【機能性食品 Vol.238】

パプリカのレプリカ、海ぶどう、郷ひろみと日本抗加齢医学会、医学会、医師会

(2016.05.20 18:30)
河田孝雄
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  【日経バイオテク/機能性食品メール】
     【2016.5.20 Vol.238】
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 原則として毎週金曜日に「日経バイオテク/機能性食品メール」をお届けしております日経バイオテクの河田孝雄です。

 まずは恒例の機能性表示食品の届け出公開情報から。本日15時00分現在では、4月27日以降の公表はありません。5月10日にデータの更新はありましたが、新規の追加案件はありません。かれこれ3週間以上、308件のままです。

 この1週間を振り返りますと、先週金曜日(2016年5月13日)から日曜日(5月15日)までは、兵庫県で開かれた日本栄養・食糧学会を取材しました。おもしろかったことがたくさんありました。記事とりまとめを進めています。現在までの記事・メールは以下をご覧ください。

 記事に記載しましたが、「小胞体の機能と制御のダイナミクス」と題した特別講演を行いました京都大学大学院理学研究科生物科学専攻生物物理学教室ゲノム情報分野教授の森和俊さんの著書「細胞の中の分子生物学」(ブルーバックス)が今日、発行されました。昨日、虎ノ門の書店にて購入できまして嬉しく思いました。というのも、一昨日、八重洲の大きな書店で、アマゾンには既に出ているのですが、と店頭で聞いたところ、発行日の前には、販売してはいけないことになっているので、店頭に置いていない、という説明を受けたからです。いろいろな業界のしきたりがある、ということでしょうか。

[2016-5-16]
日本栄養・食糧学会の初の学生優秀発表賞に11題
東大と京大、徳島大、九大が2題、北大と岩手大、名古屋学芸大が1題
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/05/16/00716/

[2016-5-16]
日本栄養・食糧学会に2000人、ノーベル賞有力候補2人が武庫川で特別講演
小胞体の森和俊氏とオートファジーの大隅良典氏
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/05/16/00715/

[2016-5-16]
日経バイオテク5月16日号「機能性食材研究」(第29回)、クビレズタ(海ぶどう)
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/series/16/05/11/00093/

[2016-5-13]
【機能性食品 Vol.237】
第70回日本栄養・食糧学会が兵庫県で開幕、
技術賞はライオンと長崎県グループ
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/mag/foodmail/16/05/16/00020/

[2016-5-12]
林原、独自3素材の健康機能性を栄養・食糧学会で6題発表
ヘスペリジン3題と水溶性食物繊維2題、トレハロース1題
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/05/12/00690/

[2016-5-12]
長瀬産業、フラボノイドの腸管バリア保護機能を乳酸菌で強化
キムチ由来A221株の成果を栄養・食糧学会で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/05/12/00689/

[2016-5-11]
東大医、肝臓内グリコーゲンセンシングのシグナル伝達制御遺伝子を同定
特許を出願して栄養・食糧学会で発表へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/05/11/00684/

[2016-5-9]
三基商事がコーカサス乳酸菌を睡眠対策で商品化
京大の河田照雄教授との成果を来週発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/05/07/00662/

 一昨日(5月18日)と昨日(5月19日)は、東京ビッグサイトの展示会・研究会を取材しました。展示会では、機能性表示食品と、ハラル・コーシャ対応が特に目立っていたように感じました。展示会と研究会に関連するグリコの記事まとめました。展示ブースには、パプリカのレプリカと、赤パプリカの青果も展示されていました。都内のデパートで、赤パプリカを調達したところ、オランダ産のものを購入できたとのことでした。グリコの素材の原料は、スペイン産の赤パプリカです。

[2016-5-20]
内閣府ImPACTで表彰された赤パプリカ抽出物をグリコが事業化
京大にゆかりの生産開発科学研究所が基礎研究
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/05/20/00752/

 昨日の日本カロテノイド懇話会のカロテノイドフォーラムでは、京都府立医科大学准教授の内藤裕二さんの講演が特におもしろかったです。ラジオ番組も持っているとのことで、臨床と研究だけでなく、話術も長けてますよね。

 ダイヤモンド社から2016年1月15日に発行された内藤さんの著書「消化管(おなか)は泣いています-腸内フローラが体を変える、脳を活かす-」は増刷とのこと。続いて3月4日には、「人生を変える賢い腸のつくり方―――ココロまで整える腸内フローラ活性術」が同じくダイヤモンド社から発売になりました。

[2016-2-25]
インターベリーα、ヒトとイヌ、
消化管は泣いている、健康長寿のための医学【GreenInnovation Vol.302】
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/mag/greenmail/16/02/25/00002/

