【日経バイオテクONLINE Vol.2906】

「産業のバイオ化」を展望できるイベントを開催します

(2018.04.18 12:00)
橋本宗明

 皆様、こんにちは。日経バイオテク編集長の橋本宗明です。6月に開催するイベントの紹介をさせていただきます。

 日経BP社では、日経エレクトロニクスや日経ものづくり、日経コンピュータ、日経SYSTEMS、日経アーキテクチュアなど、技術系の媒体を多数発行しています。それら技術系媒体が合同で、「テクノロジーNEXT2018」というイベントを、6月12日から15日に東京・御成門で開催することになりました。私もこのイベントに協力していて、6月13日に「製造業ゲームチェンジ『バイオエコノミー』の衝撃」というセッションを企画しました。

http://tech.nikkeibp.co.jp/campaign/2018/tecnext2018_13A/

 「エコ疲れ」といった言葉に代表されるように、日本では少し前に比べて環境問題に対する意識が低下している印象がありますが、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」というパリ協定の目標達成に向けて、実は様々な産業が対応を迫られています。日経バイオテクONLINEのコラムでも紹介していますが、国連は2030年までに取り組むべき持続可能な開発目標を掲げており、欧州を中心に各国がバイオエコノミー戦略を策定し、環境問題への対応と経済成長のバランスを図りながら社会を発展させていこうとしています。

 このバイオエコノミーを振興する過程で、必然的に迫られるのが「産業のバイオ化」です。産業のバイオ化とは、化石燃料に代わる持続可能な資源としてバイオマスを活用し、環境負荷の少ない低エネルギーのプロセスとしてバイオプロセスを活用してものづくりを行っていこうというもので、以前からコンセプトとしては語られてきたことではありますが、次世代シーケンサー(NGS)の登場によるゲノム解読コストの大幅な低下や、ゲノム編集、合成生物学、細胞工学といった技術の発展、そして人工知能やビッグデータ解析といったデジタル技術との融合により、一気に進む可能性があると見ています。

 絵空事のように聞こえるかもしれませんが、産業のバイオ化を経験した産業が既にあります。それは製薬産業です。かつて、製薬産業は「化学」をベースとした産業で、医薬品のほとんどは化学合成で作られていました。ところが、遺伝子と疾患の関連が解明される中で、生体分子そのものや、それを標的とする抗体を医薬品とするアイデアが浮上し、それらを製造する技術の開発と標準化、規制面の対応が進んだ結果、生物的な医薬品(生物学的製剤)が市場を席巻していきました。その過程で、生物学的製剤にいち早く取り組んだベンチャーが大手製薬企業に肩を並べるまでに成長し、生物学的製剤を受託製造する企業が勃興したことは改めて言うまでもありません。「化学」に固執した企業も消えてなくなったわけではありませんが、世界のトップ製品の半分以上を抗体医薬が占め、10億ドル以上を売り上げる大型品の4割が生物学的製剤に置き換わる中で、大きく成長するチャンスを逸したのは確かでしょう。つまり製薬産業では脱石油といった政治的、社会的な理由ではなく、ライフサイエンスの進展という科学的な理由から生物の工業利用が可能になり、ゲームチェンジを経験してきたわけです。今後、このライフサイエンスの進展に、政治的、社会的な要因も加わる中で、あらゆる産業でゲームチェンジが起こるのではないかと提起したいと考え、「製造業ゲームチェンジ『バイオエコノミー』の衝撃」を企画しました。

 セッションではまず私がイントロで、ライフサイエンスの進展と、その過程で製薬産業が経験してきたことを俯瞰的に紹介した上で、経済産業省生物化学産業課の上村課長に、バイオエコノミーを巡るグローバルな動向と、日本のバイオ戦略の推進施策、それが産業全般にどのように影響を及ぼすのかについてを基調講演として紹介いただきます。その後、実際にバイオマスの利用が始まりつつある話題として、日本製紙の河崎雅行セルロースナノファイバー研究所長に、セルロースナノファイバーの産業利用の現状と展望を紹介いただきます。続いて、神戸大学の近藤昭彦科学技術イノベーション研究科長に、ゲノム×AIの活用により様々な化成品、機能性素材を製造してしまおうスマートセルインダストリーのコンセプトとその取り組みについて紹介していただきます。そして最後に米西海岸を中心に広まりつつあるDIYバイオのコミュニティをベースにしたガレージバイオベンチャーの勃興事例などを、デジタルガレージの枝洋樹執行役員に、ベンチャー育成側の視点で紹介いただいた上で、DIYバイオ発の起業などの事例をインテグリカルチャーの羽生雄毅代表取締役CEO、Jiksak Bioengineeringの川田治良代表取締役に紹介いただき、DIYバイオのコミュニティに参加して活躍されているアーティストの長谷川愛さんにバイオサイエンスの発展がもたらす近未来の有り得べき世界を紹介いただく予定です。

 6月13日の朝から夕方まで、東京・御成門のベルサール御成門タワーでたっぷり楽しめるイベントにしますので、皆様、ぜひご参加ください。

http://tech.nikkeibp.co.jp/campaign/2018/tecnext2018_13A/

 バイオ研究者やバイオ産業に携わる方、約5万人に向けて月曜から金曜まで週5回配信している日経バイオテクONLINEメールに、水曜日と金曜日に掲載している記者によるコラムを掲載します。

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