【機能性食品 Vol.275】

東大農社会連携キックオフで森谷氏講演「宇宙で生活すると誰もがすぐ糖尿病に」

内閣府SIPのCRISPR育種イネの隔離圃場試験が2017年に始まる
(2017.02.17 10:00)
河田孝雄
OIST研究員の西辻光希氏と有本飛鳥氏
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 まずは、恒例の機能性表示食品の届け出受理公表のアップデイトです。この1週間では、2017年2月10日(金)と2月13日(月)、2月15日(水)、2月16日(木)に更新があり、26件増えまして2016年度のBシリーズが408件になりました。制度の初年度である2015年度のAシリーズ302件(総数310件から、撤回の8件を差し引いた件数)と合計すると、710件になるかと思います。

 今回の注目は、丸善製薬のパイナップル素材です。

 それですぐ記事にしましたが、この記事掲載日(2月16日)の夕方のアップデイトにより、同じパイナップル由来グルコシルセラミドの飲料を、アサヒビールが届け出たことを消費者庁が公表しました。

(2017.02.16)
丸善製薬、パイナップル由来グルコシルセラミドで機能性表示食品
肌対策のグルコシルセラミドで米、コンニャクに続く
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/02/15/02312/?n_cid=nbpbto_mled_fd

 「アサヒスタイルバランス素肌うるおうピーチスパークリング」(届出番号:B406、届出日:2016年12月22日)です。ひごろ好んで飲んでいるノンアルコール発泡ドリンクですので、発売が楽しみです。

 次は、サントリーが東大農に設置した社会連携講座のキックオフの話題です。

○東大・サントリー社会連携講座
(2017.02.15)
東大院農の初の社会連携講座「栄養・生命科学」キックオフに150人
協賛のサントリーはトクホ6%増、セサミン400億円
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/02/15/02305/?n_cid=nbpbto_mled_fd

 この講座の特任教授を兼任している東京大学教授の佐藤隆一郎さんは、1985年に「コレステロール代謝の調節に関する発見」により、ノーベル生理学・医学賞を受賞したGoldstein博士、Brown博士の研究室(University of Texas Southwestern Medical Center)で1990年から4年ほど博士研究員をつとめた方です。

 このキックオフシンポジウムが開催された今週火曜日(2月14日)は実は4つ取材がありましてた。キーワードはそれぞれ、ゲノム編集規制、オープンサイエンス、美ら海ゲノム、そして東大農社会連携です(このウェブ記事の写真は、このうちの美ら海ゲノムです)。

 キックオフシンポの講演は途中からうかがいまして、4つの講演のうち3つめである森谷敏夫さん(京都大学名誉教授/京都産業大学・中京大学客員教授)の講演「筋肉は偉大な臓器である」が始まったところでした。

 森谷敏夫さんの講演は最近では内閣府SIPの成果報告会でも拝聴しまして、たいへん説得力があるように毎回感じております。「糖尿病は遺伝子の病気では絶対にあり得ない。運動しなくなったことが原因だ」というメッセージです。

 無重力の宇宙空間で2週間生活すると、宇宙飛行士の皆さんは全て、糖尿病の症状になるそうです。無重力空間の生活1日分は、昔に比べて運動が少なくなった現在のライフスタイルに換算すると5年とか10年、といった意味合いかと理解しています。

 スポーツ庁が日本国民のスポーツ実施調査の結果を今週発表しましたが、調査対象の定義が分かりにくいという意味で、「スポーツ」の調査と「健康食品」の調査は共通しているように思いました。

※平成29年02月15日
平成28年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」について
http://www.mext.go.jp/sports/b_menu/houdou/29/02/1382064.htm

 一般に都市生活者は車社会の地方に比べ、地下鉄などを多用するため、よく歩行していることが知られています。どこからが運動か。本人の意思・判断が大きいのでは。

 健康食品のほうでは、例えば、バナナやヨーグルトなど、アンケートの質問設定や回答者の気分などにより、健康食品なのかどうか分かれやすいのでは、と思います。

 健康食品に関連する講演をうかがうたびに、この講演者が意図する健康食品の範囲を推察します。でも、講演の途中で範囲がころころ変わることが多く、残念に思います。

 一般に都市生活者は車社会の地方に比べ、地下鉄などを多用するため、よく歩行していることが知られています。どこからが運動か。本人の意思・判断が大きいのでは。

 健康食品のほうでは、例えば、バナナやヨーグルトなど、アンケートの質問設定や回答者の気分などにより、健康食品なのかどうか分かれやすいのでは、と思います。

 運動と食品の機能性との関係では、ドーピングとの関連にも注意が必要ですね。

(2017.01.19)
東大と筑波大、東北大、日本医科大、アンチドーピング研究推進で連携
LINK-Jや製薬協もあいさつ、遺伝子ドーピング対策も課題
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/01/19/02166/?n_cid=nbpbto_mled_fd

 3つめの話題はゲノム編集ツールCRISPRです。内閣府SIPで開発が進んでいるCRISPRイネが、今週月曜日(2月13日)の環境省・文部科学省の専門家会合で審議されました。

○ゲノム編集ツールCRISPR
(2017.02.15)
文科省と環境省、組換え生物等第一種使用規程で初めてCRISPR意見聴取
農研機構がシンク能改変イネの隔離圃場試験へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/02/15/02304/?n_cid=nbpbto_mled_fd

 この会合では、12件分の資料が傍聴席にも配られました。この配布資料は1.4kgを超えていまして、その次の取材への移動でちょっと重く感じました。

 CRISPRの特許については、米Broad研究所がかなり強力に抑えているようです。1月25日にバイオインダストリー協会とフォーリー・ラードナー法律事務所が開催した「CRISPR-Casの特許とライセンシングを巡る最近の動向について」の記事をとりまとめ中です。

 新しい育種技術の関連では、ジャガイモの記事もご覧ください。

(2017.02.16)
弘前大と農研機構、接ぎ木による転写抑制ジャガイモを筑波で隔離ほ場試験
2月13日の学識経験者審議を踏まえて2017年に実施
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/02/15/02308/?n_cid=nbpbto_mled_fd

(2017.02.16)
食安委調査会、米Simplot社の組換えジャガイモを2月17日に審議
厚労省の依頼から3年経過、審議は非公開
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/02/16/02316/?n_cid=nbpbto_mled_fd

 原則毎週金曜日に配信している日経バイオテク機能性食品メールに掲載している記者によるコラムを掲載します。