【日経バイオテクONLINE Vol.2687】

周知の徹底がまだ必要か自由診療下での再生医療

(2017.05.24 08:00)
高橋厚妃

【170524訂正】
第3段落目で、「造血幹細胞移植で利用する細胞は、加工を行わないため法律の適応外」、「アンチエイジング目的の治療は相同利用ではないため、法律の適用範囲に当たる」との表記がありました。造血幹細胞移植は法律の適用外ですが、第一条で適用外と定められているからであって、加工を行わないからではありません。また、相同利用だからといって法律の適用外となることはありません。誤った記載の部分を訂正しました。お詫び申し上げます。

 おはようございます。日経バイオテクの高橋厚妃です。厚生労働省は、2017年5月9日と12日に、再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療新法)に基づく緊急命令を発令し、2つの医療機関に対して、再生医療の提供の一時停止を命じました。

 両者とも外部からの情報提供があり、厚労省が再生医療新法の下で立ち入り検査を行ったところ、法律違反が確認されました。今回の2件のうち1件は、他家の臍帯血を利用した治療でした。一部の報道では、今回再生医療が停止となった医療機関の院長がブログで、「細胞の加工をしていないので法律を違反しているとの認識は無かった」と報道していましたが、今回の件で感じたのは、再生医療新法の周知がまだ必要だということです。

 厚労省への取材の結果、今回実施されたのは臍帯血を利用したアンチエイジングの目的による治療でした。他家の細胞を利用していたため第一種の再生医療に該当するにも関わらず、再生医療等提供計画を提出することなく治療を実施していたため、同クリニックは法律違反となったわけです。

 今回の件で、例えば学会などに属さず自由診療で実施している地方の医療機関に再生医療新法が周知されているのか、と指摘する関係者もいます。厚労省の担当者も、「今後、周知を徹底していく必要がある」との認識を示していますが、思った以上に時間がかかるかもしれません。

 バイオ研究者やバイオ産業に携わる方、約5万人に向けて月曜から金曜まで週5回配信している日経バイオテクONLINEメールに、水曜日と金曜日に掲載している記者によるコラムを掲載します。

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