【機能性食品 Vol.294】

ビッグデータAI農業とゲノミックセレクション、東大などがカンキツの論文発表

筋力と膝関節対策の機能性表示「歩むチカラ」をライオンが3件届け出
(2017.07.07 10:06)
河田孝雄
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 まずは、機能性表示食品のアップデイトから。この1週間での更新は、6月30日(金)と7月5日(水)の2回でした。

 2017年度のCシリーズは7件増えて52件になりました。

 これで機能性表示食品の届け出件数の合計は、初年度である2015年度の届け出を意味する「Aシリーズ」が282件(310件から撤回の28件を差し引き)、2年目の2016年度の届け出を意味する「Bシリーズ」の616件(620件から撤回の4件を差し引き)との合計で、950件になったかと思います。

 この1週間の新規届け出で注目は、ライオンの「歩むチカラ」シリーズ3件(届出番号:C46、C47、C48)です。機能性関与成分名は「HMB(別呼称として、βヒドロキシβメチル酪酸)およびグルコサミン塩酸塩」で、「年齢とともに衰える足の筋力や膝関節の曲げ伸ばしが気になる方に適した食品」という機能性表示を行います。

 ライオンから販売開始予定などのニュースリリースはまだ出されていません。

 機能性関与成分2つのうち、HMBに関する日経バイオテクONLINE記事を以下に紹介しておきます。

(2016.10.31)
「筋サポート」機能性表示食品、味の素ロイシンに続く第2弾素材はHMB
小林香料が2012年事業化HMBのパウダーを自ら消費者向けに販売
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/10/30/01785/

(2014.09.24)
アボットが健康食品市場に参入、ロイシン代謝産物HMBとグルタミン、アルギニンを配合したアミノ酸飲料を発売
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140924/179151/

 取材の方では先週金曜日(6月30日)まで3日間、大阪で開催の日本ゲノム編集学会の第2回大会を取材しました。今週は米Cibus社のカノーラなど、米Dupont社のプロバイオティクス、中国保健食品市場、ファンケルの体脂肪対策プロバイオティクスなどを取材しました。順次、記事とりまとめ中です。

 ゲノム編集学会からは今週、1つ記事まとめました。

 簡便で急速に普及しているゲノム編集ツールのCRISPR/Cas9は、Cas9蛋白質の分子量が大きいために、Cas9蛋白質をコードするDNA遺伝子を、一度、植物のゲノムに組み込む必要がありました。この場合、そのあとの交雑でヌルセグリガントにする必要がありました。

 このCas9を2分割して別々に蛋白質として発現させても、その後で自動的に会合してCas9蛋白質の機能を発揮することが分かってきました。Cas9蛋白質のDNA遺伝子を2分割すれば、それぞれをウイルスベクターに搭載できます。つまり、ゲノム編集ツールのDNA遺伝子を植物のゲノムにいったん組み込むという段階を踏まなくても、植物のゲノム編集を行うことができます。

(2017.07.07)
農研機構、Cas9の2分割小型化でウイルスベクター植物ゲノム編集
ガイドRNAをCas9に単純連結しても機能発揮
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/07/06/02924/

 最後にゲノミックセレクションの論文を紹介します。ビッグデータや人工知能(AI)を農業に活用することと関係が深い成果かと思います。

 論文のニュースリリースには、ゲノムセレクションの説明として次のように記載されています。「予測モデル」の内容をお伝えするのがなかなか難しいのですが、今回の場合は、AIでよく登場する“機械学習”とはまた別の予測モデルの精度が高かった、ということのようです。

※ゲノミックセレクション

 既存の品種や系統、これまでの育種における交配で得られた個体などを用いて、これらの品種等の間における果実重などの特性の違いと大量のDNA配列の違いとの関係を数式で表した予測モデルを作成し、本モデルを新たに養成した個体に適用しDNA配列から特性を予測することで、求める特性を持った個体を選抜する手法。この手法では多数の遺伝子が関わる特性の予測が可能です。ゲノミックセレクションを用いれば、果実がつかない芽生えの段階でも果実の特性を予測して、優秀な個体を選抜できる。

 日経バイオテクではソバの成果を一昨年に紹介したことがあります。

(2017.07.07)
東大と農研機構、遺伝研、ゲノミックセレクションでカンキツ品種改良
芽生え段階で果実特性を高精度予測
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/07/06/02928/

(2015.09.08)
筑波大と東大、京大、トヨタなど、ゲノミックセレクションでソバの収量性1.5倍に、育種学会で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150908/187283/

日経バイオテク2015年10月12日号
「機能性食材研究」(第22回)、ソバ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20151016/188011/

 今回のカンキツやソバの中核研究者である東京大学の岩田洋佳さんには、昨年の年頭に、新春展望をご寄稿いただきました。ぜひご覧ください。

(2016.01.01)
新春展望、岩田洋佳=東京大学大学院農学生命科学研究科准教授
2016年、ゲノム情報利用育種の新しい扉を開く年に
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/shinshun/15/12/31/00020/

 原則毎週金曜日に配信している日経バイオテク機能性食品メールに掲載している記者によるコラムを掲載します。

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