皆様、おはようございます。日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 日経バイオテク本誌では例年、各製薬企業の開示情報をベースに医薬品の年間売上高のランキングを作成し、掲載しています。発表ベースなので、12月期決算企業は2017年12月期のデータ、3月期決算企業は2018年3月期のデータを使用しているため、製品によって算出対象の時期が異なる点に注意が必要です。また、ドル以外の通貨で発表されている売上高は、それぞれの通貨について年間平均為替レートを用いて基軸通貨のドルに換算しています。調査の対象としたのは海外企業24社、国内企業14社で、1製品で10億円以上を売り上げるブロックバスターについては全てカバーできているはずです。

 今回の調査で、2017年度にブロックバスターとなった医療用医薬品は123品目で、2016年度に比べて1品目増えました。新たにブロックバスターの仲間入りをしたのが14品目、ブロックバスターから脱落したのが13品目で、ブロックバスター1製品当たりの売上高は26億3137万ドルとなっています。

世界の医薬品売上高ランキング―2017年度
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 ブロックバスターのランキングを見ていてつくづく思うのは、生物学的製剤の堂々たる存在感です。2017年度のランキングでは、生物学的製剤は、売上高上位5製品中では4品目を、上位10製品中では7品目を占めました。ブロックバスター全体では123品目中46品目が生物学的製剤です。昨年もTOP5のうち4品目、TOP10のうち7品目が生物学的製剤で、全体では122品目中45品目が生物学的製剤でした(デノスマブを骨粗鬆症治療薬:プロリア/プラリアと、骨病変治療薬:ザイゲバ/ランマークの2品目として集計)。品目数こそそんなに変わりませんが、生物学的製剤のブロックバスターの売上高の合計額は2016年度の1423億7200万ドルから2017年度は1529億6300万ドルへと7.4%増加しました。全ブロックバスターの売上高総額3236億5900万ドルのうち、生物学的製剤は47.3%を占め、今やブロックバスターの市場の半分近くが生物学的製剤となっています。

 ここで言う生物学的製剤は、抗体医薬と蛋白質医薬です。蛋白質製剤はインスリンや成長ホルモンなどが古くからありましたが、リツキサンやハーセプチンなどの抗体医薬が登場したのはこの20年ほど前のことです(それ以前にも抗体医薬はありましたが、マウス抗体のため抗原性などに課題がありました)。それ以降、抗体医薬の市場が徐々に拡大するのに合わせて、製薬企業の研究開発も大きく様変わりしました。

 今後、抗体医薬や蛋白質医薬とはまた異なるモダリティの医薬品が、ブロックバスター市場に顔を出してくるでしょう。2016年12月に、世界初の脊髄性筋萎縮治療薬として承認された「スピンザラ」(ヌシネルセンナトリウム)の2018年第2四半期までの売上高は7億8700万ドルで、通期ではブロックバスターの仲間入りをすると予想されます。核酸医薬では、2016年にSarepta社のDMD型筋ジストロフィー治療薬「Exondys」が承認されていますが、そのSarepta社の2018年第2四半期までの売上高は1億3800万ドルで、その大半がExondysによるものと見られます。Gilead Sciences社のCART療法薬Yescartaは第2四半期までで1億800万ドル、Novartis社のKymriahもまだ売上高は大きくないようですが、これら革新的な医薬品も徐々にその市場を拡大しながら、売上高を伸ばしていくことでしょう。現在は低分子化合物と抗体医薬を含む蛋白質医薬がほぼ半々に分け合っているブロックバスター市場は、今後数年間のうちにどのように姿を変えていくでしょうか?

 その手掛かりをつかむために、当編集部では国内外の製薬企業やベンチャー企業が開発中の候補化合物のデータベースを作成し、領域別、モダリティ別などに分類しながら分析を進めています。結果は9月7日に都内で開催する「創薬パイプライン研究セミナー」で紹介する予定ですが、各領域で核酸、遺伝子治療、細胞医薬などの新規モダリティの研究開発が加速しており、低分子化合物のシェアは徐々に小さくなっています。もちろん、その全てがブロックバスターに成長できるわけではありませんが、ブロックバスター市場においても、この5年、10年といったタイムスパンの中で新しいモダリティが台頭し、低分子化合物の生存圏が狭まっていくのは必至でしょう。そうした将来を予想する上でも、創薬パイプライン研究セミナーはお役に立ちそうです。ご興味のある方はぜひ下記よりお申し込みください。

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