【日経バイオテクONLINE Vol.2738】

バイオ企業、製薬企業の情報開示度を考える

(2017.08.04 08:00)
久保田文
 おはようございます。副編集長を務めています久保田です。

 先日、製薬・バイオ業界のアナリストとして、長年業界を牽引してこられた、元日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)の山本義彦氏にインタビューする機会を得ました。その中で山本氏は、日本の製薬企業がどこも情報開示に後ろ向きだった過去に触れるとともに、現在もバイオ企業、製薬企業などの情報開示には課題があると指摘しています。

山本義彦元首席アナリストに聞く、「ベンチャーは審査プロセスを安易に考えてはいけない」
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/07/21/02982/

 アナリストとは若干立場が異なりますが、私たちメディアもバイオ企業、製薬企業にできる限りの情報開示を求めている、という立場では同じです。最近では、多くのバイオ企業、製薬企業が、アナリスト、メディアに関わらず参加できる決算会見を開催しており、業界のアナリストの方々と顔を合わせる機会が多くなっています。しかしながら、一部の企業では未だに、メディアに対する情報開示に後ろ向きの企業があるのも事実です。

 ある製薬企業は、決算会見をメディア向けとアナリスト向けに別々に開催しています。表向きには、メディアとアナリストとは、質問の内容、関心の方向性が異なるからということのようです。ただし同社は、メディア向けとアナリスト向けで、配布資料を別のものにしており、メディア向けには相当限られた、大まかな情報しか提供されていません。方向性が異なるとはいえ、そもそも与えられる情報に差を付けるというのは、理解に苦しむばかりです。

 また、ある上場バイオ企業は、決算会見にメディアが参加できません。大型の導入契約を締結した際などには、アナリストだけでなくメディアも参加できる記者会見を開催しましたが、定期的に事業の進捗を確認することができる決算会見には、参加できないのです。そのバイオ企業のシーズの中には、政府の公的資金を使って開発が進められているものもあり、メディアの関心も極めて高いのにも関わらずです。

 現在、12月決算の企業は、第2四半期の決算会見が本格化しています。ごく一部ではありますが、こうした企業も、そろそろ、メディアに対する情報開示の在り方について、考えていただきたいところです。

 バイオ研究者やバイオ産業に携わる方、約5万人に向けて月曜から金曜まで週5回配信している日経バイオテクONLINEメールに、水曜日と金曜日に掲載している記者によるコラムを掲載します。

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