【日経バイオテクONLINE Vol.2744】

免疫チェックポイント阻害薬併用療法の今後

(2017.08.18 08:00)
橋本宗明

 皆様こんにちは。日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 8月11日の山の日から16日まで、編集部はお休みをいただき、その間の日経バイオテクONLINEのニュースの更新や、メールマガジンの配信を停止していました。読者の皆様にはご不便をおかけしたかもしれませんが、部員一同、英気を養うことができ、今後の取材、執筆に努めてまいりますので、どうぞお許しください。

 6日間の休暇期間中に、私たちの職場環境が大きく変わりました。

 オフィスが虎ノ門に移転したのです。このメールを書いているのは移転初日で、やっと机の周りを片付けいたところなので、近隣をうろついたりはできていませんが、これまでのオフィスがあった白金高輪とは街の雰囲気が全く違います。オフィス街ながら古い街並みが混ざり合ったような場所で、おいしい飲食店やくつろげる喫茶店などを探すのが楽しみです。新オフィスではセミナーなども開催できるようなので、色々企画していきたいと思います。適宜ご案内していきますので、ぜひともご参加ください。

 ところで8月15日に、米Bristol-Myers Squibb社は、未治療の進行または転移性腎細胞癌を対象にした免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」と「ヤーボイ」の併用療法のフェーズIIIのトップラインデータを発表しました。抗癌剤スニチニブと比較した試験の結果、併用療法群の奏効率(ORR)は41.6%で、スニチニブ群の26.5%を上回りましたが、無増悪生存期間(PFS)については改善が見られたものの統計的な有意差を示さなかったとのことです。今後、試験は計画通り続けられ、3つ目のCo-Primary Endpointである全生存期間(OS)の評価を行うということですが、抗PD1抗体と抗CTLA4抗体の併用療法の先行きは少し厳しくなったと思われます。

 奇しくも7月27日に、英AstraZeneca社は未治療の進行または転移性非小細胞肺癌(NSCLC)を対象に、抗PD-L1抗体「Imfinzi」(デュルバルマブ)と抗CTLA抗体トレメリムマブを併用するフェーズIIIの結果、PFSの延長を達成できなかったと発表しています。そのリリースの中では同社も今後試験を継続してOSを評価するとしましたが、AstraZeneca社の株価は大幅に下落しました。

 それに比べればBMS社の株価はさほど下落していないのは、統計的な有意差を示すには至らなかったものの、PFSの中央値はオプジーボとヤーボイの併用療法群で11.56カ月、スニチニブ群で8.38カ月と、それなりの改善を示していたためと思われます。

 抗癌剤の世界を大きく変えた免疫チェックポイント阻害薬ですが、有効な患者はせいぜい2、3割程度にとどまるため、各社は他の抗癌剤との併用療法の開発にしのぎを削っています。その先頭を走っていたのが抗PD1抗体または抗PD-L1抗体と、抗CTLA4抗体との併用だったわけです。

 一方で、併用試験の乱立によって被験者の確保が困難になっている、安全性などの検討が不十分なまま併用試験が実施されているといった問題を指摘する声も出ています。免疫チェックポイント阻害薬については、効く患者を見分けるバイオマーカーの開発こそが重要だという指摘もあります。免疫チェックポイント阻害薬とその併用療法が、今後どのような方向に発展していくのかが注目されます。

 バイオ研究者やバイオ産業に携わる方、約5万人に向けて月曜から金曜まで週5回配信している日経バイオテクONLINEメールに、水曜日と金曜日に掲載している記者によるコラムを掲載します。

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