おはようございます。副編集長の久保田です。昨日から第18回日本再生医療学会総会が始まりました。

 今回は、複数のベンチャー企業の基盤となっている技術や開発品について、幾つか重要な発表がありそうなので、学術的にも、産業的にも、注目の学会になると個人的には思っています。弊誌も、私を含めて3人体制でカバーしますので、会場で見かけたらお声掛けください。
 さて、話は変わりますが、先日公開した遺伝子治療の特集記事はお読みいただけたでしょうか。記事公開後から連日、特集連動記事も出ていますので、まだチェックされていない方はぜひお読みください。

特集◎遺伝子治療に商機はあるか
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/082400016/030600075/

 国内の遺伝子治療の研究開発は幾つもの理由からこれまで、周回遅れ、いや、数周回遅れといわれてきました。ただ、ここ数年、その状況が変わりつつあります。詳しくは特集をお読みいただければと思いますが、数周回遅れだからと言って、国内企業に全く商機がないというわけではなさそうです。アカデミアからも、さまざまなシーズが芽を出しつつあります。

 ひとつ悩ましいのは、アカデミアが遺伝子治療に有用な遺伝子を見い出し、in vivoで有用性が示唆された後、ベクターの選択やベクターの最適化などを、一体誰が担うのかというポイントです。既存のベクターを活用するか新規のベクターを構築するか、治療効果を高めるためにどの程度ベクターを改変するかといったことは、企業にとって遺伝子治療開発の根幹にかかわる重要な戦略です。

 海外ではそうした戦略立案(ベクターの選択や最適化など)を数多くのベンチャー企業が担っていますが、日本ではベンチャー企業が極端に少なく、そういう状況には程遠いのが実情。かといって、アカデミアの研究者にとってそうした研究は論文になりにくく(インセンティブが働きにくく)、しかも、研究者は(研究するにしても)既存のベクターの特許が残っているかどうかもよく分からない中で、手探りで研究を進めていたりします。今回の取材を通じ、遺伝子治療を取り巻く新たな課題にも気づかされた次第です。

よろしければぜひ、特集連動の記事も併せてお読みください。

JCR、ライソゾーム病などにAAVベクター用いた遺伝子治療開発へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/19/03/07/05353/

遺伝子治療研究所、2020年度にALSの遺伝子治療のフェーズI/II開始へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/19/03/08/05358/

自治医大村松氏、中枢疾患向けに続き肝疾患向けに新規カプシドを開発
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/19/03/08/05361/

慶應大発のレストアビジョン、網膜色素変性に遺伝子治療を開発中
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/19/03/08/05359/

エディジーン、単一遺伝子疾患に対しゲノム操作する遺伝子治療を開発中
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/19/03/07/05354/

阪大朝野氏、心臓特異的なAAVベクター用いる遺伝子治療開発へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/19/03/11/05373/

順天堂神谷氏、難聴の遺伝子治療に向けプロモーター改良なども視野
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/19/03/11/05374/

自治医大大森氏、AAVベクター用いる血友病のゲノム編集療法を開発中
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/19/03/11/05375/