おはようございます。副編集長の久保田です。今日は、2018年5月11日から17日にかけて実施した「第5回バイオ村の住民投票」の結果について、皆さんと情報共有したいと思います。テーマは、武田薬品工業によるアイルランドShire社の買収について。約1週間で、315人の住民の方から投票をいただき、多くの自由意見も頂戴しました。ご協力、ありがとうございました。

バイオ村の住民投票◎武田薬品によるShire社への買収提案、約50%が「評価する」
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/091400014/051800015/
※どなたでもお読みいただけます。

 ただその前に、ひとつご報告と御礼を。今週火曜日(5月29日)、弊誌主催のプロフェッショナルセミナー「低分子薬の新たなモダリティ: 標的蛋白質分解誘導薬の最前線」が無事、終了しました。製薬企業の方々を中心に、当初の予想をはるかに超え、約90人の方々にお集まりいただくことができました。パネルディスカッションでは、数多くの質問をいただき、活況のうちにセミナーを終えることが出来ました。お越しいただいた皆様、本当にありがとうございました。

関連特集◎臨床入り目前の標的蛋白質分解誘導薬
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/082400016/022100047/

 そして、今回のセミナーを通じ、かなり多くの製薬企業の方々が、標的蛋白質分解誘導薬に取り組み始めている、ないしは、真剣に情報収集しているということも確信いたしました。標的蛋白質分解誘導薬は、これからの展開が楽しみな分野であり、日本のメディシナルケミストの底力を発揮できる分野であるとも考えております。ぜひ、研究で手ごたえが得られた企業の皆様には、取材をさせていただけたらと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 さて、わくわくするような新技術の話題の一方で、国内製薬業界では人員削減の話題があちらこちらから聞こえています。後発医薬品の浸透が急速に進むなど市場環境が変化する中、日本ベーリンガーインゲルハイムやアステラス製薬など、数百人規模で人員を削減する方針を打ち出すところが出ています。また、Shire社の買収に名乗りを上げている武田薬品工業についても、買収が実現すれば、研究者など大幅な人員削減を行うのではと考えている業界関係者が多いようです。

 前述したバイオ村の住民投票では、約50%が今回の買収を「評価する」と答えたものの、「評価しない」も約30%に上り、評価が二分していることが明らかになりました。加えて、今回の買収提案で評価しない点を聞いたところ、「負債が大幅に増える」が圧倒的に多い結果でしたが、それに「統合がうまくいかない可能性がある」「大幅なリストラが行われる可能性がある」が続きました。

 詳細は記事をお読みいただければと思いますが、自由意見などで印象的だったのは、「評価する」と答えた住民でも、「評価しない」とした住民でも、いずれも(武田薬品ひいては日本の製薬企業が)「現在のままではまずい」という共通した認識を持っているようだということ。そして、業界を楽観視する意見はほぼありませんでした。後から振り返れば、薬価制度の抜本改革が遂行され、武田薬品が大きな決断をした2018年は、日本の製薬業界にとって大きなターニングポイントになるのかもしれないと感じています。