【日経バイオテクONLINE Vol.2806】

デジタル医薬品は医薬品のあり方を変えられるか?

(2017.11.17 08:00)
山崎大作

 おはようございます。日経バイオテク副編集長の山崎です。2017年11月13日、ついに大塚製薬が米Proteus Digital Health社と共同で開発した、デジタル医薬品が米国で承認されました。

大塚製薬など、エビリファイに経口摂取可能なセンサーを組み込んだデジタル医薬品を承認
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/11/14/03479/

 これは、抗精神病薬「エビリファイ」の内部にセンサーを組み込んだ「Abilify MyCite」。服用後センサーが胃酸に反応してシグナルを発し、患者の腹部に貼られたパッチで信号を検出する仕組みです。体の傾きなどから睡眠の動向や生活のリズムなども確認できる他、患者の同意があれば介護者や医師も情報を共有することができるため、患者が本当はいつ、どのように服薬をしているのかが分かりますから、薬の量の調整や、問題のある患者の把握に役立ちそうです。

 新たな作用機序の薬や新しいモダリティーの話を聞くと、記者としてわくわくします。ですが、本当はあくまで医薬品は手段。患者が求めているのは、あくまで新しい薬かどうかではなく、病気が治ったり、症状を抑えられたりするかどうかです。新薬の開発コストが年々上がる中、既存薬にちょっとした工夫をすることで治療効果を高めたり、無駄な投薬を防げるようになるというのは、製薬会社、患者本人、保険者のすべてにとって福音になるのではないでしょうか。

 ただ、認められたのはセンサーの機能。服薬の検出が遅れる可能性や、検出されない可能性もあるようで、本当にセンサーを組み込むことで、患者のコンプライアンスが高まるのか、さらにはそれによって治療成績が上がるかどうかは、今後の報告を待たざるを得ません。ですが、もしAbilify MyCiteで既存のエビリファイと比較して明らかに治療上の有用性が示されれば、少なくとも慢性疾患においては、医薬品のあり方も変わってくるのかもしれません。

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