皆様おはようございます。日経バイオテクの橋本宗明です。まず私事で恐縮ですが、今年3月いっぱいで日経バイオテク編集長を退任しました。後任の編集長には、これまで副編集長を務めていた坂田亮太郎が着任しました。私は日経ビジネスと日経バイオテクの兼務の編集委員を務めることになりました。ということで、皆様に退任の御挨拶をしなければならないのですが、その前に最近の取材を通じて感じていることを少し紹介させていただきます。

 現在、日経バイオテク編集部では、2017年に発行した書籍「バイオベンチャー大全」の2019-2020年版を発行するべく、全員で手分けして取材を進めているところです。私自身も30社程度のベンチャーを取材するべく全国を飛び回っていますが、その中で痛感するのは、再生医療関連や遺伝子治療関連のベンチャーに大きな動きが出てきていることです。10年以上も前から取材してきた会社を訪問し、冬の時代を抜け出して開発が進展し始めているという話を聞くと、本当にほっとさせられます。

 2年前に伺った時はまだ事業がこう着した状態からなかなか抜け出せない、といった雰囲気だったベンチャー経営者の顔色が全く違って見えます。これまで再生医療や遺伝子治療に見向きもしなかった製薬企業が、強い関心を持って接触してくるようになったと、ベンチャー経営者らは口をそろえたように言います。

 背景には間違いなく、2014年に施行された医薬品医療機器等法により条件・期限付き承認制度が創設されるなど、再生医療等製品の実用化を厚生労働省や医薬品医療機器総合機構(PMDA)をはじめ、国が後押しする雰囲気ができあがってきたことがあります。また、欧米で遺伝子治療製品が相次いで承認され、製薬企業が新たなモダリティとしての活用を真剣に考え始めたということもあるでしょう。

 規制や政治が先に動いて、あるいは海外での動向を見て、大手企業が重い腰を上げる──。そんな押っ取り刀で良いのかとは思いますが、再生医療や遺伝子治療分野で動きが出てきたこと自体は歓迎すべきです。この動きが再生医療や遺伝子治療だけにとどまらず、バイオや医療の様々な分野に波及していって、医療ビッグデータの活用によって医療が効率化されたり、極めて希少な疾患に悩む患者が治療法にアクセスできたりする世の中が到来することを願ってやみません。そのために私に何ができるのかというと、ジャーナリストとして取材をし、皆様に情報発信をしていくことではないかとあらためて感じています。

 私が日経バイオテクの編集長に着任したのは2006年1月で、途中2013年から2015年半ばにかけて一時編集部を離れましたが、10年以上の長期にわたって読者の皆様には大変お世話になりました。これだけ長い期間にわたって編集長を務めることができたのは、読者の皆様から編集内容を支持していただけたからだと自負しています。もちろん、中には不十分、不正確な記事もあったかもしれませんが、それでも日経バイオテクをご愛読いただき続けた読者の皆様、また、貴重な情報を提供いただいた取材先の皆様には本当に感謝しています。また、コンテンツ作りを支えてくれた編集部のスタッフや、寄稿者の方々、システム関係その他で支援をいただいた方々にも恵まれていました。皆様にお礼申し上げます。4月からも日経バイオテクの編集委員として、これまで通りバイオ分野の取材、報道を続けるわけですが、時折やさしめの解説記事を日経ビジネスに執筆することになると思います。昨日も早速、日経ビジネス電子版の「1分解説」というコーナーに執筆しました。

第一三共、英アストラゼネカ社提携、鍵を握るADCとは?
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/040100206/

 また、5月27日に開催する弊社主催セミナーも引き続き私が担当しますので、ぜひご参加いただければと思います。

バイオエコノミーが生む200兆円の商機
日本政府もバイオ産業育成開始!
https://nkbp.jp/2Op70FF

 編集長は退任するものの、引き続きバイオ分野を中心に取材するジャーナリストとして活動してまいりますので、これからもどうぞよろしくお願いします。