【機能性食品 Vol.313】

1200億円市場拡大目指す内閣府SIP次世代機能性の公開シンポに600人

機能性表示ではイヌリンが整腸と中性脂肪、血糖値の3機能
(2017.12.01 10:30)
河田孝雄
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 まずは「機能性表示食品制度届出データベース 届出情報の更新」です。この1週間では11月24日(金)と29日(水)、11月30日(木)に更新がありまして、届出番号「C258」までの届け出受理が公表されました。この1週間で11件増えました。この1週間で撤回が増えていなければ、有効な届け出件数の総数は、1138件になったと計算できます。

 この1週間の届け出更新で、機能性表示食品の届け出受理が初めて公表された企業として、四国乳業(徳島県北島町)、カネリョウ海藻(熊本県宇土市)を紹介します。

 四国乳業が届け出をしたのは「黒烏龍茶」(届出番号:C255、届出日:2017年10月5日)です。製造工場は京都府八幡市にあります。

 カネリョウ海藻は「快腸もずく」2件(届出番号:C257とC258、届出日:2017年10月7日)です。本社工場の他、宮城県大郷町の仙台工場でも製造します。

 計3件とも、機能性関与成分は、松谷化学工業の難消化性デキストリンですが、四国乳業とカネリョウ海藻とでは、機能性表示の内容が異なります。

 四国乳業は「食後の血中中性脂肪や血糖値の上昇を抑える機能」、カネリョウ海藻は2件とも「おなかの調子を整える機能」です。

 難消化性デキストリンは、特定保健用食品(トクホ)で最も実績がある水溶性食物繊維素材で、整腸、食後血中中性脂肪上昇対策、食後血糖値上昇対策の3機能は、トクホでも認められています。

 この整腸、中性脂肪、血糖値の3機能の機能性表示食品を実現している機能性素材としては、他に大塚製薬の大麦βグルカンがありますが、イヌリンも、このトリプル機能の素材に加わりました。

 イヌリン素材を事業化しているフジ日本精糖が、「フローラサポート」(C20、2017年4月13日)にて「善玉菌として知られているビフィズス菌を増やすことで、おなかの調子を整える」機能の届け出を行ったのに続き、「イヌリンバランス」(C240、2017年9月27日)にて「血中中性脂肪を下げること」「食後の血糖値の上昇をゆるやかにすること」の2機能の届け出を行いました。

 前者の整腸作用は、サントリー食品インターナショナルが、同社初の機能性表示食品である「おいしい腸活 流々茶」(C205、2017年8月29日)にて、イヌリンの届け出を行いました。ただし、機能性表示の内容は、フジ日本精糖とは少し異なっていまして、「腸の動き(ぜん動運動)を活発にする成分であるイヌリンは、お通じの習慣を改善する」という旨です。

 イヌリンを機能性関与成分とする届け出は現在のところ3件(フジ日本精糖2件、サントリー食品インターナショナル1件)のみですが、今後、増えていきそうですね。

 さて、今回のメールでは昨日(2017年11月30日)都内で開かれた、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「次世代農林水産業創造技術(アグリイノベーション創出)」のうちの「次世代機能性農林水産物・食品の開発」の公開シンポジウム「得られた成果とさらなる発展に向けて」について紹介します。定員が600人を超える会場が満席になり、注目度が高いのだと改めて感じました。

 琉球大学大学院医学研究科教授の益崎裕章さんの講演「玄米機能成文による脳機能改善と糖尿病予防-エピゲノム・コントローラーとしてのγオリザノールの可能性-」をはじめ、おもしろい成果発表が相次ぎました。

 100課題を超える中から精選された10課題の成果発表がありました。最初に、2017年4月から担当参事官(企画官)を務める中島潔さんがSIP次世代農林水産業全体を説明しましたが、食材としてはコメとトマトに特に集中している、という印象を受けました。順次後ほど、記事にとりまとめてまいりますが、今回は、2017年9月28日に内閣府が発表した同課題の研究開発計画から、興味深い数字を抜き出して紹介します。内閣府の政策統括官(科学技術・イノベーション担当)がとりまとめたものです。

 まずは予算から。内閣府SIPの次世代農林水産業は、2014年度に始まった5カ年プロジェクトで、2018年度が最終年度です。2017年度の予算は27億4924万円です。これまでの予算額概数は2014年度が36億円、2015年度が34億円、2016年度が29億円でしたので、累計は126億円。最終年度の2018年度の分を含めると、およそ150億円ですね。

 このうち、今回、公開シンポジウムが開かれた次世代機能性の予算は、2017年度が4億9505万円。4年累計で19億円、5年全体ですとおよそ24億円と計算できます。

 市場の数値を「約」を省いて以下に記載します。「世界の食市場は今後10年間で680兆円に倍増」「日本全体のコメ生産規模は2兆円」「日本のトマト生産額は2000億円」「日本のクロマグロの生産規模は1200億円」「DHA、EPAの世界市場は3.5兆円」などが記載されています。

 次世代農林水産業のプログラムディレクターは、2016年10月から、北海道大学教授の野口伸さんが務めています。野口さんは「ロボット技術、ICT、AI、ゲノム編集技術等の先端技術を活用し、環境と調和しながら、超省力・高生産のスマート農業を実現するスマート農業モデル」を、重点目標の1番目に挙げています。

 このうち次世代機能性は、サブブログラムディレクターを東京大学名誉教授・特任教授の阿部啓子さんが、戦略コーディネーターを味の素社友(元代表取締役副社長)の山野井昭雄さんが務めています。次世代機能性では、「機能性に関する科学的エビデンスの取得と15品目異状の商品化」を主なアウトプットとしており、「国民のQOL向上、機能性食品市場の拡大(約1200億円程度)を、アウトカム目標としています。

 原則毎週金曜日に配信している日経バイオテク機能性食品メールに掲載している記者によるコラムを掲載します。

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