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 まずは特定保健用食品(トクホ)のアップデイトです。

 雪印メグミルクが2018年1月25日、内臓脂肪対策のプロバイオティクスについて、トクホの表示許可を取得しました。トクホで新規性の高いヘルスクレームが認められるのは珍しいことですので、記事とりまとめました。

(2018.01.26)
雪印、トクホで初めて「内臓脂肪」対策訴求を実現
機能性表示で増産のガセリ菌SP株が関与成分https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/18/01/26/03782/?n_cid=nbpbto_mled_fd

 雪印はこの件についてまだニュースリリースを出していません。2月1日の新製品発表会のときに説明があるかもしれませんね。

 次いで、機能性表示食品のアップデイトです。

 この1週間では2回更新がありまして、2018年1月19日(金)の更新で9件(届出番号は、C321からC329まで)、1月25日(木)の更新で4件(C330からC333まで)追加されました。これらの中には、機能性関与成分の新規は無いようです。有効な届け出の合計はこれで、1209件になったかと思います。

 今週は、ここ10年でしょうか、急速に注目度が高まってきたマイクロバイオーム(微生物叢、フローラ)と、10年がかりで特定されたニューロンの話題をお届けします。

 今週は水曜日(1月24日)午後、ヒューマンサイエンス振興財団の第50回セミナー「腸内フローラ:新たな創薬の実現を目指す-ここまで進んだ病態理解-」が開かれ、200人を超える参加者が集まりました。

 翌木曜日(1月25日)午後には、東京・日本橋のライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)がシンポジウム「マイクロバイオームの研究開発の最前線」を開催しました。

 前者のHS財団のセミナーでは、EAファーマの村田正弘さん、大塚製薬の武田聖さん、フェリング・ファーマの北村幹弥さんが総合司会を務めまして、慶應技術大学薬学部生化学講座准教授の金倫基さんの「オーバービュー:腸内細菌を標的とした創薬研究の現状と可能性」をはじめ、8人の講演者の方々が登壇しました。

 後者のLINK-Jのシンポジウムでは、国立遺伝学研究所生命情報研究センター教授の黒川顕さんが座長を務めまして、米University of California San Diego教授のRob Knightさんが最初に講演しました。2014年2月公開のTED「微生物がどのように私達を作っているのか」の再生回数が162万回を超えた、著名人ですが、日本での講演は今回が初めてとのことです。

 続いて、Knightさんが2年前に創設したマイクロバイオーム・イノベーション・センターにて、1年前からグループを率いているSandrine Miller-Montgomeryさんの講演がありました。Montgomeryさんは初来日とのことです。

 新世代DNAシーケンサーの登場で、マイクロバイオームの解析が飛躍的に進歩しています。

 HS財団のセミナーで、早稲田大学教授/東京大学名誉教授の服部正平さんが「ヒト腸内細菌の生態・機能と創薬への可能性」という演題の講演で、ロングリードNGSで初めて見えてきたマイクロバイオームの実態の一端を知りました。

 思い起こしてみると、NGSを用いたマイクロバイオームの解析について、服部さんと黒川さんが初めて発表したのは、10年前のことなのでした。当時は黒川さんは、奈良先端科学技術大学院大学にて研究なさっていました。その後、東京工業大学を経て、現在は遺伝研です。

(2007.10.19)
健康な日本人13人の腸内菌叢メタゲノム解析の配列情報が本日公開、黒川顕NAIST准教授、服部正平東大教授らの成果
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/7679/

 この論文(DNA Res. 2007 Aug 31;14(4):169-81. Epub 2007 Oct 3.)は、ファーストオーサーが黒川さんで、ラストオーサーが服部さんでした。

 NGSやゲノム編集などの技術の進歩は目覚ましく、マクロバイオーム分野の研究の発展には驚くばかりです。今回の2日間の議論を聴いて、改めて、解析技術の重要性を思い知りました。堅牢性といってよいのでしょうか、遺伝子の解析技術の確からしさは、1月31日に消費者庁が第8回を開催する遺伝子組換え食品の表示問題でも重要です(こちらは記事とりまとめ中です)。

 10年というキーワードで、もう1つ紹介します。

 現在は琉球大学のスタッフとして研究なさっている岡本士毅さんらが論文発表した、嗜好性を制御する神経細胞の記事を紹介します。

(2018.01.24)
生理研と琉球大など、視床下部のAMPKが炭水化物の嗜好性を制御
神経細胞を特定した成果をCell Reports誌にて発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/18/01/24/03775/

 自然科学研究機構生理学研究所教授の箕越靖彦さんの下で研究を開始してから、10年がかりの成果です。食の機能性研究で、嗜好性はとても重要なことと認識しております。

 内閣府のプロジェクトなどで、数年内に実用化・社会実装する、という目標が掲げられることが目立ちますが、マイクロバイオームにしても、食嗜好性制御ニューロンにしても、地に足の着いた科学に基づく研究の重要性を改めて、感じております。

 脆弱な解析技術を基にした成果は、砂上の楼閣といえるかと思います。