【日経バイオテクONLINE Vol.2682】

民間保険を考える

(2017.05.17 08:00)
小崎丈太郎

 先進医療の制度は臨床データを積み重ね、いずれは保険が適用されることを目指しています。でも、臨床的に重要性が検証されたアイテムの全てが保険収載までたどり着けるのか、微妙です。先日ある国会議員と話していたら、「高薬価の薬剤をこの後も今までのように収載していくのかどうかは、党の中で議論している」という話でした。

 薬機法で承認されても薬価収載しないなら出口は2つです。1つは、自由診療の世界に置いておく。もう1つは基本的な発想は同じですが、「先進医療の中で留め置く」というものです。臨床的に有益なデータがあっても、保険収載はしない。高額療養費も並行して“改革”して患者の負担を増やすことによって、国の財政の負担を軽くします。
  
 いよいよ医療財源が枯渇してくると、「2階建ての保険給付」も議題に上がってくるかもしれません。世界各国の医療制度の細部はまちまちですが、患者負担、保険、税金の3つの柱で運用されていることはどの国にも共通しています。公的保険制度が難しいならば、公的医療制度を補助するために民間保険を活用することになります。先進国でも先行事例はあります。

 米国、オーストラリアでは民間保険が公的医療保険と共存しています。公的医療保険と違って民間保険の場合、利益を追求することになるため、規制が必要になります。その決め手は経費率です。公的な医療保険のひっ迫は民間保険にとっても大きな転機になるのではないかと思います。そのためには、経費率を下げるなど民間保険の側にも覚悟が問われることになります。
 

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