンザウイルスは、北方や西方の国々から日本に訪れる渡り鳥によっても、日本に入ってきます。渡り鳥にとって国境はなく、入国管理されるものでもないかと、脅威といえますね。

 6年前にインフルエンザ論文の一部データの削除勧告を受けた東京大学医科学研究所教授の河岡義裕さんは、上記の野田さんらの論文のラストオーサーです。

 これら最新の知見は、食品が持つ健康機能評価に直ぐに役立ちます。

 免疫関連の健康機能は、企業の自主的な届け出制度である機能性表示食品といえども、なかなか認められないので、研究成果の出口が見えにくいのは難点です。

 日経バイオテク2018年2月12日号に掲載した「機能性食材研究(第50回)ネギ(葱)」でも、風邪対策に関わる農研機構の成果を紹介しましたが、機能性表示食品制度の方向性を踏まえて、さらなるエビデンスの蓄積は行えていない、とのことでした。

https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/082300007/020700023/

 原則毎週金曜日に配信している日経バイオテク機能性食品メールに掲載している記者によるコラムを掲載します。

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