【機能性食品 Vol.262】

日本食品免疫学会第12回学術大会に380人、味の素「ミセラピスト」2016年末終売

(2016.11.11 11:11)
河田孝雄
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 原則として毎週金曜日に「日経バイオテク/機能性食品メール」をお届けしております日経バイオテクの河田孝雄です。

 この1週間は、弊社が発行しております「日経バイオ年鑑2017」の原稿とりまとめの最終段階に注力しておりました。その中で昨日(2016年11月10日)まで2日間、東京大学本郷キャンパスで開かれました日本食品免疫学会第12回学術大会(JAFI 2016)での注目講演などもうかがいました。380人ほどが参加したとのことです。

 同学会の学会長は東京大学名誉教授の上野川修一さんです。今回の大会長は、ヤクルト本社の南野昌信さんが務めました。

 実行委員会は、学術委員長は東京農業大学の清水誠さんをはじめ、実行委員には企業の方も多く名を連ねています。所属企業別に、ヤクルト本社が5人、江崎グリコと明治がそれぞれ2人、サッポロホールディングスが1人です。

 講演やポスターで発表したり座長を務めた研究者の所属企業は、上記4社の他に、日清食品ホールディングス、富士フイルム、森永乳業、ハウスウェルネスフーズ、雪印メグミルク、アサヒグループホールディングス、三島食品、日本ハムです。バイオテクノロジーを利用した研究に取り組んでいる食品企業が多数、活動している学会です。

 そして第1回の食品免疫産業賞は、農研機構の山本(前田)万里さんと九州大学の立花宏文さん、それにアサヒ飲料の鈴木紳一郎さん、JAかごしま茶業の酒瀬川洋児さんの4人が共同受賞しまして、代表して山本さんが受賞講演を11月10日に行いました。授賞理由は「緑茶の抗アレルギー成分を特定し、その作用機構を解明して応用開発につなげる成果を挙げた」です。

 アレルギー軽減に役立つ茶葉成分である「メチル化カテキン」を関与成分とする機能性表示食品は現在のところ次の7件の届け出が消費者庁に受理されています。

○メチル化カテキン【目や鼻の不快感を軽減】
JAかごしま茶業 「べにふうき緑茶ディーバッグ」(届出番号:A67、届出日:2015年6月24日)
アサヒ飲料 「アサヒ めめはな茶」(A69、2015年7月3日)
荒畑園 「べにふうきスティックタイプ」など3件(B45からB47、2016年5月25日)
伊藤園 「まるごと健康粉末茶 べにふうき」(B121、2016年7月19日)
森永製菓 「天使の健康 べにふうき緑茶ティーバッグ」(B145、2016年8月8日)

※日経バイオテクONOLINEの関連記事

(2016.10.10)日経バイオテク特集
進化を迫られる食品の機能性表示
機能性表示食品は有力素材出そろう、25年前からのトクホと調整必至
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/082400016/100500006/?n_cid=nbpbto_mled_fd

(2016.07.29)
【機能性食品 Vol.248】
機能性表示の届け出、静岡県の荒畑園や秋田県の大潟村あきたこまち生産者協会
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/mag/foodmail/16/07/29/00034/?n_cid=nbpbto_mled_fd

(2015.09.14)
「目や鼻の不快感」対策のべにふうき茶の発売、JAかごしま茶業は9月15日、アサヒ飲料は11月24日
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150914/187384/?n_cid=nbpbto_mled_fd

 食品の免疫調節作用では、現在は乳酸菌やヨーグルトが大きな市場を形成していましす。代表的なヒット商品「明治プロビオヨーグルトR-1」は、第12回大会の裏表紙に広告が掲載されています。

年300億円超の「青」LG21に続け、明乳の機能性ヨーグルト大型商品第2弾目指すR-1は「赤」パッケージ(2009.11.26)
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/7165/?n_cid=nbpbto_mled_fd

乳酸菌PA-3のマスコミセミナー、東京女子医大の山中教授と帝京大の金子教授が講演(2015.06.18)
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150618/185685/?n_cid=nbpbto_mled_fd

