【日経バイオテクONLINE Vol.2918】

どうなる、バイオ戦略

(2018.05.09 08:00)
高橋厚妃

 みなさんこんにちは、日経バイオテクの高橋厚妃です。今、政府が、バイオ戦略を策定しようとしていることをご存知の読者の方も多いと思います。

 第1回のバイオ戦略ワーキンググループ(WG)が開催された2017年12月当初は、2018年4月にもバイオ戦略を取りまとめる予定としていましたが、議論の進捗状況が遅れており、バイオ戦略策定のスケジュールを変更しました。同WGは、2018年中のバイオ戦略の策定を目指しています。同戦略の中間的な取りまとめの内容を、2018年夏ごろに策定予定の政府の科学技術政策「統合イノベーション戦略2018」に反映する予定です。

 日本では、2008年にバイオテクノロジーに関する政府の戦略である「ドリームBTジャパン」が策定されて以来、バイオに関連した戦略は、新規に策定されてきませんでした。先日2018年4月26日に行われたバイオ戦略検討ワーキンググループでは、ドリームBTジャパンの内容とその結果を振り返ると同時に、今後の新規の戦略にはどのような内容を入れるべきかなど自由に意見討論がなされました。

 その中で特にコメントが多かったのが、1つの技術や1つの分野に限定した方針を取らない方がよいのではないか、ということです。ドリームBTジャパンでは、「遺伝子組換え作物に関する研究開発」「バイオマスの利活用」などが、重要な課題と位置付けられていましたが、例えばゲノム編集の技術は、医療や農業、ものづくりの分野に関わるため、1つの分野に限った方針は馴染まない、ということです。また今後、ゲノム編集以外にも新規のバイオテクノロジーの技術が生まれる可能性があります。

 議論の最後の最後に、「省庁横断的に、バイオテクノロジーを俯瞰する組織があってもいいのではないか」という意見が出てきました。内閣府には既に、「健康・医療戦略推進本部」が設置され、厚生労働省や文部科学省、経済産業省が連携して関わる研究開発や事業の司令塔の役割を担っていることや、情報通信技術(IT)の施策を重点的に推進するための「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部」が設置されています。同日のWGでは、健康・医療戦略推進本部が設置されたことで、厚労省と文科省、経産省が重複して支援していることや、抜けている支援などが明確になったことなどが紹介されていました。

 バイオ戦略の行方に加えて、こうした組織が設立されるのかどうかも今後注目していきたいと思います。

 バイオ研究者やバイオ産業に携わる方、約5万人に向けて月曜から金曜まで週5回配信している日経バイオテクONLINEメールに、水曜日と金曜日に掲載している記者によるコラムを掲載します。

日経バイオテク お薦めの専門書籍・セミナー

  • 新刊「世界の創薬パイプライン2018/2019」
    2018年7月31日発行!海外ベンチャーの創薬プロジェクトを大幅拡充。自社の研究テーマと関連するパイプラインの動向、創薬研究の方向性や競争力、開発状況の他社比較に有益なデータとして、自らのポジショニングを確認できます。
  • 「日経バイオ年鑑2018」
    最新データからわかる、バイオ分野の[開発][市場][産業]動向。バイオ事業戦略の頼れる味方。自社のR&D戦略を描くために、マクロな視点で将来を展望する一冊です。
  • 「バイオベンチャー大全 2017-2018」
    国内の未上場バイオベンチャーの企業データをすべて網羅しました。提携先を探し求める製薬会社にとって、投資先を探るベンチャーキャピタルにとって、自社の経営戦略を見極めるうえで有益となる重要情報を開示します。

PR・告知製品・サービス一覧人材・セミナー・学会一覧