【機能性食品 Vol.306】

ノーベル賞と食品の機能性研究、味の素カプシエイトや大塚製薬βグルカン

クライオ電顕と辛味受容体、時間栄養学は内閣府SIPでも
(2017.10.06 08:30)
河田孝雄
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 まずは、恒例の機能性表示食品のアップデイトです。この1週間では2017年9月29日(金)と10月3日(火)、10月4日(水)の3回、更新がありました。2017年度のCシリーズは、C181までの届け出受理が公表されました。今回増えた4件には、新しい機能性関与成分は特には無いかと思います。

 これで有効な届け出件数の総数は、1068件になったもようです。初年度(2015年度)のAシリーズ(A310まで)が277件、2年目(2016年度)のBシリーズ(B620まで)が611件、そして3年目(2017年度)のCシリーズ(現在のところC181まで)が180件です。差し引いた件数は、Aシリーズで撤回が30件と法人番号未登録による欠番が3件、Bシリーズで撤回が9件、Cシリーズで撤回が1件、として計算しました。

 さて、今回のメールでは、ノーベル賞と食品の機能性研究の話題をお届けします。今週は、ノーベル賞発表ウィークでした。

 クライオ電顕により、原子分解能に迫る近原子分解能で立体構造を解明できるという成果は、2013年に論文発表されたTRPV1が最初です。クライオ電顕の業績で知られる名古屋大学の藤吉好則さんのかつての教え子が、この研究に大きな貢献をしたと記憶しております。

 藤吉さんは、水曜日夜にノーベル化学賞が発表された後、すぐに車で名古屋大学の広報部に移動し、19時頃から2時間ほど広報部で対応に追われ、さらに研究室に戻った後も電話での応対に大わらわだったとうかがいました。

(2017.10.6)
ノーベル賞のクライオ電顕、「3年前にざわついたが今年の受賞とは」と名大の藤吉博士
日本電子と4月設立のCeSPIAは製薬企業と共同研究契約
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/10/06/03317/

 TRPV1は、感覚神経にあるイオンチャネルで、辛味や痛覚と関係が深いです。

 食品の機能性研究では、京都で開発された「辛くない唐辛子」を原料とする味の素のカプシエイトを、活用した成果の代表として挙げますね。

(2017.09.14)
味の素、機能性表示食品「カプシEX」は1日量が先行品の3倍
1日2粒中にカプシノイド9mg、先行品は11年間で4700万食以上の販売実績
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/09/13/03216/

 9月25日から27日に神戸で開かれた日本味と匂学会第51回大会も、大学の研究者の方からご案内をいただきまして興味津々だったのですが、現地には参れませんでした。

 このTRPV1を皮切りに、近原子分解能での構造解析が爆発的に報告されるようになり、今回のノーベル化学賞の受賞決定に至りました。

 クライオ電顕に関するオープンアクセスの総説では、大阪大学蛋白質研究所の岩崎憲治さんが2016年11月に発表なさったものがお勧めです。是非、ご覧ください。

新時代:クライオ電子顕微鏡による近原子分解能での解析
http://leading.lifesciencedb.jp/5-e010/

 また、日経バイオテクのコンテンツについても、紹介します。

 理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センターの重松秀樹さんにご寄稿いただきましたバイオイメージング最前線の記事は、日経バイオテク2016年7月25日号に掲載しました。

(2016.07.25)
バイオイメージング最前線(第13回)
第三の構造生物手法、クライオ電子顕微鏡(2016.07.25)
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/series/16/07/20/00145/

 特集記事や「記者の目」もご覧ください。

日経バイオテク2017年2月27日号特集
クライオ電子顕微鏡
難関の結晶化が不要、設備費は安い、薬剤を設計できる解像度3Å超を達成
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/082400016/022200019/

(2017.01.04)
新春展望2017・記者の目
シンギュラリティとノーベル賞、CRISPR、クライオ電顕、東京五輪
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/112500015/010300060/

 一方、月曜日発表のノーベル生理学・医学賞で選出された「体内時計」では、時間栄養学という分野が発展しています。産業技術総合研究所や筑波大学、早稲田大学などが拠点になっているかと思います。

(2016.11.2)
マルハニチロと産総研、魚油の摂取は朝が効果的
第23回日本時間生物学会で発表、ヒト試験で実証へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150707/186121/

(2016.1.26)
睡眠の質を向上するライオン「グッスミン 酵母のちから」
3月23日から機能性表示食品に
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/01/25/00118/

 時間栄養学に関連した成果の代表としては、セカンドミール効果の検証を進めた大塚製薬の大麦βグルカンを挙げます。

(2015.7.7)
大塚製薬の「大麦生活」が機能性表示食品に、糖質、コレステロール、整腸の3機能
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150707/186121/

 また、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「次世代農林水産業創造技術、アグリイノベーション創出」(プログラムディレクター:野口伸・北海道大学大学院農学研究院教授)では、早稲田大学先進理工学部研究科教授の柴田重信さんらが時間栄養学に取り組んでいます。

 今週水曜日(10月4日)から今日金曜日(10月6日)まで東京ビッグサイトで開催の「アグリビジネス創出フェア2017」「アグロ・イノベーション2017」でも、早稲田大学「時間栄養・運動レシピ開発」コンソーシアムの成果が発表されていました。iPhoneアプリ「メタボウォッチ」などです。

 柴田さんは2015年末には、食創会「第20回安藤百福賞優秀賞」を受賞なさいました。受賞テーマは「時間栄養学の基礎と応用研究」です。

 原則毎週金曜日に配信している日経バイオテク機能性食品メールに掲載している記者によるコラムを掲載します。

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