 食品など天然物の成分の免疫調節作用に注目した研究の歴史を振り返りますと、40年以上前から研究されてきたキノコ類のβグルカンの存在が大きいのですが、今年、相次いで販売終了の発表がありました。ここ1カ月ほどでとりまとめた「日経バイオ年鑑2017」(2016年12月に発行予定です)にも記載したのですが、少し紹介します。

 味の素が02年12月に販売を開始した機能性食品である「ミセラピスト 超微粒子βグルカン」の販売が、2016年末をメドに終了します。2016年4月からは、エーザイグループの消化器事業と味の素グループの消化器事業が統合して誕生したEAファーマが販売していましたが、この販売終了を2016年7月に発表しました。なお、ミセラピストを開発する基となった注射薬のレンチナンは引き続き販売されています。

 医薬品では、1977年に販売が開始されたクレハ(呉羽化学工業から05年に社名変更)の抗悪性腫瘍剤クレスチンは、2017年9月末に販売中止になります。現在の製品「クレスチン細粒」の販売元である第一三共と製造販売元のクレハが2016年10月に発表しました。

 ミセラピストは、開発の経緯から取材する機会に恵まれました。免疫学の進歩は目覚ましいので、これら昔の製品も、免疫チェックポイントなどを評価すれば、新しい切り口、作用メカニズムなども見つかるのでは、と期待しているのですが、1つの時代が終わった、という印象です。

日経バイオテク1月18日号「機能性食材研究」(第25回)
シイタケ(椎茸)(2016.01.18)
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/series/16/01/14/00009/?n_cid=nbpbto_mled_fd

味の素の機能性食品ミセラピストの論文で、明治国際医療大の山田潤・准教授が日本眼科学会の学術奨励賞を受賞(2008.12.02)
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/8091/?n_cid=nbpbto_mled_fd

 さて次は、恒例の機能性表示食品の届け出受理の公表のアップデイトです。

 11月4日のアップデイトの後、11月8日と9日に更新されまして、合計498件になりました。2016年4月から始まったBシリーズ195件と、2015年度のAシリーズの303件(310件から、撤回の7件を除いた件数です)の合計です。関与成分の新規は、無いようですね。

 11月4日の更新分では、大塚製薬のBCAAについて、記事まとめました。

(2016.11.07)
大塚製薬、「運動による疲労感をやわらげる」BCAAで機能性表示食品届け出
機能性表示食品の届け出は9件に、うち7件は既に発売
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/11/04/01819/?n_cid=nbpbto_mled_fd

 最後に、ここ1週間のおすすめ記事を紹介します。

 まずは日本ハムのイミダゾールジペプチド。これも長らく取材しておりますが、発表は久しぶりでは、と思います。

(2016.11.04)
日本ハム、アスリート評価イミダゾールジペプチドの総合情報サイトを開所
高濃度配合飲料「イミダの力」をリニューアル発売
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/11/04/01818/?n_cid=nbpbto_mled_fd

 東京大学医学部教授の水島昇さんらは、引き続きオートファジーの研究成果を相次いで発表しています。

(2016.11.05)
オートファジー誘導剤の一部に阻害活性、東大とLTTバイオが論文発表
内部標準の導入で簡便で定量的なオートファジー活性測定プローブ
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/11/04/01815/?n_cid=nbpbto_mled_fd

(2016.10.21)
東大の水島昇教授ら、オートファジー分解機構の解明の糸口をScience誌で発表
オートファゴソームの内膜分解を促進する機構を哺乳類細胞で発見
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/10/21/01736/?n_cid=nbpbto_mled_fd

 オートファジーの現象はまだ分からないことが多いのですね。食品免疫学会でも、オートファジーに作用する食品の機能性成分の発表がありましたが、オートファジーの評価系にどのような系を用いているのかにも注目する必要を改めて感じております。

 原則毎週金曜日に配信している日経バイオテク機能性食品メールに掲載している記者によるコラムを掲載します。

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