 内藤さんは米国での消化器学会に参加のため、いま機上の人なのでは、と思います。移動が半日がかりになるという京都府の北のほうの打ち合わせが一昨日だかにあったとのことで、とにかく多忙ですよね。おばあちゃんと子、孫の3代の腸内フローラの解析を、日本海に面した京都府の北のほうで進めるとのことでした。

 活躍なさっている研究者の方々にお会いする機会も多いのですが、とにかく体調管理にだけは気を付けて欲しいと切に願っております。

 内藤さんは、日本で歴史のある腸内細菌が世界的に注目を集めていることもお話でして、偏性嫌気性の芽胞形成性酪酸菌である宮入菌も、紹介しました。

 この宮入菌には、ゲノム解析の沖縄の要人の方も、昨年秋にお世話になったと、先日うかがいました。海外で体調が優れなかったのですが、日本に戻って直ぐに宮入菌を投与して、ことなきを得たとのとでした。腸内フローラは大切です。

 沖縄のゲノム解析では、日経バイオテクの連載「機能性食材研究」の連載で、まずは「海ぶどう」を取り上げました。

[2016-5-16]
日経バイオテク5月16日号「機能性食材研究」(第29回)、クビレズタ(海ぶどう)
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/series/16/05/11/00093/

 なお、2016年4月から「先進ゲノム支援」が、文科省の科研費の新学術領域で始まりました。ゲノム解析を重点取材しています。今週月曜日(5月16日)は、静岡県三島市の国立遺伝学研究所、今日金曜日(5月20日)は千葉県木更津市にあるかずさDNA研究所でお話しをうかがいました。記事とりまとめ進めております。

 次の話題は、火曜日(5月17日)に六本木ヒルズで開催された日本抗加齢医学会のセミナーです。6月10日から12日までパシフィコ横浜で、第16回日本抗加齢医学会総会が開催されます。この一環で開催される市民公開講座では、日本医師会の会長と、日本医学会の会長のお2人が集まるとのこと。これまで抗加齢医学会は医学会の端のほうにいたけれども、だんだん中央に近づいてきた、と学会の幹部の方々がお悦びでした。

 プログラムによると、同学会では、郷ひろみのコンサートが、予定されています。郷ひろみさんは、1955年10月18日生まれとのことですので、抗加齢医学会でオンステージのときは、60歳かと思います。

 最後の話題は、水曜日(5月18日)午前中の食品安全委員会です。報道関係者向けの懇談会があり、「酵素」がテーマとして講演が行われました。

 酵素は蛋白質であり、食べるとアミノ酸に分解されるので、酵素は体内では働かない、という説明が何度もなされました。この説明には、問題が多すぎます。

 兵庫県で開催された日本栄養・食糧学会では、消化管で吸収されたペプチドの体内での機能に関する発表を多くうかがいました。アミノ酸のポリマーである蛋白質やペプチドが、消化管で吸収されるときには、全てアミノ酸になっているというのは、かなり古い科学だと、私は思います。

 食品安全委員会での問題のまずは、「体内」の定義。このメールでも先に紹介しましたが、腸内フローラは、健康に大きな影響を与えています。上の説明の「体内」は原則、消化管で吸収された後を、意味しているようですが、腸内も、体内といってもよいのではないでしょうか。

 プロテアーゼやアミラーゼなどの消化系酵素の製剤は、日本では医薬品(処方薬やOTC薬)として利用されていますし、経口摂取で一定の機能を発揮することは確かだと思います。

 また風邪薬のセラチオペプチダーゼは微量ではあるけれども、腸管から吸収されて体の中に入ることが分かっています。

 特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品において、機能性成分として「酵素」を利用したものはまだ登場していませんが、今後期待できます。消化系酵素については、食薬区分の問題がかかわるので、簡単ではないかもしれませんが。

 ともかくも腸内フローラは社会的関心が高いですし、腸などの消化管で健康に寄与する食品の1つとして、今後、酵素に対する注目度が高まります。報道関係者向けの説明会でも、丁寧な説明をすべきだと思います。「酵素は蛋白質であり、食べるとアミノ酸に分解されるので、酵素は体内では働かない」という説明は、あんまりではないでしょうか。

 今日金曜日の午後は、かずさDNA研究所の後、理化学研究所の理事長懇談会でCRIPRなどの取り組みについてもうかがい、衆議院議員会館で「どうする食品規制」に参加しました。TPPと食品添加物がメーンテーマです。

 原則毎週金曜日に配信している日経バイオテク機能性食品メールに掲載している記者によるコラムを掲載します。

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