【日経バイオテクONLINE Vol.3077】

2019年は製薬M&Aの嵐の予感

(2019.01.09 10:00)
橋本宗明

 皆様、こんにちは。日経バイオテク編集長の橋本宗明です。12月25日から1月4日まで、緊急ニュースを除いてニュース配信をお休みさせていただきました。毎年、三が日に掲載していた識者による新春展望の寄稿もお休みとさせていただきました。「楽しみにしていたのに」というご意見もいただきましたが、その分、編集部一同、しっかりと充電して、皆様の仕事に役立つニュース配信に力を入れていきます。どうかご理解いただくとともに、日経バイオテクをご愛読いただきたく、よろしくお願いします。

 お休みをいただいたお陰で、というわけではありませんが、年初から日経バイオテクONLINEに新しいコンテンツを追加しました。

 新しいコンテンツは、「国内企業の会社概要」と「海外企業の会社概要」で、右上の「データベース」を押して、「企業情報」をクリックしていただくと、その下に現れます(法人版では従来、未公開企業の企業情報を掲載していましたが、そちらは「未公開企業の詳細情報」という名称に変更しました)。

(日経バイオテクONLINE)https://nkbp.jp/2RAIMvX
(法人版/Pharma Business)https://nkbp.jp/2CSvJho

 このコンテンツは、昨年7月末に発行した「世界の創薬パイプライン」に掲載した、国内外合計741社分の会社概要です。国内企業は会社名の読み仮名のアイウエオ順、海外企業はアルファベット順で掲載しています。7月末以降にM&Aで他社に買収されてしまったり、事業内容を大きく見直すなどした会社も含まれていて、最新の情報ではありませんが、これらについては時期を見て更新していきたいと思います。ごくごく簡単な会社概要と、当該企業のホームページのURLを掲載しただけですが、記事の中に出てきた会社について、「どんな会社だっけ」と思った時にお役にたてるようにしました。検索窓に社名を入れて検索いただいたら、「国内企業の会社概要」「海外企業の会社概要」といったショルダータイトルと併せて検索結果に表示されますので、どうぞご利用ください。

 さて、2019年も年初から大きなニュースが飛び込んできました。1月3日に米Bristol-Myers Squibb(BMS)社が米Celgene社を買収するための買収契約を締結したと発表しました。約740億ドル(約8兆円)の買収金額は武田薬品工業によるアイルランドShire社買収の460億ポンド(約6兆6000億円)を大きく上回る規模です。BMS社とCelgene社の2017年の売上高は合計で約340億ドル(約3兆7000億円)に達し、実現すれば世界第4位の製薬企業になる見通しです。

 買収価格はCelgene社の株価の1月2日の終値に約54%のプレミアムを上乗せしたものだということです。これを高いと考えるか、安いと考えるかは考え方次第ですが、Celgeneは2017年10月にアンチセンス薬のモンジャーセンナトリウム(GED-0301)の開発中止を発表して以来、株価を大きく下げており、1月2日時点の株価はピークの半分以下になっていました。これだけ株価が下落していたからこそ、BMS社は買収に動いたということなのでしょう。

 このBMS社のM&Aの発表に続いて、1月7日には米Eli Lilly社が米Loxo Oncology社を、総額約80億ドル(約9000億円)で株式の公開買い付けにより買収することで合意したと発表しました。Loxo社は癌のドライバー遺伝子変異に着目して創薬を進める企業で、昨年11月にはドイツBayer社と共同開発してきた経口トロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)阻害薬であるVITRAKVIが、神経栄養因子チロシンキナーゼ受容体(NTRK)遺伝子融合を有する進行固形癌を対象に米食品医薬品局(FDA)から承認を取得しています。また、RET融合遺伝子陽性進行性固形癌に対するRET阻害薬LOXO-292、第2世代のTRK阻害薬LOXO-195、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬のLOXO-305など、複数の抗腫瘍薬をパイプラインに有しています。Lilly社がLoxo社を買収する目的も、癌領域の強化ということです。

 Lilly社の買収は当然、BMS社のCelgene社買収が発表されるよりも前から検討されていたのだと思います。パイプラインをいかにして補っていくかは大手製薬企業に共通する課題です。一方、昨年9月頃からNASDAQ Biotechnology Indexが軟調に推移しており、バイオ企業に値ごろ感が出てきたことも、M&Aが相次ぐ一因となっているのかもしれません。いずれにせよ、年初から大型M&Aが相次いで、2019年は製薬業界にM&Aの嵐が吹く年になりそうな予感が漂っています。

 バイオ研究者やバイオ産業に携わる方、約5万人に向けて月曜から金曜まで週5回配信している日経バイオテクONLINEメールに、水曜日と金曜日に掲載している記者によるコラムを掲載します。

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