皆様、おはようございます。日経バイオテク編集長の橋本宗明です。先週金曜日に、「技術者塾バイオテク編」として、「創薬R&Dにおける新たな試み」と題するセミナーを開催しました。ご参加いただいた方は、どうもありがとうございました。【訂正】第一三共の開発品を当初、「DS-3201」と記載していましたが、「DS-3202」の誤りでした。お詫びして訂正します。

 セミナーは、当社の技術系セミナーのブランドである技術者塾の主催、エルゼビア・ジャパンの共催で開催したもので、「核酸医薬」や「マイクロバイオーム」のように、創薬研究の特定のテーマにスポットを当てるのではなく、各社の研究部門において新しいチャレンジをしている方に登壇いただき、質疑応答するという体裁で進めました。

 まず登壇いただいたのは、Axcelead Drug Discovery Partnersの池浦義典代表取締役社長です。Axceleadは、武田薬品工業の湘南研究所の一部をスピンアウトして設立された企業で、新薬の探索、スクリーニング、最適化、薬効薬理、薬物動態、安全性評価などの創薬支援事業を手掛けます。当初は武田薬品の100%子会社として発足しましたが、11月には独立系投資会社のウィズ・パートナーズと武田薬品が共同で設立する創薬維新ファンド傘下のベンチャー企業になります。事業内容としては、いわゆる前臨床CROと同じですが、武田薬品が構築してきた化合物ライブラリーの一部とそのデータなどを引き継いでいる点は、他社から受託をしていく上で大きな魅力となりそうです。前臨床CROとしての競争力を高め、武田薬品とウィン-ウィンでやっていくために、どのような戦略を考えているのかを紹介いただきました。

 次に登壇いただいたのは第一三共の常務執行役員である赤羽浩一研究開発本部オンコロジー統括部長です。「2025年度に癌に強みを持つ先進的グローバル創薬企業へ変化する」という目標を2016年に打ち出して新設されたオンコロジー統括部を率いる赤羽統括部長は、「癌領域の創薬におけるTranslational Scienceの重要性」というタイトルで、現在開発中のDS-8201とDS-3202に焦点を当て、開発経緯と共に、トランスレーショナルサイエンスが早期段階での意思決定に重要な役割を発揮していることを紹介いただきました。特に、抗体薬物複合体(ADC)として注目されているDS-8201に関して、リンカーもペイロードも長年にわたる自社研究の成果であり、「粘り強く自分の技術を磨いていくことが重要」と話されていたのが印象的でした。

 3番目に登壇いただいたのは大日本住友製薬の岸野晶祥再生・細胞医薬神戸センター長です。日本の製薬大手の中ではいち早く再生医療に乗り出し、iPS細胞由来の再生医療等製品の開発を進めている同社が、なぜ再生医療に目を向けることになったのか、これまで製薬企業が手掛けてきた低分子化合物やバイオ医薬品とは全く異なるモダリティの製品を取り扱う難しさ、などをお話いただきました。パーキンソン病に対する他家iPS細胞由来ドパミン前駆細胞は2018年8月に医師主導治験が始まっており、早期の実用化が期待されます。

 3氏の講演は、まさにチャレンジ中の方々のお話だけあって大変魅力的で示唆に富んだものでした。出版社からライフサイエンス分野のデータプロバイダーに変化しようとしているElsevier社のTimothy Hoctor Vice Presidentの講演も含めて大変面白く、またこのような機会があれば日経バイオテクの読者の皆様にも紹介していきたいと思います。

 最後に、日経バイオテクプロフェッショナルセミナーの宣伝もしておきます。12月5日に東京・神谷町で「低分子薬で核酸を標的に」をテーマとするセミナーを開催します。奮ってのご参加をお待ちしています。

セミナーの詳細はこちらから
https://nkbp.jp/2xWo1iG

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