【日経バイオテクONLINE Vol.2965】

バイオ医薬のAGの薬価は“0.5掛け”でどうなる?

(2018.07.13 08:00)
久保田文

 おはようございます。副編集長の久保田です。

 2018年7月10日、バイオシミラー協議会が第4回バイオシミラーフォーラムを開催。終了後の記者会見で、厚生労働省医政局経済課ベンチャー等支援戦略室の飯村康夫室長がバイオ医薬のオーソライズド・ジェネリック(AG)の薬価について、「現状では後発医薬品と同様、先発品の“0.5掛け”となる」と見解を述べました。

 AGとは、一般的には先発品メーカーから特許の実施許諾を受けた後発品メーカーが販売する、有効成分だけでなく添加物や製法などもすべて先発品と同じ低分子薬の後発医薬品のこと。AGは、先発品メーカーの工場で同じように製造されるケースも少なくありません。AGの利点は、承認されれば特許切れ前に発売できることや、先発医薬品の承認申請の資料を利用して承認を得られる可能性があること――など。

 もっとも、抗体医薬などバイオ医薬は、低分子薬とは違い、高次構造が複雑で同一性を示せないことから、低分子薬の後発医薬品のような概念は存在しません。先発品と同等性・同質性が認められた後発のバイオ医薬は、バイオ後続品(バイオシミラー)と呼ばれ、後発医薬品とは区別されて扱われています。

 ただ、先発のバイオ医薬を製造する先発メーカーの工場で同じように製造すれば、先発品と同一性を示す後発品の製造が可能。要は、同じバイオ医薬のラベルを張り替えるということですが、バイオ医薬のAGとして、低分子薬のAGと同じような利点を得られるというわけです。

 2016年、協和発酵キリンが、2019年に特許切れを迎えるバイオ医薬の「ネスプ」(ダルベポエチン アルファ)について、AG化する検討を進めると明かしました。協和発酵キリンがそのまま製造・販売するのか、後発メーカーが販売するのかなど、詳細は現時点では明らかではありませんが、同社は現在も「承認取得に向けて粛々と進めている」(広報部)と話しています。

ニュース◎協和キリン、核酸医薬と再生医療を新たな創薬の柱に
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/02/01/00155/

 国内のルールでは、バイオ後続品の普及を後押しする狙いなどから、同等性・同質性が認められたバイオ後続品の薬価が、先発品の“0.7掛け”と定められています。ただ、前述の通り、バイオ医薬のAGは、バイオ後続品には当てはまりません。「個別の薬価については、申請があった時点で判断するが、基本的には低分子薬の後発医薬品と同じ扱いになるので、薬価は“0.5掛け”になる」(飯村室長)というわけです。

 もし、バイオ医薬のAGを開発すれば、特許切れ前から発売でき、薬価も“0.5掛け”になるので、かなりの市場シェアを獲得できると予想されます。ただ、先発メーカーにとっては、売上高が端的に言えば半分になるので、市場投入のタイミングが肝心にはなりそう。

 一方で、バイオ後続品が普及しているとはいいがたい状況で、特許切れ後を見据えてバイオ後続品を開発しているメーカーからすれば、AGの出現は脅威に映るでしょう。ややもすると当該のバイオ後続品の開発から手を引くところも出てきて、競争原理が働きにくくなるかもしれません。先発品と同一で、かつ、薬価は“0.5掛け”のAGに対抗するため、臨床データを蓄積したり、有用なインジェクターを開発したりと、バイオ後続品の開発メーカーには、さらなる工夫が求められることになりそうです。

 バイオ研究者やバイオ産業に携わる方、約5万人に向けて月曜から金曜まで週5回配信している日経バイオテクONLINEメールに、水曜日と金曜日に掲載している記者によるコラムを掲載します。

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