【日経バイオテクONLINE Vol.2836】

国内の事業者への規制は意味のないネットのサービス

(2018.01.05 08:00)
山崎大作

 おはようございます。日経バイオテク副編集長の山崎です。

 2017年12月27日の夕刻、人の動きも年末年始の休みに向けて幾分緩やかになっている時間に、「遺伝学的検査の市場化に伴う国民の健康・安全確保への課題抽出と法規制へ向けた遺伝医療政策学的研究」研究班の記者会見が開催されました。

国内のDTC遺伝子検査を手掛ける事業社のうち、経済産業省のガイドラインを遵守しているのは6割に満たず
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/12/28/03697/

 これは2016年に開催された「ゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォース」の取りまとめを受けて行われた調査の結果をまとめたもので、記者会見では現在行われている、ネットを通じて申し込む個人向けの遺伝子検査ビジネスに対して、「無秩序に広がっている」「妥当性、科学的根拠、カウンセリングのアクセスがいずれも不十分」と強い言葉を使ったコメントがなされていました。

 ただ、問題なのは、ネットを用いた日本人向けサービスは、日本の事業者のみが手掛けるとは限らないことです。Webの検索ページなどを使って利用者がアクセスするランディングページのみが日本語で、クリックを繰り返すと英語のページになってしまうこともあります。どんなに国内の規制を厳しくしても、海外のサービスに簡単にアクセスできれば状況は変わりません。事実、学会が臨床研究の形で対象となる妊婦をコントロールしようとした新型出生前検査(NIPT)についても、海外の検査機関に検体を送り、結果が紙で通知されるだけでカウンセリングも何も行われないサービスが広まってしまっているようです。

 ネットサービスについて、国内の事業者を押さえ込むだけの規制は、日本でのサービス提供企業の競争力が低下するだけで、日本人のユーザーが救われない可能性があります。今後、行政が介入していくとしても、規制を強めるのではなく、サービスの質を上げていくための工夫が求められるのではないでしょうか。

 バイオ研究者やバイオ産業に携わる方、約5万人に向けて月曜から金曜まで週5回配信している日経バイオテクONLINEメールに、水曜日と金曜日に掲載している記者によるコラムを掲載します。

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