【日経バイオテクONLINE Vol.2778】

「十分なエビデンスが無い」の声にどう応えていくか

(2017.10.06 08:00)
山崎大作

 日経バイオテク副編集長の山崎です。

 癌免疫細胞療法の周辺がざわついています。加藤勝信厚生労働大臣が10月3日の定例記者会見で、癌免疫療法について、「未だ十分に科学的根拠が蓄積されていないものもある」と発言。10月4日に開催された、がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループでも、がん診療連携拠点病院の指定要件に関して、免疫療法をどう扱うかの議論が始まっています。さらには、改正医療法の施行に伴って医療機関の広告が見直されており、自由診療の広告に対する締め付けはきつくなりそうです。

 2014年11月に施行された再生医療等安全性確保法(再生医療新法)と医薬品医療機器等法が、日本における再生医療や細胞治療の実用化を後押ししていることは間違いありません。一方で、再生医療新法成立の背景には、海外では整備されている細胞治療の規制が日本になく、幹細胞投与での死亡事故が相次いだにも関わらず、当局が投与実態の把握すらできていなかったことへの反省もありました。

 自由診療で提供されている治療法の全てに問題があるわけではないですし、がん診療連携拠点病院の認定に、免疫細胞療法がどのような影響を与えることになるかは、今後のワーキンググループの議論を待つしかありません。広告規制の見直しもこれからです。

 ですが、少なくとも現在、行政や癌診療の専門家から「十分なエビデンスが無い技術を、研究でなく治療として提供している」と見られていることは事実。技術を提供している側は、その事実を謙虚に受け止めていく必要があるのではないでしょうか。

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