【機能性食品 Vol.301】

日大湘南の食品科学工学会IUFoSTシンポジウムで清水誠理事長が講演

mimozaxがアカシア樹皮抽出物で血糖値対策の機能性表示食品を届け出
(2017.09.01 10:00)
河田孝雄
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 この1週間は、京都大学吉田キャンパスで開催された日本進化学会第19回大会に続いて、早稲田大学西早稲田キャンパスで開催された第6回日本DOHaD学会年会、日本大学湘南キャンパスで開催された日本食品科学工学会第64回大会、さいたま市大宮区のソニックシティで開かれた第35回日本植物細胞分子生物学会大会、甲府市の山梨県立図書館で開催された第23回小型魚類研究会を取材しました。

 ゲノム編集のツール試薬類を販売している企業や、同ツールを導入するエレクトロポレーション装置を販売している企業が、大宮と甲府で別々の企業が展示ブースを設けていました。どの分野を重要視しているか、興味深いです。

 今回はこのうち、日本食品科学工学会大会で開催されたIUFoST-Japanの2017年度公開シンポジウム「機能性食品の効能・安全性評価の現状と課題」の話題を、後半部分でお届けします。

 まずは、恒例の機能性表示食品のアップデイトを報告します。ここ1週間では8月29日(火)と8月30日(水)に更新されまして、2017年度のCシリーズは151件と、この1週間で5件増えました。

 これで有効な届け出件数の総数は、1046件になったもようです。初年度(2015年度)のAシリーズ(A310まで)が282件、2年目(2016年度)のBシリーズ(B620まで)が613件、そして3年目(2017年度)のCシリーズ(現在のところC151まで)が151件です。AシリーズとBシリーズでは撤回がありますので、撤回を差し引いた件数です。

 Aシリーズ282件、Bシリーズ613件、Cシリーズ146件の合計は、1041件と計算できます。
 今回加わった6件では、新しい機能性関与成分が登場しました。食後血糖値の上昇を穏やかにする「アカシア樹皮由来プロアントシアニジン」です。

 広島県廿日市市(はつかいち)にあるmimozax(ミモザクス)が、サプリメント「アカポリアプラス」の機能性表示を届け出しました(届出番号:C151、届出日:2017年7月4日)。同社初の機能性表示食品です。

 届け出された資料のうち「安全性評価シート」の記載によると、同社は類似食品を07年3月から発売し、2012年1月にリニューアルした届け出内容と同じ製品と合わせて、2016年6月までに90万製品の販売実績があるとのことです。

 機能性表示の根拠とする論文は、ライフサイエンス出版が発行している「薬理と治療」の2016年10月号に掲載された英語論文です(Jpn Pharmacol Ther 2016 44(10)1463-9)。論文責任者かつ筆頭著者は、関西福祉科学大学健康福祉学部福祉栄養学科講師の竹田竜嗣さんで、近畿大学大学院農学研究科応用生命科学専攻准教授の澤邊昭義さんがラストオーサーです。

 「樹皮」という名称を含む機能性関与成分としては、これまで「松樹皮由来プロシアニジン(プロシアニジンB1として)」が4件(A81、A155、A180、A282)あり、総コレステロールや悪玉(LDL)コレステロールを下げる機能が届け出されています。こちらは、東洋新薬が独自素材として展開している松樹皮抽出物「フラバンジェノール」を、機能性関与成分としたものです。

 また、「りんごポリフェノール(りんご由来プロシアニジン)」を機能性関与成分とする機能性表示食品は、アサヒ飲料が「アサヒ凹茶」を商品化しました(A226、2016年2月22日)。「体脂肪が気になる方のお腹の脂肪を減らす機能」の表示を届け出しました。

 もう1つ、グレーシャスのサプリメント「プロシア8」(B587、2017年3月14日)は、「りんご由来プロシアニジンB2とオレアノール酸」を機能性関与成分としており、「肥満気味の女性の体重・BMIやウエスト周囲径を減らすのを助ける機能」の表示を届け出しました。

 さて、8月29日午後のIUFoST-Japanの2017年度公開シンポジウム「機能性食品の効能・安全性評価の現状と課題」では、4人が登壇しました。

 IUFoSTは、International Union of Food Science and Technology(国際食品科学工学連盟)という団体で、その日本支部では2000年から公開シンポジウムを開催しています。今回は17回目のようです。

 まずは、この団体日本支部の理事長もつとめている、第23期日本学術会議会員で東京大学名誉教授である清水さんが「食品の機能性評価手法の変遷:特保の評価からシステマティックレビューまで」と題した講演を行いました。

 清水さんは、トクホの表示について審議する消費者委員会や食品安全委員会の専門委員などを多くおつとめですが、“個人的な意見”と前置きした見解も披露しました。「農作物(生鮮品)への機能性表示が可能」には困難な点があると指摘し、食品の機能性についてはまた新しい考え方を模索しなければならない時期がきているようである、ともお話しでした。

 2番目の演者は農研機構果樹茶業研究部門カンキツ研究領域カンキツ流通利用・機能性ユニット長の杉浦実さんが「生鮮農産物ではじめての機能性表示食品:ウンチュウミカンの事例」と題した講演を行いました。

 日本のミカン生産量は最盛期の5分の1に減っています。そもそもは、食育とともに消費拡大につなげることを目的として研究をしていると話し、機能性表示食品の制度については、観察研究のデータも使いやすくすることや、機能性表示食品と一般の食品とを明確に分けて販売しなければいけないという現在の厳格な販売方法は見直してもよいのでは、と指摘しました。現在はミカンの機能性表示を届け出ているのは、静岡県の4農協のみだが、10月にも別の県の農協が届け出る見込みであるとも話しました。

 3番目は、東京農業大学大学院環境共生学専攻教授の上岡洋晴さんの「機能性表示食品開発において行われたシステマティックレビューの質の検証」。

 最も嫌われているアカデミア研究者と、冒頭に自己紹介し、機能性表示食品の制度におけるシステマティックレビューの問題点と今後の課題を指摘しました。

 4番目は、花王安全性科学研究所上席主任研究員の伊藤勇一さんが「健康機能を有する食品開発における安全性の評価戦略」と題した講演でした。

 エコナの経緯についても改めて説明し、緑茶の安全性評価については、2017年8月に論文発表したことも紹介しました(Toxicol Lett. 2017 Aug 5;277:104-108.)。ドイツUniversity of Wurzburgとの共著論文で、Dekant Wさんが筆頭著者ですね。現在では、LC-MSを用いたノンターゲット分析による網羅分析を安全性評価に活用していることも強調しました。

 原則毎週金曜日に配信している日経バイオテク機能性食品メールに掲載している記者によるコラムを掲載します。

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