【日経バイオテクONLINE Vol.2692】

製薬企業vs.バイオベンチャー

(2017.05.31 08:00)
橋本宗明

 皆様おはようございます。日経バイオテク編集長の橋本宗明です。

 年初に「今年のテーマはバイオベンチャーだ」と宣言して、編集部全員で手分けして、バイオベンチャーの取材を進めてきました。その成果の一部は日経バイオテクONLINEに「ベンチャー探訪」というコーナーを作って紹介していますが、このコーナーで紹介していない企業も含めて、日本のバイオベンチャー約150社の詳細な企業情報と記事とを掲載した書籍、「バイオベンチャー大全2017-2018」を6月末に発行します。現在、編集部ではその編集作業が佳境に入ったところです。書籍の詳細な情報は、近く日経バイオテクONLINEのお知らせコーナーに紹介しますので、しばらくお待ちください。

 日経バイオテク最新号の特集に「世界の医薬品ランキング」の記事を掲載しました。

特集「世界の医薬品売上高ランキング(2016年)」
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/082400016/052400026/

 世界で100億ドルを売り上げる医薬品は2016年は前年より1品目減って1品目となりましたが、50億ドル以上の医薬品が10品目、20億ドル以上の医薬品は51品目という状況でした。中には小野薬品工業と米Bristol-Myers Squibb社が販売する「オプジーボ」(ニボルマブ)のように、前年1億ドル程度だった売上高を、1年で4.7倍の47億ドルにまで伸ばした製品がある一方、米Gilead Sciences社のC型慢性肝炎治療薬の「ハーボニー」(レジパスビル/ソホスブビルの配合剤)のように、1年で48億ドル売上高を減らした製品もあります。製薬事業がいかにハイリスクハイリターンであるかを思い知らされます。

 ハーボニーの売り上げ減少は競争の激化によるものですが、特許切れによっても売上高が急落するのが医薬品という製品の宿命です。この売上高の急落を回避するために、製薬企業は外部から次の成長の種を購入してくるわけですが、昨今の傾向としては、かなり開発が進んだ製品が高い価格で取引される一方、早期のシーズに製薬企業はなかなか手を出さなくなっています。では早期のシーズは誰が手掛けるのかというと、それがバイオベンチャーであり、ベンチャーに資金を供給するリスクマネーなわけです。

 ということで、製薬企業は売り上げの落ち込みを回避することを常に考えなければならない立場であり、バイオベンチャーは成功のことだけを考えて突き進んでいる立場という見方が出来ます。仕事としてどちらが楽しいかと考えると自明のような気もしますが、ベンチャー経営者からは「製薬企業の優秀な人材はなかなかバイオベンチャーに来てくれない」といった声を聞きます。もちろん、給与水準とか福利厚生とか色々考えなければならないこともありますが、働きがいという点で、ベンチャーの魅力がもう少し認識されてもいいような気がしています。

 最後に少し宣伝です。6月29日に創薬パイプライン研究のセミナーを開催します。製薬企業およびベンチャー企業の約500社(海外420社、国内80社)が臨床開発を進めている約3000の創薬プロジェクトを分析し、領域別の開発トレンドを提示するもので、講師は日経バイオテクで15年にわたって、人気コラム「パイプライン研究」を執筆している伊藤勝彦氏が務めます。お申し込みは下記よりお願いします。

http://nkbp.jp/2pPex39

 また、7月10日にゲノム編集のセミナーを開始することにしました。詳細は下記をご覧ください。

                     日経バイオテク 橋本宗明

◆◆日本発のゲノム編集関連ベンチャーの創業研究者が大集合◆◆

 第3世代のゲノム編集技術であるCRISPR/Cas9は、生物を使った物質生産から、農林水産分野の品種改良、創薬スクリーニング系の確立、遺伝子治療への応用まで、広範な領域で研究開発が加速し、実用化までの距離が近づいています。国内外ではCRISPR/Cas9を改良したり、CRISPR/Cas9に続く新技術を開発する動きも活発化しており、ゲノムを切ったり貼ったりする「ゲノム編集」だけでなく、任意の配列を狙ってさまざなな操作を加える「ゲノム操作」の技術も登場しつつあります。

 こうした新しい技術を、どう応用し、新たなビジネスにつなげるか――。7月10日(月)午後に都内で開催するセミナー「 ゲノム編集が生み出す新ビジネス」では、国内でゲノム編集、ゲノム操作の基盤技術を有するベンチャー企業の創業研究者、研究者らに一堂に会していただき、個々の技術について、「どのような領域でどのように応用できるか」についてご講演いただきます。それぞれの技術を知り、化学、化粧品、食品、診断薬、医薬品など、バイオ業界のさまざまな出口への応用可能性について考えていただけるチャンスです。ふるって、ご参加ください。

◆ゲノム編集が生み出す新ビジネス ~ 物質生産、品種改良から創薬まで◆
開催:2017年7月10日(月) 13:00~17:30 (開場12:30)予定
会場:日経BP社 4F (東京・白金高輪)

http://nkbp.jp/2sgeRJ1

 バイオ研究者やバイオ産業に携わる方、約5万人に向けて月曜から金曜まで週5回配信している日経バイオテクONLINEメールに、水曜日と金曜日に掲載している記者によるコラムを掲載します。

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