みなさんこんにちは、日経バイオテクの高橋厚妃です。先日、イエバエの幼虫を養殖魚や家畜の飼料などに活用するベンチャー企業のムスカ(福岡市博多区、流郷綾乃代表取締役暫定CEO)を取材しました。

 社名のムスカは、イエバエの英語名Musca domesticaが由来です。同社は、畜産農家から排出されるフンや食品から出る残りかすにイエバエの卵をまいて孵化させ、幼虫やさなぎを乾燥させて飼料の原料とし、残ったフンなどは有機肥料に加工する事業を手掛けるベンチャーです。

 同社は、2016年12月に設立された企業ですが、事業に利用する、孵化の効率の良いハエの育種は、数十年続けています。また、愛媛大学や宮崎大学などと共同で、イエバエの幼虫を魚の餌として与えた場合の効果や、加工した有機肥料の農作物への影響などを研究し、効果がありそうなことも分かってきました。

 同社は現在、資金調達中ということで、その使い道を聞きました。現在、パイロット工場を建設する計画で、その建設費が主な理由です。しかしそれに加えて、同社の流郷表取締役暫定CEOは、「もっと、飼料や肥料としての効果を確かめる研究をしたい」と話していました。

 愛媛大学や宮崎大学などとの共同研究で、ある一定の研究成果が出ているのに、なぜ今後も研究に注力するのか聞いたところ、こんな答えが返ってきました。

 「ハエの幼虫(ウジ)やハエを活用するということで、一般の人からプラスのイメージが付きにくいのです。そこで、エビデンスを積み重ねることが重要だと考えています」ということでした。こちらは、「ハエを活用する面白い発想のビジネスだ」という視点から話を聞いていたため、「ハエによる企業のイメージ」については深く考えておらず、はっとさせられました。決してプラスではない企業イメージを、同社が今後どのように変えていくのか、楽しみにしたいと思います。