【日経バイオテクONLINE Vol.3070】

あなたの印象に残った2018年のバイオ業界のニュースは何ですか

(2018.12.19 08:00)
高橋厚妃

 みなさんこんにちは、日経バイオテクの高橋です。急激に寒くなった影響で、見事に風邪を引きました。周囲からは、インフルエンザにかかったという声も聞こえてきます。どうぞ体調にはお気を付け下さい。忘年会シーズンに入り、2018年のバイオ業界について振り返る機会が増えました。みなさんの印象に残ったニュースは何ですか。

 今回は、私が主に担当する再生医療の分野の2018年のニュースを振り返りたいと思います。まず、今年はiPS細胞の臨床応用に関するニュースが多い年でした。

 2018年8月から、京都大学医学部附属病院と京都大学iPS細胞研究所(CiRA)が、パーキンソン病に対する他家iPS細胞由来ドパミン前駆細胞の医師主導治験を開始しました。他にも、大阪大学心臓血管外科による他家iPS細胞由来心筋細胞シートの臨床研究と、京都大学医学部附属病院とCiRAによる、自家iPS細胞由来血小板の臨床研究が、厚生労働省の厚生科学審議会再生医療等評価部会で了承されており、移植に向けた準備が進められています。

 海外の話題としては、富士フイルムが戦略的提携契約を締結しているオーストラリアCynata Therapeutics社が、他家iPS細胞由来間葉系幹細胞(MSC)のフェーズIの結果を公表しました。急性移植片対宿主病(GVHD)のグレード2から3の患者15例を対象に行われたもので、投与後、15人中14人(93%)のGVHDの重症度のグレードが、1つ以上下がったと報告されています。また、今回の評価期間中は、治療に関連した重篤な有害事象や安全性の懸念は示されなかったとのことです。

 体性幹細胞の話題も多数ありました。が、市場が盛り上がった、という点ではサンバイオの慢性期の外傷性脳損傷を対象とした他家細胞医薬SB623の日米グローバルフェーズIIで、主要評価項目を達成したとするトップラインデータの発表が印象的です。この発表があった2018年11月1日の翌日以降、サンバイオの株価は連日ストップ高を記録し、株式時価総額は一時3500億円を超えて上場バイオベンチャーではペプチドリームに次ぐ2位となりました。

 様々な再生医療の臨床応用が進む一方で、「その疾患を治療するために再生医療でなければならない理由」、「その細胞を使う理由」などを問う声も多く聞かれるようになってきました。こうした関心の高まりが、本誌の連載「再生・細胞医療産業化に向けた道標(第2回)、根本治療を見据えた疾患×モダリティの『勝ち筋』」へのアクセス数が増えている一因ではないかと考えています。

 2019年はどんな一年になるのでしょう。個人的には、海外のベンチャー企業がスポンサーとなり、自社のシーズを国内で開発するケースが増えてくるのではと予想しており、その動向にも注目していきたいと思っています。

 さて、2018年内で私が担当するメールは今回で最後となります。今年も大変多くの方に、取材などでお世話になりました。2019年もどうぞよろしくお願いいたします。

 バイオ研究者やバイオ産業に携わる方、約5万人に向けて月曜から金曜まで週5回配信している日経バイオテクONLINEメールに、水曜日と金曜日に掲載している記者によるコラムを掲載します。

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