【機能性食品 Vol.296】

記憶力維持に大豆ペプチド、不二製油が「ペプチドメンテ」の機能性届け出

プロバイオはアサヒグループHD、サーマスとスマックの事業を紹介
(2017.07.21 13:00)
河田孝雄

 まずは、機能性表示食品のアップデイトから。この1週間での更新は、7月18日(火)と7月20日(木)の2回でした。2017年度のCシリーズは14件増えて84件になりました。

 これで機能性表示食品の届け出件数の合計は、982件になったかと思います。初年度である2015年度の届け出を意味する「Aシリーズ」が282件(310件から撤回の28件を差し引き)、2年目の2016年度の届け出を意味する「Bシリーズ」の616件(620件から撤回の4件を差し引き)、それに2017年度の「Cシリーズ」84件の合計です。

 今回は、昨日(7月20日)公開された中に、注目の機能性関与成分がありましたので、紹介します。

 「大豆由来セリルチロシン」を機能性関与成分とする不二製油の「ペプチドメンテ」(届出番号:C80、届出日:2017年5月26日)です。不二製油の機能性表示食品の届け出受理公表は、骨の成分維持に役立つ大豆イソフラボンを配合したサプリメント「イソフラサポート」(B384、2016年12月14日)に次いで、2件目です。

 届出資料には、販売開始予定日として「2017年8月1日」と記載されていますが、販売開始などは未定のようです。不二製油が今後、プレスリリースなどで開示することになります。

 「大豆由来セリルチロシンは、健康な中高年の方の認知機能の一部である記憶力(認識したことを正しく思いだす力)を維持する機能があることが報告されている」旨を、表示します。

 1日摂取目安量1袋(20g)に、機能性関与成分の大豆セリルチロシンを17.7mg含みます。粉末を水などに溶かして飲む粉末飲料です。

 1994年から日本全国で販売・流通され、累計5万箱(150万袋)以上販売されている「ザ・ペプチド パウダー分包」と類似した商品とのこと。ただいま、ソヤファーマクラブにおける通信販売価格を確認したところ、1箱5400円(税込み)なので、これまでの累計販売額は2億5000万円超と計算できます。

 大豆由来蛋白質に食品加工用プロテアーゼを作用させて大豆ペプチドを製造する方法などについて、不二製油が特許を取得しているようです。

 作用機序としては「大豆由来のセリルチロシンが、脳内ノルアドレナリンの代謝を亢進することで、記憶力(認識したことを正しく思いだす力)に効果を示すものと考えられる」としています。

 大脳皮質や海馬において効率的にノルアドレナリンの代謝を亢進することを確認した論文として次の2つを参照しています。
 
○Quantitative mass spectrometric analysis of dipeptides in protein hydrolysate by a TNBS derivatization-aided standard addition method
Vu Thi Hahn, Yutaro Kobayashi Motohiro Maebuchi, Toshihiro Nakamori, Mitsuru Tanaka,Toshiro Matsui
Food Chem., 190, 345-350 (2016)

○Orally administrated dipeptide Ser-Tyr efficiently stimulates noradrenergic turnover in the mouse brain
Takashi Ichinose, Kazuki Moriyasu, Akane Nakahata, Mitsuru Tanaka,
Toshiro Matsui & Shigeki Furuya
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 79:9,1542-1547

 九州大学農学研究院教授の松井利郎さんや同教授の古屋茂樹さんらの研究成果ですね。

 この大豆由来のセリルチロシンは、キッコーマンが2013年9月から販売している血圧高め対策の特定保健用食品(トクホ)「まめちから 大豆ペプチドしょうゆ」の関与成分の1つでもあります。

 高めの血圧を下げる作用に寄与するのは、しょうゆの醸造工程で産生する大豆ペプチドで、1日目安量8mL中に、GY(グリシルチロシン)を430μg、SY(セリルチロシン)を2500μg含みます。GYやSYは、血圧の上昇に関与するアンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害する活性があります。

 キッコーマンのトクホのSY量2500μg(=2.5mg)と比べると、不二製油の機能性表示食品の大豆セリルチロシン量の17.7mgは、5倍に相当しますね。

(2013.10.23)
キッコーマンが高血圧予防メディアセミナー開催、トクホ「まめちから」の販売は順調
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20131023/171602/

(2013.09.20)
キッコーマンが血圧高め対策トクホしょうゆを発売、1日価格120円、「体質によりまれにせき」と表示
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130920/170995/

 大豆ペプチド溶液を加熱して得られる環状ジペプチド(シクロセリルチロシンも含む)については、「尿酸値低下剤」と題する国際特許をサントリーホールディングスが2015年2月に登録しています(特許第5690028号)。

 チロシンのフェノール性水酸基が、キサンチンオキシダーゼの活性阻害に関与していると推定しています。

 機能性ペプチドの研究はおもしろいですね。

 最後に、今週まとめたプロバイオティクス関連の記事を紹介します。両方ともペット市場が関わっています。

(2017.07.20)
アサヒグループHDがLー92乳酸菌でペット市場に再参入
プロバイオティクスと乳酸菌代謝産物で攻勢
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/07/20/02978/

(2017.07.19)
ペットの体脂肪対策に千葉大ベンチャーのプロバイオティクスN11株
中部飼料の子会社スマックがイヌ用サプリを発売
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/07/18/02971/

 原則毎週金曜日に配信している日経バイオテク機能性食品メールに掲載している記者によるコラムを掲載します。

PR・告知製品・サービス一覧人材・セミナー・学会一覧